借金のブラックリストとは?掲載デメリットと掲載期間を解説
債務整理をすると「ブラックリスト」に掲載されてしまいますが、その影響を正しく理解すれば決して怖いものではありません。…[続きを読む]
「自己破産」「破産宣告」と聞くと、「持ち物を全て処分される」「家から追い出される」「周囲の人にもバレてしまい肩身が狭い思いをする」などと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、自己破産をした際のリスクとして巷で噂されているものは、事実ではないものも多いです。
もちろん、自己破産にはデメリットも生じますが、自分や家族に関して制限されることは意外と少ないのです。
自己破産のリスク・デメリットについて正しく理解した上で、誤解を解消して自己破産を選択するのは一つの前向きな選択といえます。
この記事では、自己破産のデメリットを6つに分けて解説します。
目次
早速ですが、自己破産をすることにより、どのようなリスク・デメリットが生じるのでしょうか?
自己破産では、借金を清算するために、債務者が所有している財産を処分・換価して債権者に分配する手続が行われます。
1番目のデメリットとして、自己破産をすると破産者自身が所有していた高価な資産は手放すことになります。
例えば、マイホームなどの不動産、高価なブランド物のバッグ、査定額が20万円以上の自動車の他、99万円以上の現金、総額20万円以上の預貯金が処分されることになるでしょう(詳細は管轄の裁判所によって異なります)。
一方で、破産法では、自己破産後もある程度の生活ができるだけの財産(自由財産)を残すことを保障してくれています(破産法34条)。
大まかに説明すると、99 万円に満たない現金、給料など破産手続を始めてから得た財産(新得財産)、生活必需品等(差押禁止財産)といったものが手元に残すことができる財産になります。
また、家賃を長期滞納などしていない限り、賃貸アパート等の住居から追い出されることもありません。
自己破産をしたからといって無一文になるわけではないのでご安心ください。
2番目のデメリットとして、自己破産をすると、信用情報機関という所に自己破産をしたという情報(事故情報)が登録されます。
これがいわゆる「ブラックリスト入り」です。
ブラックリストに載ってしまうと、新しくクレジットカードは作れなくなり、銀行ローンなども組めなくなります。また、現在お持ちのクレジットカードもいずれは全て使えなくなるでしょう。
しかし、これはデメリットであると共にメリットでもあります。
強制的に借金をしない生活をすることで、経済的な更生が見込めます。
さらに、5年~7年程で信用情報機関のブラックリストは削除されるので、その後であればクレカを作ったり、ローンを組めるようになったりします。
なお、信用情報は各個人別のデータですので、家族の一人が破産をしたからといって、家族全員がブラックリストに登録されるわけではありません。
普通の会社員などに影響はありませんが、弁護士や司法書士・行政書士・税理士など、法律に関わる仕事(士業)やお金に関する仕事、警備員などに就いている方は注意が必要です。
3番目のデメリットして、自己破産手続き中は、そういった職業に就くことができません(資格制限・職業制限)。
ただし、永遠に資格がはく奪されるわけではありません。自己破産を始めた時から、免責を許可される(借金が0になる)まで、一時的に登録できないだけです。
自己破産手続きが終われば、資格や職業の制限はなくなり、再度登録をすることもできます。
なお、自己破産を理由とした解雇は不当解雇にあたります。
自己破産したことが勤務先に知られたからといって、仕事を失うことにはなりません。
4番目のデメリットとして、資格制限の他、自己破産で「管財事件」となると、引っ越しや旅行に裁判所の許可が必要になります。
これは、手続き中に債務者と連絡が取れなくなることを防ぐためです。
「出張・転勤のため」「友人の結婚式のため」など、正当な理由があれば問題なく許可は得られるでしょう。
また、破産者の財産や債務の状況を漏れなく調査するため、破産者宛ての郵便物は全て破産管財人に転送されてしまいます。
この郵便物も、後から受け取ることが可能なので過度に心配する必要はありません。
5番目のデメリットとして、自己破産をすると、政府の発行している官報に自分の住所と名前が載ります。
官報は、一般の人が目にすることはほとんどありません。官報から周囲に自己破産の事実がバレることはないでしょう。
また官報と戸籍は無関係であり、破産した事実が戸籍や住民票に記載されることもありません。
しかし、官報の何がデメリットなのかというと、闇金業者などの違法貸金業者などにマークされる可能性があるのです。
闇金業者はその情報を見て、ハガキなどのダイレクトメッセージを送ってきます。
「ブラックでも借りられる」などといった甘い言葉で闇金に手を出させようとしてきますが、絶対に借りてはいけません。
闇金は違法な業者です。法外な高金利を押しつけられたうえ、厳しい取り立てを受けることになってしまいます。
6番目のデメリットとして、家族や友人が自己破産者の借金の保証人・連帯保証人になっている場合には、破産者本人に代わって保証人に支払義務が生じます。
自己破産は「保証人がついている借金だけを残して他を債務整理する」などということはできないので、自己破産をすれば漏れなく保証人・連帯保証人に影響が生じるでしょう。
保証人について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
このように、自己破産にはいくつかのデメリットがあります。
しかし、デメリットだと思われがちで、実は誤解である事実も多くあります。
次に、自己破産でよくある質問を解説します。
原則として、自己破産をしても職場に知られることはありません。
しかし、勤務先の貸付金制度の利用など、勤務先に借金をしていた場合には、破産の事実が伝わる可能性があります。
なぜなら、自己破産すると裁判所からすべての債権者に通知がなされるので、勤務先も債権者として通知を受け取ることになるためです。
また、債権者に給与を差し押さえられていた場合には、破産手続開始決定によって給与の差し押さえが中止されるので、勤務先に自己破産を推測されることもあるといえるでしょう。
なお、繰り返しですが、破産が原因で会社を解雇されることはありません。
自己破産をしても、選挙権・被選挙権を失ったり、制限されたりすることはありません。
(法律上、選挙権・被選挙権が制限される者に、自己破産者は含まれていません。)
自己破産をしても結婚を制限されることはありませんし、破産だけが原因で離婚が法的に認められることもないでしょう(度重なる借金で婚姻生活に支障が出ていたり、ギャンブルばかりで生活費を入れていなかったりする場合はこの限りではありません)。
自己破産をすると財産が一部処分されると前述しましたが、これは保険の解約返戻金も含まれます。
つまり、生命保険や学資保険など、将来受け取れる保険の解約返戻金も財産とみなされ、この合計額が20万円を超える場合、解約が必要となる可能性があるのです。
しかし、解約返戻金が少額な場合や掛け捨て保険の場合には、そのまま解約しなくても済むこともあります。
親が自己破産をしても子供は奨学金を借りることができます。
奨学金はあくまで子供名義で申し込むものだからです。
もっとも、自己破産をした親は、連帯保証人・保証人にはなれないのでご注意ください。
もう一人の配偶者や親戚にお願いすることになるでしょう。
このように、自己破産には多くの誤解があり、実はデメリットは多くないというのが事実です。
確かに、自己破産をすることでリスクが生じ、周囲へ及ぼすデメリットもあります。
しかし、自分ひとりで何とかしようと借金を重ねることは、自身への負担や周囲への影響を取り返しのつかないものにしてしまう可能性があります。
借金の返済に限界を感じているときには、自己破産が1つの重要な選択肢となります。
弁護士に相談すれば、債務整理の手続を弁護士が代わって行う他、破産手続などの流れの中で生じる疑問についても相談できるので、より良い解決につなげることができます。
借金の返済に限界を感じているときには、弁護士に相談することをおすすめします。