借金の消滅時効|時効成立の要件や援用の効果、リスクについて解説
「時効」という言葉は、刑事ドラマなどで耳にする機会がある方も多いのではないでしょうか。 この場合の時効は「公訴時効」…[続きを読む]
「『エムアールアイ債権回収会社』という会社からピンクの封筒が届いた」「聞いたこともない会社名だし、詐欺なのだろうか。無視し続けてもいい?」
そんなふうに悩んでいる方はいらっしゃいませんか?
実は、このエムアールアイ債権回収株式会社からの連絡を無視すると、財産が差し押さえられるなど、大変恐ろしい事態となってしまう恐れがあります。
今回は、「エムアールアイ債権回収株式会社」とは一体どんな会社なのか、実際に連絡が来てしまった時にはどんな対応をとれば良いのか、を丁寧に解説していきます。
目次
エムアールアイ債権回収株式会社とは、法務省からの認可を受けている債権回収の株式会社です。
債権回収会社(サービサー)は、サービサー法に基づき債権者から債権譲渡を受けて債権を回収しており、一般的に法令順守や個人情報保護に厳しいことで知られています。
エムアールアイ債権回収株式会社も、平成19年にはプライバシーマークを取得しており、多くの大手企業からの信用を得ています。
エムアールアイ債権回収株式会社はもともと、昭和60年に日本初のクレジットカード(マルイカード)を作った丸井グループの会社です。
丸井グループにはエポスカードとゼロファースト(平成26年エポスカードと合併)があり、エムアールアイ債権回収株式会社はマルイ(エポスカード)からの債権譲渡を受けていることが多いです。
その他、スルガ銀行などの金融機関も債権者となっています。
一定期間以上支払いを延滞したことで債権者が債権譲渡を行い、エムアールアイ債権回収株式会社のような債権回収会社から手紙が来てしまうと、信用情報にも影響が出てしまっていますので注意が必要です。
つまり、「この人は支払いを延滞した」という情報が残ってしまい、ブラックリスト入りしてしまうということです。
特にエポスカードは、約3ヶ月滞納すると債権が譲渡され、他社よりも譲渡のタイミングが比較的早いことを覚えておいてください。
エムアールアイ債権回収株式会社の督促の方法としては、電話や手紙、さらに自宅に訪問し取り立てに来ることもあります。
手紙での催促の場合、ピンクの封筒で、以下のようなタイトルのものが送られてくることが多いようです。
上記の手紙のように、すぐに連絡しなくちゃ!と思ってしまうタイトルのものが多く、特に「期間限定」で減額してくれる…などと書かれていると、つい焦って連絡してしまったという方が多くいらっしゃいます。
しかし、しばらくの間支払いを行なっていない場合、債務がすでに時効となっている場合があります。
エムアールアイ債権回収株式会社から送られてくるピンクの封筒を開封すると、なかには通知書が入っています。
その通知書に
などの記載があるはずですので、その日付を確認してみてください。
その日付がもしも5年以上前であった場合には、時効の可能性があります。
そのため、エムアールアイ債権回収株式会社から連絡が来たら、まずは時効が満了となっているかどうかを確認する必要があります。
借金の時効は、刑事事件などの時効とは異なり、そのまま何もせずに時効が自動的に成立するわけではありません。
時効を成立させるためには、「時効の援用」の手続きが必要となります。
時効となっている可能性が高いと判断できる場合には、債務者がエムアールアイ債権回収株式会社に対して、内容証明郵便などの書面によって消滅時効を援用するという旨を通知する必要があります。
弁護士に相談することで、消滅時効の援用も弁護士が代理人となって行うことができ、また本当に時効が成立しているかどうかの確認をしてもらうことができます。
詳しくは以下のコラムをご覧ください。
エムアールアイ債権回収株式会社からの手紙に、
などの内容が書かれていたとしても、もしも時効が成立している場合には、元金についても一切支払いの義務はなくなっています。
もちろん、利息や損害金についても同様です。
しかし、手紙や電話を受けて慌ててしまい、安易に相手と支払いについての相談をしてしまうと、時効が中断されてしまい、ゼロからのスタートとなってしまいます。
そのため、もしも最終支払い日から5年以上経過していて、時効が成立している可能性がある場合には、安易に連絡をとる前に弁護士に相談し、時効を主張することができるかどうか判断してもらうことをオススメしています。
時効が中断してしまう原因となる行動は、主に以下のようなものがあげられます。
すでに5年以上が経過し、時効期間経過後であったとしても、これらのことをすれば、時効を援用することはできないので注意してください。
【置き手紙】
自宅にいない時間にエムアールアイ債権回収株式会社の方が訪問した場合には、ポストに手紙が投函されていることがあります。
「○日以内のご連絡をお待ち申し上げております」「延滞利率の減免・遅延損害金の減額等のご相談を承っております」などの記載があり、裏面が「ご相談承り票」となっています。
この「ご相談承り票」に記載して返送してしまった場合も、時効が中断する可能性がありますので、安易に返送することなく、まずは弁護士に相談するようにしてください。
エムアールアイ債権回収株式会社は、電話や手紙だけではなく、自宅訪問による取立てを行うこともあります。
自宅を訪問された場合にも、電話や手紙の場合と同じく、時効の可能性がある場合には一切返済に応じないようにしてください。
実際に一部を返済してしまうのはもちろんのこと、口頭で返済に関するやり取り(「少し待ってください」「分割・減額してください」など)をしてしまうのもNGです。
前述の通り、このような一部弁済・返済交渉は、時効の中断事由に該当してしまいますので、もしも時効となっている場合にもゼロからのスタートとなってしまいます。
何の手続きや対応もしない状態でエムアールアイ債権回収株式会社からの連絡を無視し続けると、裁判となり、財産を差し押さえられてしまう可能性があります。
エムアールアイ債権回収株式会社が裁判所への手続きを行うと、簡易裁判所から特別送達によって「支払督促申立書」が送られてきます。
裁判所からの手紙で慌ててしまう方もたくさんいらっしゃるのですが、まずは慌てずに「支払督促申立書」の中身をしっかりと確認してください。
もしも身に覚えのない請求である場合には、「異議申立書」を、簡易裁判所に対して支払督促申立書の受け取りから2週間以内に提出する必要があります。
「異議申立書」は「支払督促申立書」に同封されています。
「異議申立書」の提出期限である、「支払督促申立書」が送付されてから2週間後の日から数えて30日間、債権者(エムアールアイ債権回収株式会社)は仮執行宣言の申立てをすることができます。
その後、この仮執行宣言の申立の内容に問題がなかった場合には問題がなかった場合には、「仮執行宣言」が発付され、「仮執行宣言付支払督促」が送付されます。
この時点でもまだ無視を続けてしまった場合、債権者は裁判所に対し、財産の差し押さえなどの強制執行の申立てが可能となってしまいます。
家などの大切な財産を失うことのないよう、出来る限り早めの対応が必要となります。
【分割払いの交渉】
もしも最終支払い日から5年以上経過していない場合や、時効が中断してしまっている場合には、分割での返済の交渉を行うことになります。
エムアールアイ債権回収株式会社は、和解条件がそれほど厳しくない傾向があるようなので、一度分割払いの交渉をしてみることをオススメします。
「エムアールアイ債権回収株式会社」という聞いたこともない名前の会社からいきなり連絡がきて、詐欺なのでは?と思い無視してしまった…という方はたくさんいらっしゃいます。
しかし、「エムアールアイ債権回収株式会社」からの連絡を無視し続けてしまうと、最悪の場合ご自宅や車などの大切な財産を失ってしまう可能性も出てきます。
とはいえ、時効が成立しているかどうかの確認や、裁判所とのやり取りは、精神的にも大きな負担がかかるものです。
もしもエムアールアイ債権回収株式会社から電話や手紙などが来て不安な場合は、できる限り早い段階で弁護士に相談することをオススメします。