名義貸しのリスク|携帯・カードローン等の名義貸しは厳禁の理由

名義貸し

携帯電話やカードローンをするとき、ごくまれに「名義貸し」を頼まれることがあります。

名義貸しとは、親族や他人が携帯電話・口座開設・借入(借金)などの契約をするときに、実際に利用する人ではなく自分の名前を貸して契約してあげることです。自分の名前を他人に貸して、他人が自分名義で何らかの行動をすることになります。

借入の限度額を超えていたり、ブラックリストに載っていたりして、本人名義では借金できない場合などに利用されます。

しかし、名義貸しは非常に高い危険を伴うので、絶対にやってはいけません
名義貸し行為が「詐欺」に該当することもあります。また、借金の場合には、借入をした本人が返済しなければ、名義貸しをした人に支払義務が及ぶので注意が必要です。

この記事では、名義貸しに伴うリスクと、携帯・カードローン等の名義貸しは厳禁の理由、名義貸しトラブルに巻き込まれないための方法、対処法を紹介していきます。

名義貸しのリスク

早速ですが、名義貸しの具体的なリスク・デメリットをご紹介していきます。

借金返済を請求される

名義貸しで多いのは、親族などから「借入をしたいから名義を貸してほしい」と頼まれるパターンです。
名義を借りた人が返済をすることを前提に、クレジットカードや消費者金融のキャッシング、カードローンの名義を貸してほしいと頼まれるのです。

実際に借り入れてからしばらくの間は、借りた本人がきちんと返済するケースも多数です。
しかし、いつまでも順調に返済を続けられるとは限りません。もともと自分で借入ができない事情を抱えた人ですから、いつ何時、状況が変わって支払いを止められるか分かりません。

本人が支払いを止めたら、カード会社や消費者金融は当然「名義人」である名義の貸与者に請求してきます。債権者にしてみると、「貸した相手は名義人」だからです。

「これは名義を貸しただけだから」などと言っても通用せず、支払いをしなければ給料などを差し押さえられる可能性もあります。

最終的には、名義貸しをした者が自己破産しなければならないケースもあるのです。

そもそも、消費者金融からの借入やクレジットカードの利用は、契約者本人(名義人)以外の者が利用することを禁止していることが通常ですので、名義貸しがバレた時点で強制解約や一括返済を求められることになるでしょう。
クレジットカードの場合なら、「家族カード」という代替策が考えられます。

犯罪行為に手を貸す可能性

携帯電話の名義や銀行口座の名義貸しも非常に危険です。こういったものは、犯罪に利用される可能性が非常に高いからです。

あなたの名義の口座が振り込め詐欺の入金先に使われていたら、あなたが犯罪の一翼を担っていると言われても仕方がないでしょう。

名義貸しは、社会問題となっている大きな犯罪行為に手を貸すことにもつながるということです。
知らないうちに自分が犯罪者となってしまう可能性すらあります。

また、携帯電話や銀行口座の売買も犯罪です。

さまざまな名義貸しのパターン

名義貸しには、以下のようなさまざまなパターンがあります。

借金の名義貸し

上でも記載しましたが、家族や友人などから「自分名義では借金できないから、代わりに名義人になってローンやクレジットカードを契約してほしい」と頼まれるパターンは多いです。

この場合、本人は過去に返済を延滞したり債務整理をしたりして「ブラックリスト」状態となっているケースが多数です。
自分でカードを作れないから親族や友人の名義でカードを作ってもらい、返済は自分でしていくという考えです。

同じように、「自分では自動車ローンを組めないので、代わりにローン名義人になってほしい」と頼まれるケースもあります。

携帯電話の名義貸し

ネット掲示板などでは「携帯電話を契約して渡してくれたら〇万円払います」などの「アルバイト」勧誘が行われていることがあります。
また、関わってしまった闇金業者から「携帯電話の契約をしてこちらに渡せ」と言われることもあるかもしれません。

これは、携帯電話の名義貸しを狙った行為です。

携帯電話は振り込め詐欺や闇金などの犯罪に必須のツールですが、犯罪者たちが自分の名義で契約すると足がついて捕まるおそれがあります。
そこで、全く関係ない一般人に契約させて、自分たちでその携帯電話を使おうとします。

上記のような誘いや脅しに乗ると、自分名義の携帯電話が犯罪に使われることになります。
後に捜査の手が及んだら、振り込め詐欺や闇金と関連していたのではないか?と疑われて、捜査対象になる可能性があります。

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銀行口座の名義貸し

携帯電話だけでなく、闇金などからは「銀行口座を開設して通帳やキャッシュカードを渡せ」と言われるケースがあります。
また、口座売買業者が口座の買取を打診してくることもあるようです。

銀行口座も携帯電話と同様、詐欺や闇金には必須のツールですが、犯罪者が自分名義で作ると足がつくものです。そこで、無関係な一般人に作らせた口座を売買しています。

謝礼を渡すから口座を作ってくれ」などと言われて自分名義の口座を渡すと、その後口座が犯罪に利用されて、捜査の手が及んだときに疑われる危険が発生します。

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名義貸しトラブルへの対処法

では、名義貸しトラブルに巻き込まれないためには、どのように対処すれば良いのでしょうか?

名義貸しを頼まれても断る

まず、名義貸しを頼まれても絶対に断ることです。「謝礼を渡すからクレジットや消費者金融で借りてお金を渡してほしい」「報酬と引換に携帯や口座を渡してほしい」などと言われても、その誘いに乗ってはいけません。

親族や親しい友人から「返済は絶対こちらでする。頼むから名義だけ貸してほしい」と頼み込まれたら、なかなか断りにくいものです。
しかし、ここで名義を貸すと大きなトラブルにつながる可能性があります。上記のリスクを思い出し、心を鬼にして断りましょう。

債務整理を勧める

名義貸しを頼んできた親族や友人は、借入の限度額がいっぱいになっている可能性もあります。
借金が嵩んで首が回らなくなっている様子であれば、債務整理を勧めるのも1つの解決方法です。

人に名義貸しを頼まなければならないほどなら、遅かれ早かれ支払えなくなる可能性も高いです。早めに債務整理をしておくと、本人にためにもなるでしょう。

よくある質問

他人や業者からの借入依頼は詐欺?

親族ではなく、他人や業者から

  • 「謝礼をするから、カードローン・消費者金融で借りてお金を渡してほしい」
  • 「上限いっぱいまで借入をしてお金を渡してください。返済はこちらでします。あなたには謝礼金を支払います」

などと言われたときには要注意です。こういったケースは詐欺である可能性が非常に濃厚です。

言われるがままに借金してお金を渡すと、相手はお金を持ち逃げしてしまいます。残った借金は自分で払わねばなりません。相手の居場所がわかっても、すでにお金を使い込んでいたり財産を隠していたりするケースがほとんどですので、取り戻すのは容易ではありません。

結局騙された被害者が債務整理をしなければならない状況に陥るケースも少なくありません。

携帯電話は名義貸しできる?

契約の名義とは別に「利用者欄」へ利用者の名義を登録することで、その情報が通信会社側にもしっかりと登録されます。

この利用者欄に登録できるのは家族のみとなりますので、第三者に頼まれたとしてこの欄に家族以外の名前を記載することは絶対にしてはいけません

携帯電話の場合、未成年の子どもや高齢の両親に持たせるため、家族が代わりに契約することもあるでしょう。この場合、契約時にキャリアへとその旨を伝えてください。

名義を貸してしまったら

親族や友人に借金の名義を貸した結果、本人が払わなくなった場合には、一人で悩まずに早めに弁護士等の専門家へ相談しましょう。

借金問題は「債務整理」によって解決できます。名義貸しが原因でできた借金でも整理の対象になります。相談した弁護士から怒られたり責められたりすることもありません。
弁護士は、あなたの状況に応じて最適の債務整理の方法を選択し、手続きのサポートをしてくれます。

また、闇金業者や詐欺業者に騙されて名義を貸した結果、携帯電話や口座が犯罪に使われてしまったり、多額の借金を背負ってしまったりしたならば、警察への相談も視野に入れるべきです。

安易な気持ちで名義貸しをしてしまったら、後に思わぬトラブルに巻き込まれる危険性が高まります。
名義貸しは絶対せず、万が一トラブルになったらすぐに弁護士に相談して、正しい方法で解決しましょう。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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