自己破産の資格制限とは?対象の職業・いつまで制限されるか

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自己破産をすることのデメリットの1つとして、「資格制限」があります。
資格制限を受けてしまうと、一定期間、一部の職業に就くことができなくなってしまいます。

影響を受ける職業はごく一部なので、一般的な会社員や公務員の方はあまり関係がありませんが、自己破産をする際には、念のため、自分の職業が資格制限の対象になっていないか確認しておきましょう。

この記事では、自己破産による資格制限について解説します。

1.資格制限とは?

「資格制限」は厳密な法令上の用語ではありませんが、一般的には破産手続の開始によって一定の職業に就けなくなることをいいます。

破産手続きについて定めるのは「破産法」という法律です。
しかし、資格制限自体は破産法の規定によるものではなく、それぞれの職業に関するルールを定める法律を根拠としています。

たとえば、弁護士であれば弁護士法、税理士であれば税理士法、ということです。

2.資格制限の期間

資格制限が始まるのは、破産手続開始決定がなされた時点となります。
したがって、資格制限に該当する職業に就いている場合には、破産手続の開始を申し立てる前に、職場との調整などを済ませておく必要があります。

一方、資格制限が解除されることを復権といいます。
復権については破産法255条1項に規定があります。

復権が認められるのは、以下に挙げる場合です。

  • 免責許可の決定が確定したとき
  • 債権者の同意による破産手続廃止の決定が確定したとき
  • 再生計画認可の決定が確定したとき
  • 破産手続開始決定後、破産者が詐欺破産罪について有罪の確定判決を得ることなく10年が経過したとき

通常は、免責許可の決定が確定することによって、資格制限が解除されることになります。

破産手続開始決定から免責許可決定が確定するまでの期間は、同時廃止事件であれば1ヶ月程度、管財事件であれば3ヶ月〜6ヶ月程度です(事件によってはもっと長くかかる場合もあります)。

3.資格制限の対象となる職業

自己破産による資格制限と対象となる職業は、すべてを列挙しようとするとかなり多くなってしまいます。

そこで、ここでは代表的なものを一部紹介します。

3-1.「士業」と呼ばれる職業

資格制限の対象となる職業としてもっとも有名なのが、「士業」と呼ばれる職業です。

多くの士業では、破産手続開始決定がなされたことが欠格事由に該当しています。
そのため、破産手続開始決定がなされた時点で、登録を解除しなければなりません。

資格制限の対象となる士業の例としては、以下のような職業が挙げられます。

弁護士・弁理士・公認会計士・税理士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・社会保険労務士・通関士

3-2.公的な委員会などの委員

多くの公的な委員会では、破産手続開始決定がなされていることを、委員の罷免事由(解任事由)または欠格事由としています。

たとえば、以下の委員会については、破産者となった人が委員であり続けることはできません。

公正取引委員会・社会保険審査会・国家公安委員会・教育委員会

3-3.金融機関の役員

金融機関は巨額のお金を取り扱う組織です。

個人的な経済状況に不安のある人が金融機関の役員であると、金融機関に対する信頼が揺らいでしまうと考えられています。

そのため、金融機関の役員(取締役、執行役、監査役)については、破産手続開始決定がなされていることが欠格事由とされています。

たとえば、破産者は以下の金融機関の役員であり続けることはできません。

銀行・信用協同組合・商工組合中央金庫・農林中央金庫・労働金庫・保険会社・農業協同組合・漁業協同組合

3-4.警備員

身近な職業の中では、警備員も資格制限の対象となっています。

警備業法14条で引用される同法3条1号は、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を警備員の欠格事由として定めています。

3-5.会社の役員

会社の役員(取締役、執行役、監査役)については、既に解説した金融機関の役員などとは区別して考える必要がありますが、結果的には破産手続の開始によって退任をする必要があります。

破産手続開始決定がなされたことは、会社の役員の欠格事由とされているわけではありません。
しかし、会社の役員は会社との間で「委任契約」(民法643条)を締結しており、委任契約に基づいて会社の役員の地位に就いているということになります。

そして、会社の役員について破産手続開始決定がなされたことは、委員契約の終了事由に該当します(民法653条2号)。

したがって、会社の役員について破産手続開始決定がなされた場合、会社との間の委任契約が終了し、それに伴って会社の役員としての地位を失うことになってしまいます。

4.資格制限を受けてしまう場合の対処法は?

では、自己破産の資格制限の対象となっている職業に就いている場合に、やむを得ず自己破産をする必要があるときは、どのように対処すれば良いのでしょうか。

4-1.一時的に部署異動(配置転換)を認めてもらう

破産者にとってもっとも望ましいのは、勤務する会社に相談をして、資格制限の対象外である部署へ一時的に異動(配置転換)を認めてもらった上で働き続けることです。

部署異動(配置転換)が認められれば、破産手続が進行している最中も働きながら収入を得ることができることができます。

4-2.休職する

しかし、同じ会社の中では他部署のポストが空いていなかったり、会社に部署異動(配置転換)を拒否されてしまったりする可能性もあります。

その場合には、次善の策として会社に休職を願い出て、復権後に復帰する計画を立てましょう。

もし未消化の有給休暇がある場合には、これを最大限活用することにより、破産手続の進行中もある程度収入を確保することができます。

ただし、管財事件になって破産手続が長引いてしまう場合には、有給休暇の未消化分だけでは休職期間をカバーしきれないかもしれません。
そうなってしまうと、別の生活手段を確保する必要があります。

たとえば実家に身を寄せる、貯金を切り崩す、副業をするなどの方法により、休職期間中も生活を続けていくことができるという目処を立てる必要があるでしょう。

4-3.退職後、再雇用をしてもらう

破産手続があまりにも長引いてしまう場合などには、会社から解雇を言い渡される可能性があります。

労働法上、一般的に会社が従業員を解雇するハードルは非常に高いといわれています(労働契約法16条参照)。
しかし、自己破産による資格制限の対象となる職業については、資格制限がかかってしまうと、その業務を一切行うことができなくなってしまいます。

自己破産による資格制限は、純粋に従業員側の責任によるものなので、会社としても解雇を主張するための材料が揃ってしまっている状況といえるでしょう。

そんな場面に陥ってしまっても諦めず、会社に対して復権後の再雇用を約束してもらえるよう交渉しましょう。

復権を経ればこれまでどおりの業務を行うことができることや、再雇用を約束してもらえれば解雇の無効を争わないことなどを会社にアピールすれば、会社が再雇用の約束に応じてくれるかもしれません。

労働法の観点からの主張をするにあたっては、弁護士を伴って交渉に臨むことも有効です。

4-4.株式会社役員の場合は株主総会で再任されることが必要

既に解説したように、株式会社の役員は、破産手続の開始により委任契約が終了し、退任することになります。

復権後は再び同じ株式会社の役員のポジションに就くことは可能ですが、そのためには株主総会決議により再任される必要があることに注意しましょう。

5.自己破産以外の債務整理を選択することも一つの手段

休職や退職で仕事ができなくなるのは困る、資格制限期間中の収入を確保するめどが立たないという場合には、破産手続を利用すること自体を考え直す必要があるかもしれません。

債務整理手続きの中で、資格制限が適用されるのは自己破産のみです。
したがって、任意整理個人再生の手続きを利用すれば、資格制限の影響を受けることなく、借金の負担を減らすことできる可能性があります。

任意整理や個人再生は、自己破産とは異なり、債務全額の免除を受けることはできないというデメリットがあります。

しかし、債務の金額・所有する財産・月々の収入などを考慮すると、任意整理や個人再生の方が自己破産よりも債務者に有利になる場合もあります。

どの債務整理を利用するのがもっとも債務者にとって望ましいかについては、弁護士と相談をしながらじっくり検討することをおすすめします。

6.自己破産の資格制限が心配な場合は弁護士に相談

自己破産を検討していて、「自分は資格制限に該当するのではないか」と心配になった方は、まずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士は、資格制限に該当しているかどうかについて、法令の要件を調査した上で確認してくれます。

その上で、自己破産をすべきなのか、それとも他の債務整理手続きを利用すべきなのかということについて、依頼者の具体的な状況に合わせたアドバイスをしてくれます。

仮に自己破産をするということに決まった場合、弁護士に依頼をしておけば、裁判所に対して提出する申し立て書類の作成や裁判官とのやり取りなど、面倒な作業の大部分を依頼者に代わって行ってくれます。

このように、自己破産について弁護士に相談するメリットは数多くあります。一人で悩まずに、お早めに弁護士にご相談ください。

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