「連帯保証人になってほしい」…どのようなリスクがあるのか?
「友人から連帯保証人になってほしいと言われたけれど、どうしよう…」 「もし借金をした本人が債務整理などをした場合、保…[続きを読む]
保証人・連帯保証人が設定されている借金について債務整理を行うと、その保証人に債務を一括払いする義務が生じます。
つまり、保証人または連帯保証人は、債務整理で免除された主債務者の借金を埋め合わせする義務が生じるのです。
(主債務者の債務整理の効力は、保証人には及びません。)
「親の借金の連帯保証人になっている」という方は、この点を心配されている方もいらっしゃるでしょう。
一方で、主債務者が保証人・連帯保証人に迷惑をかけたくないと思うのは当然です。
実は、保証人に迷惑をかけることなくできる債務整理手続きがあります。
今回は、保証人つきの借金を整理がある場合にお勧めの債務整理方法について解説します。
目次
債務整理には、冒頭で述べた任意整理の他に、自己破産・個人再生があります。
債務整理を行うと、いずれの手続きにおいても主債務者の借金は減免され、債務者本人から回収できなくなります。
そこで、債権者は保証人に対してその減免分の補填を求めることになります。
貸金契約では、債務者本人が約束通りの返済を(期日までに)行わない場合には、一括での返済を求めることができる扱いになっているのが一般的です(これを「期限の利益の喪失」といいます)。
簡単に言うと、債務者本人の個人再生・自己破産が確定した時点で、保証人に対しては残りの債務について分割ではなく、一括で返済を求められてしまうということです。
通常、借金の保証人となってもらっているのは、親族や親しい知人であることが多いでしょうから、なんの予告もなく個人再生や自己破産の手続きを行ってしまうと、信頼関係を大きく傷つけてしまう可能性が高いです。
保証人、あるいは連帯保証人についてもらっている借金について個人再生・自己破産手続きを行う場合には、必ず事前に連絡を入れるようにしておきましょう。
さて、債務整理には「任意整理」「自己破産」「個人再生」の3つの手続きがあると先にご説明しました。
では、連帯保証人にできる限り迷惑をかけたくない場合、どの債務整理方法が最も有効なのでしょうか。
結論から言うと、保証人の影響という意味では自己破産・個人再生はお勧めできません。
自己破産・個人再生は、整理の対象とする債権者を選ぶことはできません。
「債権者平等の原則(すべての債権者が同じ条件で債務整理手続きに参加するというルール)」が適用されますから、一部の債権者とのみ借金減額の交渉を行うということができないのです。
言わずもがなですが、借金の金額によっては保証人に対して大きな負担を与えることになってしまいます。
とはいえ、個人再生は借金を大幅に減額でき、自己破産はほとんど全ての借金の支払い義務を免除してもらえる手続きです。
債務の額が多い場合には、このどちらかを選択せざるを得ないでしょう。
任意整理の場合、保証人に影響が出る可能性は低いです。
その理由は以下の通りです。
任意整理では「どの債権者と借金の整理の交渉をするか」を選択することができます。
複数の借金があるときに、保証人がついていない借金についてのみ任意整理を行い、他の保証人付きの借金についてはこれまで通り返済を行う、という選択が可能なのです。
例えば、親に保証人を頼んだ車のローンがある場合、その車のローンのみ整理の対象から外し、残りの債務のみ整理するという選択をすれば、保証人である親に対して請求がいくことはありません。
もう1つの理由は、任意整理では利息の免除のみが認められることが多いため、債権者側としても元本については全額を回収できる可能性が高いことが挙げられます。
債権者としては、元本さえ回収できるのであれば、免除した利息については保証人に対しても請求しない、という処理の仕方をするケースが多いです。
ただし、厳密に考えると、免除してもらった利息については、法律上は逸失利益(本来得られた利益)が生じていますから、債権者はこの逸失利益について保証人に対して請求を行う可能性もあります。
このように、個人再生・自己破産という手段を選択すると、保証人に迷惑をかけてしまう可能性が非常に高いです。
債務者が借金を返せずに個人再生・自己破産すると、最悪の場合、保証人まで債務整理をしなければならなくなります。
保証人・連帯保証人に迷惑をかけたくないという状況であれば、個人再生・自己破産よりも、任意整理を選択するのが適しているでしょう。
とはいえ、債務整理の方法は保証人についてのみで決めるものではなく、借金の総額や手持ちの財産の有無・現在の収入などの様々な要素を吟味した上で決定するべきです。
弁護士や司法書士といった法律家に依頼して債務整理を行う場合には、「保証人に迷惑をかけたくない」ということを伝えておくと、他の状況も鑑みた上で、あなたにとってもっともメリットの大きい手続きを提案してくれるでしょう。