債務整理とは?メリット・デメリットと3種類の手続き方法をFPが解説
「誠実に借金の返済を続けているのに元金がほとんど減らず完済の目途が立たない」「毎月の返済ができず、借金を返すためにま…[続きを読む]
未成年者の場合、お金を借りることが返済困難を引き起こし、利息や遅延損害金が積み重なって返済不能になる可能性があります。そのため、民法では未成年者の借入に制限を設けています。
一方で、借金問題が深刻になった場合、自己破産や個人再生などの債務整理手続きを通じて借金問題を解決することが考えられます。未成年者でも債務整理を行うことは理論的には可能ですが、実際には年齢や法的制約により一部の手続きが制限される場合があります。
また、親に内緒で借金問題を解決したい未成年者も存在するかもしれませんが、その可否はケースバイケースです。未成年者は法的に保護されており、未成年者が自己破産や債務整理を行う場合には法的な手続きや親の同意が必要とされることがあります。
この記事では、「未成年者の借金は無効とされるのか?未成年者の借金問題の取り消しや債務整理の可否」について詳しく解説します。未成年者が借金問題を抱えた際に、法的な規定や手続き、対応策について理解を深めるための情報を提供します。
目次
借金をすることは、すなわち「お金を貸してもらい、それを(場合によっては利息も含めて)返す」という契約を結ぶことを言います(金銭消費貸借契約)。
そして未成年者は、親権者の同意なしには契約ができないのが原則です。
すなわち、法的に言えば未成年は単独では借金をすることができないのです。
しかし、現実として借金をしている未成年者は存在します。
例えば、以下のような場合に未成年者は借金をすることができます(あくまで法律上借金が可能であるというだけであり、債権者が断る可能性もあります)。
親権者には、その名の通り「親権」という強力な権利があります。
未成年者の親は、親権によって未成年者の契約を取り消すことができます。
すなわち、仮に未成年の子が親に内緒で単独で借金をしても、気づいた親が後から取り消して無効にすることで借金問題は解決できるのです。
また、親だけでなく、未成年者本人も借金の契約を取り消すことができます。
この場合、手元に残っている利益(現存利益)については債権者に返還しなければなりません。
例えば、借りたお金でバイクを買ったならば、そのバイクは換金・返還することになります。
上記の通り、借金の契約は親権者や未成年本人が取り消すことができます。
しかし、無制限に取り消しが可能なわけではありません。
以下のように借金を取り消せないケースでは、当然ながら返済義務が生じ、もし返済できない場合は自己破産等の債務整理を行う必要に迫られます。
お金を借りる時に「自分は成年者だ」と嘘をついたときは、嘘をついた未成年者本人はもちろん、親権者であっても借金の契約を取り消すことができません。
口頭で年齢を偽った場合だけでなく、免許証等の生年月日を偽造・変造して年齢を偽った場合もこれに当たります。
貸金業者等に嘘をついた未成年者側に非があるとの理由で、債権者(お金を貸した側)を保護するために返済義務が残るのです。
また、年齢を偽っていなくても、「親権者の同意がある」と嘘をついて借金をした場合もこれに当てはまります。
例えば、親権者の同意書が必要なときに未成年者が同意書を偽造したり、親権者のハンコを勝手に使ったりした場合です。
未成年者が借金をするには親の同意が必要です。
逆に言えば、親権者の同意がある契約は有効なものとなり、後で未成年者側の都合が悪くなったからと言っても取り消すことはできません。
また、後から借金を知った親権者が、契約後に「追認」したような場合も契約を取り消せません。
(債権者は、追認するかどうかを1ヶ月以上の期間内に返答するように促すことができます。)
同じような理由で、未成年者であっても結婚している人の場合や、親の同意を得て商売をしている場合は成年者とみなされるので、貸金契約は有効に成立します。
したがって、この場合も契約の取り消しができません。
未成年のときにした借金を本人が成人してから認めた(追認した)ときは、それ以降その借金を取り消すことができません。
成人であれば契約を有効にすることができるので、お金を借りたことを成人後に追認したときは、契約を有効に成立させたことと同じになるのです。
なお「借金をしたと認めます」「お金を返します」という意思を示さなくても、借金の一部を返済したら借金を認めたものとされるので、同様にそれ以降借金を取り消すことができなくなります。
ちなみに、債権者は成年した契約者本人に対して、「借金を取り消すか」「追認するか」を、1ヶ月以上の期間内に返答するように促すことができます。
これは未成年者の親に対する促進と同じで「催告権」と言います。
債権者(お金を貸す側)の立場としては「結局、相手が追認か取消をするまで、契約が有効になるかどうかが分からない」という、非常に不安定な状況に置かれることになるため、このような権利が認められるのです。
仮に返答がない場合は、追認したものと見なされて、借金は有効になります。
取り消せない借金を未成年が背負い、返済も難しくなった場合、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)による解決が考えられます。
債務整理については、特に年齢制限の規定がありません。未成年でも問題なく債務整理ができるのです。
しかし、未成年者は親に内緒で債務整理をすることはできません。
債務整理には様々な契約行為が絡みます。
例えば、任意整理は債権者と「和解契約」を締結するタイプの債務整理です。未成年者は単独で契約行為を行うことができないので、和解契約を締結するにも親権者の同意が必要になります。
そもそも任意整理は債権者との交渉が必要であり、この交渉を未成年者が単独で行うのは困難ですので、必然的に弁護士の助力が必要となるでしょう。
また、個人再生や自己破産のときにも、弁護士との契約が事実上必須となります。
なぜなら、裁判所を介する個人再生・自己破産の手続は非常に複雑であり、一般人が自力で行うことはほとんど不可能だからです。
そして、弁護士に依頼するときには弁護士と契約をしなければなりません。このときの契約にも親権者の同意が不可欠です。
以上から、未成年者が親に内緒で債務整理をすることはできないのです。
このように、未成年者でも借金に苦しくなったら債務整理は可能ですが、それには親の同意が必要です。
決断は難しいかもしれませんが、借金で苦しむ期間を少しでも短くするために、できるだけ早く親権者に打ち明けた上で、弁護士にご相談することをお勧めします。
借金問題に慣れた弁護士であれば、未成年者の債務整理にもしっかりと対応してくれるので、どうぞためらわずにご相談ください。