官報公告とは?自己破産や個人再生が家族・職場にばれる危険性

官報

個人再生や自己破産をしたいと思っても「官報公告への掲載が心配で踏み切れない」という方がいらっしゃいます。

2019年や2022年に、破産者の官報情報を集めた「破産者マップ」というサイトが作られた件などもあって、官報公告される影響を懸念する方は以前より増えていることでしょう。
参考:【2023年】破産者マップに載ったらどうなる?影響と対応方法

実際、個人再生や自己破産をしたときの「官報公告」は、その後の生活にどのような影響を及ぼすものなのでしょうか?
これによって家族や勤務先に自己破産や個人再生がバレる可能性はあるのでしょうか?

今回は、個人再生や自己破産をしたときの「官報公告」について、官報とは何か?官報に掲載される内容・掲載のタイミング・掲載期間・周囲にバレる可能性などを解説します。

官報公告とは?

官報公告とは、個人再生や自己破産をすると、官報に氏名や住所、個人再生や自己破産をした事実が掲載されることを言います。

官報とは、政府が休日をのぞいて毎日発行している新聞のような機関誌です。

(任意整理の場合は掲載されません。)

官報公告の目的は?

官報公告の目的は、「債権者に個人再生や自己破産を知らせること」です。
債権者は、お金を貸している貸金業者や銀行などのことです。

個人再生や自己破産では、すべての債権者を対象にしなければなりませんが、債務者が把握しておらず手続きから漏れている人がいるかも知れません。
そこで、官報公告により、全員に広く知らせるというのが目的となっています。

なお、官報の掲載には費用がかかり、これは債務者が負担することになっています。
費用については裁判所によって異なりますが、1〜2万円程度が多いでしょう。

官報公告で掲載される情報

官報とは

官報とは?

では、実際に自己破産や個人再生で官報公告されたら、どのような情報が掲載されるのでしょうか?

自己破産と個人再生のケースで異なるので、それぞれご紹介します。

自己破産の場合

自己破産の場合には、以下のような情報が掲載されます。

  • 破産者の氏名
  • 破産者の住所
  • 事件名
  • 決定の内容
  • 債権者集会の日時や場所
  • 破産管財人の連絡先
  • 裁判所名

個人再生の場合

個人再生の場合には、以下のような内容です。

  • 再生債務者の氏名
  • 再生債務者の住所
  • 事件名
  • 決定の内容
  • 再生債権の届出期間
  • 一般異議申述期間

どちらも、借金の理由などは掲載されません。
債務者にとって重要なのは「氏名や住所」などの個人情報と、「事件名(破産や個人再生)」なのです。

官報公告にはいつ載るか

では、官報公告は、いつ、どのタイミングで行われるのでしょうか?

これについても自己破産と個人再生のケースで異なるので、それぞれ説明します。

自己破産の場合

自己破産では、以下の通り「最初と最後の2回」のタイミングで官報公告されます。

破産手続き開始決定が出た後

自己破産を申し立て、特に問題がなければ裁判所で「破産手続き開始決定」がおります。その段階から約2週間後に一度官報公告されます。

免責決定が下りた後

個人が自己破産するときには、最終的に免責決定が下されます。免責許可決定の約2週間後にもう一度官報公告されます。

個人再生の場合

個人再生の場合には、手続きの最初と中盤、終了時の3回にわたって官報公告が行われます。

個人再生手続き開始決定が下りた後

個人再生を申し立てたとき、特に問題がなかったら「個人再生手続き開始決定」がおります。そのタイミングで一度官報公告されます。

書面決議に付する決定が下りた後

個人再生の手続きが進み、債務者が再生計画案を提出すると、裁判所が「書面決議に付する決定」をします。これによって債権者に意見を聞くのです。その際に2回目の官報公告が行われます。

再生計画案の認可決定が下りた後

個人再生では、最終的に再生計画案の認可が下りることによって手続きが完了します。認可決定時に3回目の官報公告が行われます。
上記の決定があってから2週間程度経過した後の官報に情報が掲載されます。

官報公告はいつまでされるか

いったん官報に情報が掲載されると、どのくらいの期間掲載され続けるのでしょうか?

官報は、インターネット媒体でも閲覧できますが、基本的に「紙の情報」です。また、一般に市販されていて、一括で消去・回収する制度もありません。
いったん発行されたら、誰かに保存されている限り、その履歴は永遠に掲載され続けます。

官報の場合は国会図書館に保存されているので、何らかの事情で一括で破棄されない限り、延々と残ってしまいます。

つまり、新聞と同じで「何年で消える」という概念はないのです。

実際にあなたの知り合いが見る可能性があるかどうかとは別問題ですが、情報が「残る可能性」だけみると、官報情報を完全に消すのは極めて困難です。

なお、インターネット媒体の官報を無料で閲覧できるのは、直近30日間に限られます。しかも、これはPDFデータですので、文字で検索をすることはできません。
また、直近30日よりも前のものを閲覧・検索するには有料版への申し込みが必要ですので、実際に検索・閲覧される可能性は低いと言えるでしょう。

官報公告されるデメリット

実際に官報公告されると、どういったデメリットがあるのでしょうか?

誰かに知られる可能性

官報は、誰でも閲覧できるものです。紙の誌面は誰でも購読できますし、実際に購読している個人や団体もあります。
役所などでも定期購読しているケースが多いですし、官報の販売所もあります。

「インターネット官報」は、先述の通り直近30日分しか無料で閲覧できませんが、有料版でしたらバックナンバーを含めて閲覧が可能です。

理屈上、官報は「誰でも読める環境」にあるので、ここから誰かに自己破産や個人再生を知られる可能性は0とは言えません。
(とはいえ、後述する通りその可能性はかなり低いでしょう。)

闇金からDMが来る可能性

官報公告には、もう1つ隠れたデメリットがあります。
それは、闇金を始めとした悪質業者が官報の破産者や再生債務者の履歴を調べ、チェックしていることです。

これらの業者は、破産や個人再生が落ち着いて、本人らが「お金が足りない……」などと考え始めた時期を見計らって、住所宛にDMを送ってきます。
闇金の勧誘もあれば、架空の代金請求のハガキや郵便が来ることもあります。

このように、住所や氏名が出回ることにより、闇金や悪質業者の標的にされやすいことが問題です。

いたずら、嫌がらせに利用される危険性

2022年6月、ネット上に「破産者マップ」という悪質なサイトが復活して騒ぎになりました。破産者マップは、閉鎖されては復活するといったことを繰り返しています。
破産者マップでは、官報に掲載された情報をもとに、日本地図上において破産者の住所にポイントを立てて一覧でわかるように表示されています。

 

サイト自体は問題になってすぐに閉じられることが多いのですが、官報公告される以上、いつ何時こうした嫌がらせやいたずらに利用されるかわからないのは大きな不安となるでしょう。

官報公告で周囲にバレる?

それでは、実際に官報公告されると家族や職場、友人・知人などに自己破産や個人再生を知られてしまうものなのでしょうか?

通常は知られるおそれがない

これについては、「通常は心配ない」というのが回答です。

確かに官報はネットでも閲覧できるくらいですから、誰でも読めるものです。
ただ「実名検索」をしても官報情報は引っかかりません。実際に官報のサイトを訪ねて官報のバックナンバーを呼び出し、該当のページを開いて破産者や個人再生のリストを順番に見ていかないと見つからないのです。

自己破産や個人再生の公告は、官報の中でも後の方に小さい文字でまとめて掲載されているので、探すのも簡単ではありません。いちいち官報のすべての破産者、再生債務者情報を見ようという人は極めて少数です。

あなたの周りの方がそこまで手間をかけて調べるものでもないでしょうから、通常は知られることがないでしょう。

官報公告を見ている職業はある?

公務員の方は、役所に官報が置いてあり、不安に感じることもあるかも知れません。

ただ、公務員であっても官報を読んでいる人はほとんどいません。
官報の販売所があってもわざわざ購入する人は少ないですし、個人再生や自己破産情報をチェックしようとも思わないでしょう。公務員だから官報公告で破産や個人再生がバレるというわけではありません。

他には、破産管財案件をターゲットに営業している不動産屋や、破産管財案件を狙って不用品のリサイクル・処理を行う業者の場合、官報の破産者情報を見て「売れる不動産はないか」「リサイクルできる不用品を回収できないか」と破産管財人に連絡を入れるケースがあるようです。

また、信用情報機関の中には、官報情報を確認して個人信用情報を登録している機関があります。
そういった信用情報機関の担当者が周囲にいると、破産や個人再生を知られる可能性があります。

しかし、身近に上記のような人がいなければ、官報によって破産や個人再生を知られることを心配する必要はまずないと言えるでしょう。

官報への掲載を恐れず弁護士へ相談を

官報公告は確かに心配ですが、それを理由に借金問題を放置していると、生活が立ちゆかなくなったり給料を差し押さえられたりして、結局は会社や家族にバレてしまいます。

そのようなことになったら本末転倒ですので、不安を解消するためにも、一度弁護士に相談してみましょう。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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