国民健康保険料を払わないとどうなる?滞納のデメリットと対処法

日本においては、すべての国民は医療保険(健康保険)に加入する必要があります。
国民健康保険は、何らかの健康保険に入っていない方が加入する保険です。

ところで、国民健康保険に加入している方の中には、「国民保険料が高すぎる、延滞金も払えない」と悩んでいたり、「普段病院には行かないし、高すぎて払えない!」「健康保険は、払わない方が得」と考えていたりする方もいるのではないでしょうか?

しかし、国民健康保険料を滞納していると、後々自分にその報いが返ってくることになりますので注意が必要です。

この記事では、国民健康保険料を滞納した場合に生じるデメリットと、国民健康保険料を払えない場合の対処方法を解説します。

国民健康保険料を払わないとどうなる?デメリット

国民保険(国保)料が払えない場合、延滞金の発生、保険給付の差し止め、財産の差し押さえなど、様々なデメリットが生じます。

仮に「国民健康保険料は高いから払えない」といって払わないでいると大変なことになるのかす。

以下では、国民健康保険料滞納のデメリットについて詳しく解説します。

延滞金の発生

国民健康保険料の支払いを滞納した場合、納付期限の翌日から延滞金が発生することになります。

延滞金の定めは国民健康保険の保険者(市区町村、業界団体など)によって異なります。
通常は、滞納期間が一定期間(1か月や3か月など)に達するまでは低い延滞金率が適用されますが、それ以降は高い延滞金率に切り替わることになります。

したがって、国民健康保険料の支払いを滞納すればするほど、延滞金が膨らんでしまうため、結局支払いの負担が重くなってしまいます。

保険給付の差し止め

国民健康保険料の滞納が続くと、滞納分を完納するまで保険給付が差し止められてしまいます。つまり、自ら医療費を負担する必要が生じるという事です。

保険給付の差し止めは、いくつかの段階を踏んで行われますので、それぞれの段階について解説します。

①役所などからの督促

国民健康保険料を滞納した者に対して、国民健康保険の保険者から支払いを催促する電話が来たり、督促状が送られてきたりします。

②短期被保険者証の交付

国民健康保険証の有効期間は、通常は1年間です。

しかし、国民健康保険料を6ヶ月以上滞納した場合には、通常の保険証に代えて「短期被保険者証」が交付されます。

短期被保険者証の有効期間は1か月〜6ヶ月と通常より短く、有効期間が切れるたびに窓口で更新手続きを行う必要がありますので、更新の手間が増えてしまいます。

③資格証明書の交付

国民健康保険料を1年以上滞納した場合、短期被保険者証に代えて「資格証明書」が交付されます。

資格証明書は、国民健康保険への加入資格を証明する書面です。

しかし、資格証明書を病院に提示するだけでは、保険料金で診療を受けることができません。

したがって、病院の窓口ではいったん、医療費の全額を自分で支払う必要があります。

後日、役所などの窓口で申請を行うことにより、保険負担分の医療費の払い戻しを受けることができます。

ただし、国民健康保険料の支払いを滞納している場合には、滞納分と払い戻し分が相殺されることになります。

④保険給付の差し止め

国民健康保険料を1年6か月以上滞納した場合、保険給付の差し止めが行われます。

保険給付が差し止められた場合、病院の窓口では医療費の全額を支払わなければならないのみならず、役所の窓口などで保険負担分の払い戻しを申請しても、保険料を滞納している間は払い戻しを受けることができません。

最終的には財産の差し押さえ・強制執行

国民健康保険の加入者が、保険者からの督促を受けてもなお保険料を納付しない場合は、最終的には加入者の財産を差し押さえることによって保険料を回収される場合があります。

法律上は、督促状に記載された納付期限(督促状を発した日から10日以上経過した日)を過ぎれば、保険者に被保険者の財産を差し押さえる権限が与えられるものとされています。

しかし実際は、納付される見込みがあるかどうかについて様子を見つつ、ある程度の期間が過ぎた後に財産の差し押さえを行うという運用がされているようです。

督促状が送られてくることを除いては、差し押さえは特に予告なく行われます。

差し押さえが行われてしまうと、一挙に生活に困窮してしまう場合もありますので、そうなってしまう前に何らかの対策を打つ必要があるでしょう。

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【国民年金を滞納すると】
年金についても、保険料を納めない場合、最終的には差し押さえがされます。まずは督促状の送付からはじまり、それでも期限までに納付がされない場合には、本人・配偶者・世帯主へと差し押え予告がされます。財産調査から財産の所持が明らかになれば差し押えがされ、強制的に徴収される流れになっています。
納付がされていない国民年金は、督促状に記載された納付指定日を過ぎた場合、当然ですが延滞金も発生します。国民年金の納付が困難な場合、きちんと申請すれば免除や減額できる方法があります。国民年金も払えない状況になっている場合は、すぐに弁護士にご相談ください。

国民健康保険料が払えない場合の対処方法

収入が少ない、または安定していないという場合には、国民健康保険料を支払う余裕がないケースもあるでしょう。
特に今は、新型コロナウイルスの影響もあり、日本経済が困窮しています。

このような場合に、保険料の滞納による保険給付の差し止めや財産の差し押さえを防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。その方法について詳しく解説します。

国民健康保険料の減額または免除

まず、市区町村を保険者とする国民健康保険であれば、前年度の世帯所得が一定額以下である場合、保険料が2割から7割減額されます。

この減額は、確定申告などで市区町村が把握している所得の金額によって自動的に行われるので、申請を行う必要はありません。

また、各市区町村の条例に基づき、生活が困窮しているなどの一定の場合については、保険料の免除が認められる場合があります。保険料の免除については、市区町村の窓口で申請を行うことが必要です。

市区町村以外が保険者となっている国民健康保険の場合にも、一定の条件下で保険料の減免が認められる可能性があります。詳しくは保険者の窓口に問い合わせてみましょう。

YouTubeでも関連動画で解説にしていますので、参考にしてください。

国民健康保険料の徴収猶予

保険料を支払えないことにつき特別な理由がある場合には、申請により、保険料の徴収猶予が認められる場合があります。

徴収猶予の要件は保険者によって異なりますが、一例として、以下のような事由を要件として定めていることが多いです(新型コロナウイルスの影響も当然検討してもらえるでしょう)。

  • 天変地異による被害
  • 廃業による収入減
  • 異常気象による農作物等の不作 など

詳細は、保険者の窓口に問い合わせてみましょう。

役所と交渉して分割払いを認めてもらう

保険料の分割払いについても、徴収猶予の一種として、申請により認められる場合があります。

特に分割払いの場合は、加入者が保険料納付の意思をはっきり表明している場面でもあり、保険者としても、徐々に未納状態が解消するのであれば歓迎であるため、交渉によって比較的柔軟に保険料の分割払いが認められるケースが多いようです。

保険料の減免が認められない場合であっても、分割払いに応じてもらえないかについて保険者の窓口に相談してみましょう。

債務整理を行い他の借金を整理

もしも他に借金があることが原因で、保険料の支払いに回すお金がないという場合であれば、債務整理を行うことで借金の負担を軽減するという方法も考えられます。

弁護士などに相談して債務整理を行い、借金の金額を減らしたり、返済スケジュールに余裕を持たせたりすることに成功すれば、保険料の支払いに回すお金を捻出できるでしょう。

一つ注意が必要なのは、滞納している保険料自体を債務整理により減らすことはできないということです。

加入者の保険料の支払い債務は、保険者である市区町村などに対して負っているわけですが、市区町村が交渉による債務の減免(任意整理)に応じてくれることはありません(国民健康保険の規約等に従って保険料が減免される場合を除きます)。

また、国民健康保険料に係る債権は、破産手続きに基づく免責の対象外とされています(破産法253条1項1号)。したがって、破産手続きによっても支払いを免除されることはありません。

以上の理由から、保険料自体を債務整理により減らすことはできませんが、根本的に財務状態を改善するという観点から、債務整理は有効な対処方法の1つと言えるでしょう。

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国民健康保険に関するよくある質問

国民健康保険を払わないとどうなる?

  • 保険証の停止
  • 医療費の自己負担割合の増加
  • 保険証の再開には手数料が必要
  • 滞納処理が行われ、差し押さえなどの手続き

以上、問題が大きくなりますので、滞納は大きな問題があります。

国民健康保険料の支払いの時効は?

国民保険料の消滅時効は2年、国民健康保険税の時効は5年です。

しかし、自治体が督促状の送付など滞納者に納付を求めたり、分割払いなどしていると時効はリセットされます。仮に時効を迎えたとしても2年間(5年間)の滞納額の支払いは必要になります。

国民皆保険制度とは?

国民皆保険制度とは、すべての国民が必ず公的な医療保険(健康保険)に加入していなければならないということを意味します。

日本は、「国民皆保険制度」を取っている国として知られています。

基本的には、各個人がそれぞれの職業や扶養の状況などに応じて指定された保険に加入することになります。

国民健康保険とは?

健康保険は、①会社員や公務員などが加入する健康保険と、②国民健康保険の大きく2つに分かれます(健康保険と国民健康保険は異なるものです)。

健康保険とは、大企業の社員などが加入する組合健保、中小企業の社員などが加入する協会けんぽ、公務員などが加入する共済組合が含まれます。

国民健康保険とは、健康保険に加入する資格がない人(自営業者など)が加入するのが、国民健康保険ということになります。

なお、国民健康保険には、市区町村が運営するもののほか、各業界団体が運営するもの(弁護士国保、税理士国保など)も含め、いくつかの種類が存在します。

国民健康保険と国民年金保険との違いとは?

国民保険(国保)には、国民健康保険だけでなく、「国民年金保険」という制度もあります。国民年金とは、日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の全ての人はが加入を義務付けられている制度で、原則65歳以降に受け取りができる公的年金です。

国民年金は職業によって適用区分が分けられています。国民健康保険は、他の社会保険に入っている人は強制されませんが、国民年金は対象の人全員が加入する制度になっています。

まとめ

国民健康保険料を一定期間以上滞納した場合、いったん医療費の全額を自己負担しなければならないという大きなデメリットがあります。

たしかに、滞納分を完納すれば後から還付を請求することはできるのですが、完納できない場合には、保険給付は行われないことになります。

「どうせ病気にならないから」などと高をくくって保険料を滞納していると、いざ病気になってしまった場合にきわめて高額な医療費を負担することになりかねません。
かと言って、高額な医療費を嫌がって病院に行かないと、病気がますます悪化してしまうおそれがあります。こうなってしまっては本末転倒でしょう。

国民健康保険を含む国民皆保険制度は、国民全員が必要な時に気兼ねなく医療を受けられるようにするための制度です。

万が一病気になってしまった場合に備えて、国民健康保険料はしっかり支払うようにしましょう。

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阿部 由羅 弁護士
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阿部由羅(あべ ゆら) 弁護士
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。一般民事から企業法務まで、各種の法律相談を幅広く取り扱う。webメディアにおける法律関連記事の執筆・監修も多数手がけている。
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