名義貸しのリスクとは?トラブルを回避・解決する方法について

借金や携帯電話の契約をするとき「名義貸し」を頼まれることがあります。
名義貸しとは、他人が借金や携帯電話などの契約をするときに自分の名前で契約してあげることです。
借入の限度額を超えていたり、ブラックリストに載っていたりして、本人名義では借金できない場合などに利用されます。
しかし、名義貸しが「詐欺」に該当することもありますし、借金の場合には、借入をした本人が返済しなければ、名義貸しをした人に支払義務が及ぶので注意が必要です。
以下では名義貸しに伴うリスクと、名義貸しトラブルに巻き込まれないための方法、さらに巻き込まれた時の対処法を紹介していきます。
目次
1.名義貸しとは
そもそも「名義貸し」とはどういったことなのでしょうか?
名義貸しは、自分の名前を他人に貸して、他人が自分名義で何らかの行動をすることです。
借金、携帯電話の名義貸しや個人事業の名義貸し、銀行口座の名義貸しの事例もとても多くなっています。
たとえば借金の場合、名義貸しは「他人が借金するときに、自分の名前を貸してあげること」です。
2.さまざまな名義貸しのパターン
名義貸しには、以下のようなさまざまなパターンがあります。
2-1.借金の名義貸し
よくあるのが、親子や兄弟、友人などから「自分名義では借金できないから、代わりに名義人になってローンやクレジットカードを契約してほしい」と頼まれるパターンです。
本人は過去に返済を延滞したり債務整理をしたりして「ブラックリスト」状態となっているケースが多数です。
自分でカードを作れないから親族名義でカードを作ってもらい、返済は自分でしていくという考えです。
同じように、「自分では自動車ローンを組めないので、代わりにローン名義人になってほしい」と頼まれるケースもあります。
2-2.クレジットカードやサラ金を使った名義貸しの詐欺
クレジットカード会社や消費者金融で「上限いっぱいまで借入をしてお金を渡してください。返済はこちらでします。あなたには謝礼金を支払います。」などと誘ってくるパターンがあります。
言われた方は「名義を貸すだけで謝礼金をもらえるならいいか」と思い、安易な気持ちでクレジット契約や消費者金融の契約をしてお金を渡します。
しかし、実際には相手が返済をすることはなく、支払いはすべて名義の貸与者がすることとなり、謝礼金の何倍もの借金が残ります。
2-3.携帯電話の名義貸し
借金返済に困っていると、闇金業者などから「携帯電話の契約をしてこちらに渡せ」などと言われるケースがあります。また、ネット掲示板などで「携帯電話を契約して渡してくれたら〇万円払います」などの「アルバイト」の勧誘が行われている場合もあります。
これらはいずれも携帯電話の名義貸しを狙った行動です。
携帯電話は振り込め詐欺や闇金などの犯罪に必須のツールですが、犯罪者たちが自分の名義で契約すると足がついて捕まるおそれがあります。
そこで、全く関係ない一般人に契約させて自分たちでその携帯電話を使おうとします。
上記のような脅しや誘いに乗ると、自分名義の携帯電話が犯罪に使われることになりますので、後に捜査の手が及んだら、振り込め詐欺や闇金と関連していたのではないか?と疑われて、捜査対象になる可能性があります。
2-4.銀行口座の名義貸し
闇金などから「銀行口座を開設して通帳やキャッシュカードを渡せ」と言われるケースや、口座売買業者が口座の買取を打診してくるパターンがあります。
銀行口座も携帯電話と同様、詐欺や闇金には必須のツールですが、犯罪者が自分名義で作ると足がつくものです。そこで無関係な一般人に作らせた口座を売買しています。
「謝礼を渡すから口座を作ってくれ」などと言われて自分名義の口座を渡すと、その後口座が犯罪に利用されて、捜査の手が及んだときに疑われる危険が発生します。
3.名義貸しのリスク
名義貸しは、非常に高い危険を伴うので、絶対にやってはいけません。以下で名義貸しの具体的なリスクをご紹介していきます。
3-1.借金返済を請求される
名義貸しで多いのは、親族などから「カードや消費者金融のキャッシングの名義人になってほしい」など「借金の名義を貸してほしい」と頼まれるパターンです。
名義を借りた人が返済をすることが前提となっており、実際に借り入れてからしばらくの間は、借りた本人がきちんと返済するケースも多数です。
しかし、いつまでも順調に返済を続けられるとは限りません。もともと自分で借金できない事情を抱えた人ですから、いつ何時状況が変わって支払いを止められるか分かりません。
本人が支払いを止めたらカード会社や消費者金融は当然「名義人」である名義の貸与者に請求してきます。債権者にしてみると、「貸した相手は名義人」だからです。
「これは名義貸しだから」などと言っても通用せず、支払いをしなければ裁判をされて給料などを差し押さえられる可能性もあります。
最終的には、名義貸しをした者が自己破産しなければならないケースもあります。
3-2.お金をだまし取られる
他人や業者から「謝礼をするから、カードや消費者金融で借りてお金を渡してほしい。」などと言われたときには要注意です。こういったケースは詐欺である可能性が非常に濃厚だからです。
言われるがままに借金してお金を渡すと、相手はお金を持ち逃げして残った借金は自分で払わねばなりません。
相手が見つかれば返還請求もできますが、多くの場合相手は逃げてしまって捕まえられないものです。
また。相手の居場所がわかってもすでにお金を使い込んでいたり財産を隠していたりして、取り戻すのは容易ではありません。
結局騙された被害者が債務整理をしなければならない状況に陥るケースも少なくありません。
3-3.犯罪行為に手を貸すことになる
携帯電話の名義や銀行口座の名義貸しは、借金以上に危険です。こういったものは、犯罪に利用される可能性が非常に高いからです。
あなたの名義の口座が振り込め詐欺の入金先に使われていたら、あなたが犯罪の一翼を担っていると言われても仕方がないでしょう。
名義貸しは、社会問題となっている大きな犯罪行為に手を貸すことにもつながります。
さらに、犯罪に手を貸すだけでは済まず、自分が犯罪者となってしまう可能性もあります。
携帯電話や銀行口座の売買も犯罪です。
名義貸しそれ自体が犯罪なので、逮捕される可能性も少なくありません。
4.名義貸しの問題を解決する方法
では、名義貸しトラブルに巻き込まれないためには、どのように対処すれば良いのでしょうか?
4-1.名義貸しを頼まれても絶対断る
まず、知らない人から名義貸しを頼まれても絶対に断ることです。「謝礼を渡すからクレジットや消費者金融で借りてお金を渡してほしい」、「報酬と引換に携帯や口座を渡してほしい」などと言われても誘いに乗ってはいけません。
また、親族や親しい友人から「返済は絶対こちらでするから、頼むから名義だけ貸してほしい…」と頼み込まれたら、なかなか断りにくいものです。
しかし、ここで名義を貸すと大きなトラブルにつながる可能性があります。心を鬼にして断りましょう。
4-2.債務整理を勧める
名義貸しを頼んできた親族や友人に借金があって首が回らなくなっている様子であれば、債務整理を勧めてあげるのも1つの解決方法です。
人に借金の名義を頼まなければならないほど借金がかさんでいるなら、遅かれ早かれ支払えなくなる可能性も高いので、早めに債務整理をしておくと本人にためにもなるでしょう。
5.名義貸しをしたら弁護士に相談を
親族や友人に借金の名義を貸して本人が払わなくなったり、詐欺業者に騙されて名義を貸したりして多額の借金を背負ってしまったら、一人で悩まずに早めに弁護士等の専門家のところへ相談に行きましょう。
借金問題は、債務整理によって解決できます。名義貸しの借金や詐欺被害でできた借金でも債務整理の対象になりますし、相談した弁護士から怒られたり責められたりすることもありません。
専門家はあなたの状況に応じて債務整理の方法を選択し、進めてくれます。債務整理が成功したら借金が大きく減ったり免除されたりして人生をやり直すことが可能となります。
安易な気持ちで名義貸しをしてしまったら、後に思わぬトラブルに巻き込まれる危険性が高まります。
名義貸しは絶対にしないこと、万一トラブルになったらすぐに弁護士に相談して、正しい方法で解決しましょう。