任意整理の和解書とは?

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任意整理の和解が無事に成立すると、和解の内容を証明する「和解書」を作ることになります。この和解書ですが、一体どのようなことが記されるのか気になる人も多いはずです。和解書の内容や作成については基本的に任意整理を担当してもらった弁護士に任せておけば安心なのですが、やはり社会人たるもの自分で確認をしたいものです。

そこでこの記事では、和解書に通常記載されるべき内容やチェックすべきポイントをご紹介していきます。任意整理を検討中の人も、既に任意整理の手続に入っている人も、将来任意整理をするかもしれない人もお読みいただければと思います。

1.和解書が作られるタイミングは?

当然ながら、和解書は任意整理の和解ができたら作成します。和解は「和解契約」という契約のひとつなので、和解がまとまった後で「言った、言わない」という争いを防ぐために和解書を作って債権者と債務者の間で取り交わします。

そもそも任意整理の和解では以下のようなことを決めるので覚えておくといいでしょう。

  • 任意整理の目的
  • 債務の総額
  • カットする利息の内容
  • 分割払いの額や期間
  • 期限の利益の喪失について

それぞれをチェックしていきましょう。

1-1.任意整理の目的

任意整理をするそもそもの目的を記します。任意整理の目的は通常「債務者の生活に破綻をきたさない条件で債務の返済ができるように債権者に合意してもらう」ことにあるので、そういった内容が和解書にも記載されることになります。

1-2.債務の総額

債務者が支払う債務の総額を決めます。元々の借金から既に返済した分や返済しすぎた分があれば、その分を差し引いて計算して任意整理の後で支払う債務の総額を導きだし、債権者と債務者(通常は債務者が依頼した弁護士)が交渉して債務総額を決定します。

1-3.カットする利息の内容

通常の債務整理では将来の利息部分をカットするという内容で交渉を進めます。大抵のケースでこれは認められるので、債務者サイドは安心です。
遅延損害金がある場合はその部分のカットも債権者に求めていくことになりますが、これも多くのケースで認められます。

1-4.分割払いの額や期間

任意整理後に月々いくら支払っていくのか、何回の分割払いにするのかなどを決定します。任意整理では大体3年間の分割払いになるので36回払い、長くても5年間の60回払いに収まるように条件を調整します。

月々の返済額は債務者の収入などと相談して決めますが、60回払いを利用しても借金を完済できないほど債務総額が大きい場合は任意整理が成立しない可能性が高いです。

1-5.期限の利益の喪失について

「期限の利益の喪失」と書くと難しそうに見えますが、簡単に説明すると「条件通りに毎月返済をしない場合は、債権者が債務者に対して一括払いを請求できるようになる」と決まりです。

債務者にとっては不利な条件ですが、任意整理は債権者と債務者の交渉で進むので、債権者側に有利な条件も和解書に盛り込むことになります。

2.任意整理の和解書の内容は?

和解書には上記で決定し、和解した内容がいろいろと記載されることになります。
具体的に和解書に記載されるのは以下のような事柄です。

  • 債務総額の確認条項
  • 支払方法や分割払いの和解条項
  • 期限の利益喪失に関する和解条項
  • 遅延損害金に関する和解条項
  • 債権債務の清算条項
  • その他

2-1.債務総額の確認条項

債務者が債権者に対していくらの債務があるかを確定したものです。通常は「乙は甲に対して本件和解金として金(債務総額)円の支払をする」となどと和解書に記載されます。ちなみに和解書は大抵、甲が債権者、乙が債務者となります。

「和解金」とするのは、「借入金」としてしまうと利息や遅延損害金その他の項目に影響してくるためです。余計な争いの種がないようにするために「和解金」などと書くのが主流となっています。

2-2.支払方法や分割払いの和解条項

月々の支払額や分割払いの回数などを明記します。

それ以外にも、毎月何日に支払うのか、分割によって生じた端数はどのタイミングで支払うのか、銀行振込の場合はどの口座に振り込むのかなど、任意整理後の債務者の生活に大きく関わってくる内容が記されます。

2-3.期限の利益喪失に関する和解条項

既に述べたように、分割払いの条件を債務者が守らなかった場合は、債権者が残債務の一括払いを債務者に請求できるなどの旨が記載されます。債務者にとっては気になる部分ですが、一度支払いを怠っただけですぐさま一括払いの請求をされることはありません。滞納額がある程度の額になるなどした場合に債権者の一括請求が可能となるように具体的な金額を定めることが多いです。

また、「債権者の請求により、債務者が期限の利益を喪失する」といったように、自然に期限の利益が喪失されるのではなく「債権者の請求」が必要というワンクッション置く条件になることも多くあります。

2-4.遅延損害金に関する和解条項

任意整理では遅延損害金がカットされますが、債務者が任意整理後の分割払いを滞納するなどして期限の利益を喪失した場合は、残債務に対して新しく遅延損害金が発生します。和解書にはその旨と、遅延損害金の率などが記載されることになります。

2-5.債権債務の清算条項

任意整理をした後で債権者側から「実はあなたには任意整理した以外の借金があるので、すぐに支払ってください」と言われては大変です。債権債務の清算条項とはそういったトラブルを防ぐために存在します。

早い話が「和解書に書かれている以外には、債権者にも債務者にもお互いに債権債務がありませんよ」ということを宣言する条項が「債権債務の清算条項」です。これがない場合は注意してください。

2-6.その他

なにか特別な条件があるときに記載します。例えば債務から保証人や抵当権を外すなどといったケースがこれに該当します。

なお、将来の利息をカットした旨はあまり和解書には書かれません。和解書には和解金の利息についての取り決めがそもそもなく、取り決めていない以上は利息が発生しないという考え方から記載されないという理由があるからです。気になる場合は弁護士に確認してください。

3.任意整理の和解書でチェックすべきポイント

ここまで和解内容や和解書に記載する事柄はおわかり頂けたと思います。

最後にチェックすべき和解書のポイントを解説していきます。主に以下の4つのポイントがあります。

  • 「和解金」となっているかどうか
  • 債権債務の清算条項
  • 期限の利益が喪失について
  • 支払いに関すること

各項目を見ていきましょう。

3-1.「和解金」となっているかどうか

「和解金」となるべき部分が「借入金」となっている場合、「和解金」に修正しなければなりません。

借入金となっている場合、その債務は「借金」なので、返済を滞納すると遅延損害金が発生します。借金の遅延損害金の利息の上限は法律上年率20%であり、仮に100万円を1年間返済しない場合はトータルで120万円の支払いになってしまいます。

しかし和解金であれば借金でないという扱いになるので、遅延損害金が発生したとしても商法の定めによって年6%の利率で済みます。「借入金」と「和解金」という名目の違いだけでいざというときの遅延損害金の額が大幅に変わってしまうので、この点は必ず確認してください。

3-2.支払いに関すること

「弁済方法」にあたる部分ですが、言うまでもなく、この部分は月々の支払額や支払い日、支払方法など生活に直結する重大事項なので、必ず確認してください。

3-3.期限の利益の喪失について

期限の利益を喪失すると一括返済を求められてしまうので、どのような状態になったら期限の利益がなくなるのかを和解書上で確認しておきましょう。多くの場合、2ヶ月ほど滞納すると期限の利益を喪うような内容になっています。これが極端に短い場合は弁護士などに訂正をお願いしてください。

また、遅延損害金の定めもここに記載されるので、年率などを確認しておきましょう。

3-4.債権債務の清算条項

最後に、債権債務の清算条項についてです。既に説明したように、この条項は「債権者と債務者にはこの和解書にある他に債権債務が存在しない」と確認するためのものです。これがない場合は「他に債務があるかもしれない」状態なので、その点をクリアにしておきましょう。

あくまで例ですが、ある業者から2年前に借金した債務を任意整理したとします。このときもし同じ業者から5年前にも借金しており、その債務がそのまま残っている場合、「2年前の借金は任意整理したけれど5年前からの借金は放置されており、利息と遅延損害金で膨れ上がっている」という状態になりかねません。

こういった事態を防ぐために、債権債務の清算条項に「本和解書に定める他には何らの債権債務のない」などと記載されているかどうかを確認することは非常に重要です。

まとめ

和解書は任意整理の和解内容を記した重要な書類です。最低限本記事にある内容は確認し、少しでも気になる点がある場合は弁護士に相談して納得の行く形になるよう訂正などを求めましょう。あまりに不合理なものでない限り、弁護士は最大限依頼人の力になろうと努めてくれます。

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