奨学金が返済できない! 自己破産者が2016年度までの5年間で1万5000人

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日本学生支援機構の奨学金返済を原因とする自己破産者が、借主本人だけでなく、親や親戚などの保証人に広がっていることは、近年大きな話題になりました。

奨学金にからむ自己破産は、2016年度までの5年間で延べ15,338人。内訳は本人が8,108人(うち保証機関分が475人)で、連帯保証人と保証人が計7,230人。2016年度は最多を記録し、5年前より13%の増加というものです。
(ただし、日本学生支援機構は、1人で大学と大学院で借りた場合などを「2人」と数えているため、「システム上、重複を除いた実人数は出せないが、8割ほどではないか」としています。)

以前から、奨学金返済に絡む自己破産は問題となっていました。今回は、奨学金延滞問題の実態と、それにまつわる問題点・対処方法について考えてみましょう。

1.多様な奨学金のほとんどが借金

奨学金について、「優秀で真面目な学生を援助するための支援金」というイメージを持っている人がいます。

事実、月に数万円の奨学金を「給付」してくれる団体や機関も存在します。
しかし、多くの奨学金は「給付」ではなく「貸与」であり、学校を卒業したら10年以上の歳月をかけて返還しなければなりません。

奨学金のうち、「給付型」の奨学金は、返済の必要がありません。公共団体や民間企業、学校などがそれぞれ給付型奨学金を取り扱っています。
しかし、多くの場合、給付額はあまり多くなく、審査も厳しい傾向があります。

学費を全額負担してくれる奨学金も存在しますが、少ない募集人数に優秀な学生たちが殺到するため、非常に狭き門となっているのが現状です。

一方、貸与型の奨学金は、教育ローンと違って在学中は利息が発生しません。また、教育ローンに比べれば利息も安く、募集人員も多いことが特徴です。
審査も簡単で、家庭の収入と本人の学力が審査対象となります。奨学金を受ける理由を伝える作文が必要になりますが、ネットの記事などを参考にすれば無難にこなせるようです。

貸与型には「無利息型」と「有利息型」があります。無利息のものは借りた分を返済すればいいのですが、有利息の奨学金は借りた分以上を返さなければなりません

【年々増加する奨学金の申請】
奨学金の申込者は年々増えており、平成27年度の場合、大学生と短大生のうち38.5%、つまり2.6人に1人は独立行政法人日本学生支援機構の奨学金を利用しているとされています。これは10年前の約1.5倍の割合です。
奨学金を利用する学生が多いということは、借金を抱えている学生の数が増えていることを示しています。
先進国では大学の学費無料、または奨学金は貸与ではなく給付としている場合が多いのですが、日本の奨学金は基本的に「学生に借金を背負わせる」システムとなっています。学生は借金を抱えた就職するため、就職先がブラック企業でもパワハラに遭っても退職することが難しい状況に陥ります。
結果的に鬱、過労死、自殺などの結末を迎える若者がいるとさえ言われ、社会問題化しているのです。

2.奨学金の返済が滞る理由

平成27年度の日本学生支援機構の発表によると、有利息の奨学金を3ヶ月以上滞納している人は全体の3.6%いるようです。
前年の滞納率が3.9%、前々年が4.4%であることを考えれば、一見改善しているように見えます。しかし奨学金を受ける人自体が増えているため、総人数としては微増減に留まっていると考えられています。

無利息の奨学金であっても3ヶ月以上滞納している人は4.0%おり、社会に出てから奨学金を返済するのは難しいことが伺えます。

そこで、日本学生支援機構では、2014年度、以下の対策を採りましたが、効果は現れていないようです。

  • 延滞金の利率を10%から5%に下げる
  • 年収300万円以下の人に返還を猶予する制度の利用期間を5年から10年に延ばす

では、なぜ返済が滞ってしまうのでしょうか。それにはいくつかの原因が考えられます。

2-1.奨学金に対する認識と現実のギャップ

奨学金は通常のローンと違って担保が不要で、借りた後しばらくは返済の必要がないため、甘く考える学生もいます。
しかし、いざ返済が始まると生活が苦しくなり、中には滞納する人も出てきます。

仮に月10万円ずつ貸与を受けたとすると、4年制大学では総額480万円借りることになります。
学校卒業後無事に就職できたとしても、若いうちはまだ給与も安いため、奨学金の返済に追われて日々の生活に支障が出てしまいます。

また。大学を退学しても返済を迫られますし、失業や病気で支払えない場合は返済猶予期間をもらえるものの、支払いを免除されるケースはあまり多くありません。

日本学生支援機構の奨学金の場合、滞納すると滞納金が加算されることになっています。延滞利息が10%から5%に減少はしたものの、その負担は依然として小さくはないでしょう。

2-2.授業料の高騰と給与上昇の停滞

文部科学省の資料によれば、平成27年の私立大学の入学金は、平均で256,069円、授業料が868,447円。国立大学の入学金は282,000円、入学金が535,800円(標準額)です。
特に、国立大学の授業料の上昇率は高く、30年前から2倍以上になっています。

これに比べて、大卒者の平成27年の平均初任給は20万2,000円で、同じ期間で約1.25倍と横ばいに近い状況にあります。

また、昨今では大卒者であっても非正規雇用や契約社員として就職する場合も珍しくなく、不安定な収入のなか、ひと昔前の感覚で、「奨学金くらい働いて返せ」というわけにはいかない現実があるのです。

2-3.借金という感覚の希薄さ

奨学金の返済を滞納する人の約半数は、申し込みの時点で「奨学金は将来的に返還しなければならない」ことを知らないと言われています。

これから奨学金を申し込む人、またはその関係者は、申し込む予定の奨学金が給付型なのか貸与型なのか、貸与型であれば利息はどれくらいなのかを必ず確認してください。

3.自己破産をすると連帯保証人へ請求が行く

どうしても奨学金の返済が続けられなくなったら、自己破産をすることで返済義務から逃れることができます。

しかし、奨学金の多くは連帯保証人を付ける必要があり、自己破産すると連帯保証人に支払いの督促が行くようになります。返済自体がなくなるわけではないのです。
仮に連帯保証人に支払い能力がない場合、連帯保証人も自己破産する羽目になりかねません。

連帯保証人に迷惑がかからないようにと、カードローンやキャッシングで現金を調達して奨学金の支払いに充てる人もいます。
しかし、カードローンやキャッシングは奨学金よりも金利が高いため、却って借金が大きくなってしまいます。

【日本学生支援機構の「機関保証制度」】
日本学生支援機構では、平成16年度から「機関保証制度」を導入しました。奨学生は保証人の代わりに保証機関を利用できるようになったのです。これにより、奨学生が返済不能に陥った場合には保証機関が一括で奨学金を返済してくれるシステムが構築されました。
保証人が不要になる代わりに毎月の奨学金から保証料が差し引かれるので、奨学金の手取りが少なくなるデメリットはありますが、親を保証人とした場合、自己破産で共倒れというリスクは回避することができます。
しかし、保証機関はあくまで奨学生のために一時的に支払いを立て替えたに過ぎません。最終的には奨学生が返済を行うことに変わりはないのです。

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4.奨学金の返済が滞った場合の自己破産以外の対応策

最後に、奨学金の返済に困って「自己破産」をする前に、試してみるべき対処方法をご紹介します。

4-1.減額返還制度

「減額返還制度」は、月々の返済額を1/2または1/3減額してもらう制度です。

返還期間は延長されますが、返済総額については変わりません(減額の幅によって、返還期間が異なってきます)。
また、機関保証を利用している場合でも、保証料の追加はありません。

災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難であることが条件となっています。
それに加え、以下の条件を備えている必要があります。

  • 給与所得者の場合、年収325万円以下
  • 自営業の場合、年収225万円以下
  • 申請時点で延滞していない
  • 本人名義の引き落とし口座(リレー口座)を設定している
  • 月賦の返還方法をとっている
  • 個人信用情報の取り扱いに関する同意書が提出されている

4-2.返還期限猶予制度

「返還期限猶予制度」は、一定期間、返済を猶予してもらえる制度です。有利子・無利子どちらのタイプでも利用でき、最大10年間の猶予が可能です。

災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合は、返還期限の猶予を願い出ることができるとなっています。
利用条件は、以下の通りです。

  • 給与所得者の場合、年収300万円以下
  • 自営業の場合、年収200万円以下
  • 申請時点までに延滞をしていない
  • 個人信用情報の取り扱に関する書類の提出がされている
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4-3.返還免除制度

特に優れた業績を収めた場合や、本人の死亡、精神や身体の障害など一定の事由が発生した場合、返済義務が一部または全部免除される制度です。

5.奨学金が返せず自己破産を検討中なら弁護士へ相談を

奨学金は教育の機会を平等にするために作られた仕組みです。実際に多くの人が奨学金を利用し、勉学に励んでいます。
しかし、その名称とは裏腹に、学生に多額の借金を背負わせる場合も多いのが、日本の奨学金なのです。

安易に奨学金を使うのではなく、まずは自己資金でやりくりするように心掛けましょう。
また、教育資金の確保は、子供が生まれたら、または子供が生まれる前から計画しておくことも大切です。

もし、滞納してしまいどうしても自己破産(債務整理)が必要なのであれば、弁護士・司法書士などの専門家に相談してみましょう。

【参考】独立行政法人 日本学生支援機構 「奨学金事業への理解を深めていただくために」

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