自己破産ができない免責不許可事由とは?失敗するケースを解説
債務者に「免責不許可事由」があれば、自己破産に失敗してしまうケースがあります。しかし、弁護士に依頼して対処すれば、裁…[続きを読む]
があります。免責審尋は、裁判官が破産者の債務を「免責」するかどうかを判断する場です。
免責とは、借金を完全にゼロにすることを指します。そのため、免責が認められない場合、自己破産の目的は達成されません。ただし、免責審尋で言葉を誤ってしまうことで自己破産が無効になることを過度に心配する必要はありません。
この記事では、自己破産の免責審尋で何が行われるか、そして自己破産がうまくいくためにどのように対応すべきかをわかりやすく説明します。裁判所からの質問にどのように答えるべきか、どのような準備をするべきかについても解説していきます。
免責審尋とは、破産者の免責を認めるべきかどうかを判断するために、裁判官が破産者と面談をして様々な質問をするための手続きです。
自己破産の破産手続(財産を売却してお金に換え、破産申立人の債権者へ平等に配当する手続き)が終わり、免責の判断が必要になった際に開かれます(破産手続の開始決定から約2~3ヶ月後)。
免責審尋が主に問題となるのは、破産者に「免責不許可事由」がある場合です。
免責不許可事由とは、ギャンブルや浪費・投資の失敗・偏頗弁済(一部の債権者にのみ返済すること)・財産隠しなど、免責を許可すべきではないとされている事情です。
この場合、裁判官に「裁量免責(裁判所の裁量で特別に免責を認めてもらうこと)」をしてもらわないと免責を受けられません。
免責審尋の結果は、この裁量免責の判断に大きな影響を与えます。
免責不許可事由がある方は、免責審尋の際に免責不許可事由に関する質問を受ける可能性もあるため、あらかじめ弁護士と受け答えについて打ち合わせしておくことがお勧めです。
免責審尋の方法は、各地の地方裁判所によって異なります。
東京地裁ではすべてのケースで免責審尋を実施しますが、免責審尋を行わず書面審理のみで免責の判断を行う裁判所もあります。
また、免責審尋が行われる場合であっても、裁判官と破産者が一対一で個別に実施するケースもあれば、1つの部屋に多くの破産者を入れて集団で免責審尋が行われるケースもあります。
通常のケースでは書面審理や集団審尋にしていても、免責不許可事由のある破産者の場合にのみ個別審尋にしている裁判所もあります。
これは、同時廃止や管財事件かによっても変わってきます。
個別審尋の場合、約10分程度で終了します(集団審尋はもう少し時間がかかることがあります)。
免責審尋終了後、約1週間で免責の決定が出るでしょう。
では、免責審尋期日には、どのようなことを聞かれるのでしょうか?
原則的に、「借金の理由」や「反省しているかどうか」は、申立書類や陳述書・反省文に書いてあるので、プライバシーの保護のため免責審尋においても質問されることはありません。
しかし、「自己破産」や「免責」について、その趣旨などを尋ねられることはあるようです。
ケースにもよりますが、以下のようなことを聞かれるケースが多数です。
集団審尋の場合には、裁判官が出席した破産者に順番に答えを述べさせるケースが多数です。
(人数が多い場合、裁判官から指定されなければ何も答えずに済む場合もあります。)
いずれにせよ、確認事項については「はい、間違いございません」と答え、誠実な回答をしていれば過度に心配する必要はありません。
最後に、免責審尋を受ける際の注意点を確認していきます。
免責審尋に出席する際、服装に決まりはありません。服装によって免責されるかどうか決まることは一切ないので安心しましょう。
特に集団審尋の場合には、たくさんの破産者にまぎれるので、よほど奇抜な服装でなければ注目されることはほとんどありません。
とはいえ、裁判所の心証を損なわないためにも、あまりに着崩れた格好や、ブランド品に身を包むのは避け、シャツと長ズボンなど地味かつきちんとした格好をしていくべきでしょう。
事前に出頭者カードを受け取っていたら、これを持参します。
他には特に必要なものはありませんが、念のため身分証明書を持参すると良いでしょう。
なお、自己破産手続きを弁護士に依頼していない場合は、今まで提出した書類の控えや裁判所から届いた免責審尋の呼出状も必要です。
免責審尋期日については、事前に時間と場所を指定されます。時間は平日の午前か午後、場所は地方裁判所内です。
申立代理人の弁護士から連絡を受けるので、間違いなく指定された日時に指定された場所へ出頭しましょう。
なお、遅刻をすると裁判官の心証は悪くなります。10分前には到着しているように準備すべきですが、どうしても間に合わない場合は必ず事前に弁護士に連絡を入れましょう。
免責審尋期日には、破産者本人が必ず出席しなければなりません。破産申立てを弁護士に依頼していても同じです。
※弁護士は一緒に出席してサポートしてくれますが、「代わりに免責審尋に行ってもらう」ことは不可能です。
何の連絡もせずに欠席すると、本当に免責不許可にされてしまうおそれがあります。
どうしても都合がつかない場合、早めに申立代理人の弁護士に伝えて日にちを変更してもらいましょう。
免責審尋で「裁判官と面談」と言われると、多くの破産者の方が萎縮してしまいますが、過度におそれる必要はありません。
申立代理人の弁護士がいたら、事前にどのようなことを聞かれそうか尋ねることもできます。実際の免責審尋は基本的な情報を確認するに止まることがほとんどで、10分ほどで終了します。免責審尋が原因で実際に免責不許可になるケースは滅多にありません。
とはいえ、無断欠席や遅刻は厳禁です。最低限のマナーを守りつつ、免責審尋に臨みましょう。