任意整理・債務整理後でもETCカードは使える?

債務整理後にETCを使う方法はある?

国土交通省によれば、平成29年以降、ETCの利用率は常に90%前後と報告されています。
ETCカードを使用することで、高速道路料金をクレジットカードで支払うことができ、現金での支払いが不要になります。さらに、ETC料金は一般料金よりも安く設定されているため、便利で経済的な方法と言えます。

しかし、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理手続きを行うと、俗に言う「ブラックリスト」に登録されてしまいます。
その結果、債務整理後はいずれかのタイミングでクレジットカードを使用できなくなってしまい、かつ新しいクレジットカードの審査にも落とされてしまうでしょう。

こうなると、クレジットカードと連携しているETCカードも使えなくなってしまいます

この記事では、債務整理を行った後でもETCカードを使えるかどうかについて詳しく解説いたします。

任意整理をしたらETCカードは使用不可

債務整理後にETCカードが使えなくなる理由

冒頭の通り、現在使っているETCカードは債務整理をすると使えなくなってしまいます
これを知らずに債務整理直後にうっかりETC用のレーンに入ると、立ち往生してしまうかもしれません。

自己破産・個人再生は全ての債権者を整理の対象とするため、債務整理手続きを行なった事実が確実にクレジットカード会社に知られてしまいます。
そうすると、今お使いのクレジットカード会社は「この人は債務整理をして借金を踏み倒したので、契約を継続するメリットはない」と判断し、契約を強制解約してしまいます。

また、任意整理では整理の対象とする債権者を選ぶことができますが、例え利用中のクレジットカードを整理の対象から外したとしても、いずれかの借金を整理すると「この人は債務整理をした」という情報が「信用情報機関」という組織に記録されてしまいます。

信用情報機関の登録内容は、ほとんどすべてのクレジットカード会社が閲覧できると考えて良いでしょう。
債務整理時に全く利用しておらず、整理の対象としていなかったクレジットカードでも、更新時には信用情報機関に情報の照会が行われるので、カードの更新ができなくなります。

さらに、カード会社の中には、数ヶ月単位または数週間単位で信用情報機関の情報を確認する会社もあります(途上与信)。
このため、任意整理でカード会社を整理の対象から外したとしても、いずれはクレジットカードが使えなくなってしまうのです。

弁護士や司法書士は、債務整理を依頼した時点でお持ちのクレジットカード全てにハサミを入れるよう指示することもあるようです。

債務整理後は新たなクレカも作れない

新しくクレジットカードを作るときの審査では、カード会社により信用情報機関に申込人の情報の照会が行われます。
ここで「申込人が債務整理をした」という事実が見つかると、返済能力を問題視されて審査に通らなくなるのです。

クレジットカードが作れないまたは使えない状態であれば、高速道路料金のクレジット払いができなくなるので、当然ETCカードも使うことができません。

ブラックリスト(信用情報機関への登録)について更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

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債務整理後にETCを利用する方法はある?

ETCカードが使えないと、高速道路料金の支払いが大変不便になります。
しかし、ETCカード以外でも、高速道路でETCを使う方法はいくつか存在します。

デビットカードのETC機能

債務整理後にブラックリスト状態になっても、デビットカードなら作ることができると聞いたことがある方は多いでしょう。
そして、このデビットカードでETCカードを作ろうと考える方も多いかもしれません。

しかし、実はほとんどのデビットカードはETCカードを作れません
デビットカードは即時口座引き落としが原則であるため、ETCカードとして機能させることが難しいのです(仮に口座預金の残高が足りない場合、ETCレーンを通ることができなくなってしまいます)。

ETCカードを発行できる唯一のデビットカードは、北國VISAデビットカードのみです。
しかし、北國VISAデビットカードに申し込めるのは北陸三県に住んでいる方のみとなっていますので、多くの方はデビットカードでETCカードを持つことは難しいでしょう。

家族カードでのETCカード発行

信用情報機関に債務整理情報(事故情報)が記録されるのは、債務整理をした本人のみです。
よって、本人以外の同居家族などは、手持ちのクレジットカードに何ら影響を受けません。

そこで、家族がクレジットカードを持っているならば、そのクレジットカードの「家族カード」を発行してもらい、その家族カードのETCカードを利用するという手があります。

なお、クレジットカードやETCカードは、利用規約によって個人間での貸し借りを禁止しているケースが原則です。
これは家族も同様ですので、家族名義のクレジットカードやETCカードを借りることはしないようにしましょう。

ETCパーソナルカード

上記以外で債務整理の後でも発行してETCを利用できるカードの代表例が「ETCパーソナルカード(ETCパソカ)」です。
予め保証金(デポジット)を預けておく必要があり、利用には年額1,257円(税込)の年会費が必要です。高速道路料金は指定した銀行口座から1ヶ月単位で引き落としされます(2024年3月現在)。

ETCパーソナルカードは、高速道路のサービスエリアに申込書があるほか、ETCパーソナルカードの事務局に電話すれば申込書を郵送してもらえます。

入手した申込書に必要事項を記入して事務局に郵送すると、事務局から保証金(デポジット)の払込取扱票が届きます。その払込取扱票を持って郵便局やコンビニに行き、指定の金額を支払えば保証金の支払いは完了です。

事務局で保証金の入金を確認後、ETCパーソナルカードが指定した住所まで郵送されてきます。

しかし、以下の場合、せっかく入手したETCパーソナルカードの利用ができなくなることがあります。

  • 未払い額の合計が保証金の80%を超える場合
  • 利用金額の支払いがない場合
  • 保証金の増額に応じていない場合
  • 保証金額が2万円の場合、口座振替で保証金の増額ができない場合

ETCパーソナルカードのメリット

ETCパーソナルカードには、クレジットカード機能付きのETCカードと同様な割引特典があります。
つまり、ETCカード限定の平日朝夕・深夜・休日割引や、距離別料金制度の恩恵も受けられます。

また、ETCマイレージサービスによるポイントも付加されるなど、現金払いでは受けられない特典を受けられます。

ETCパーソナルカードのデメリット

ETCパーソナルカードの保証金額の最低金額は2万円ですが、基本的には自己申告した平均利用月額の4倍が求められます。
具体的には、以下のように保証金額が変わります。5,000円単位で保証金額が2万円ずつ増えてしまうのです。

平均利用月額 保証金額
5,000円 2万円
1万円 4万円
1万5,000円 6万円
2万円 8万円

平均利用月額は自己申告ではあるのですが、保証金の額が少なすぎると保証金額の80%を超えてしまい、利用停止につながるおそれがあります。
保証金額の負担が大きい点はデメリットと言えるでしょう。

法人ETCカード

ETCパーソナルカードは、保証金の高さなどがネックでしょう。
しかし、もしあなたが債務整理後も事業を営んでいるのであれば、より金銭的負担が少ない「法人ETCカード」を作ることができます。

これは、法人や個人事業主向けのETCカードで、高速道路料金を後払いできます。クレジットカード機能がないものであれば比較的簡単に作ることができます。
法人の場合は商業登記簿謄本、個人事業者の場合は所得税確定申告書(税務署印のあるもの、写し可)や個人事業税納税証明書等が必要になります。

ETCパーソナルカードより低コストなのが魅力で、ETCマイレージサービスにも加入でき、1枚あればレンタカーを含むどの車両でも利用できます。

なお、カード会社にもよりますが、法人ETCカードの作成には出資金やカード発行手数料、取扱手数料、年会費がかかります。

ETCコーポレートカード

ETCコーポレートカードは、毎月数万円以上高速道路を利用するような法人や個人事業主に向けたカードです。高速道路を使えば使うほど割引されるのが特長で、NEXCOの高速道路なら最大で40%もの割引があります。
これに加えて休日割引や深夜割引・平日朝夕割引なども使えるので、これらを併用すれば50%の割引も不可能ではありません。

ただし、ETCマイレージサービスには加入できません。また、1枚で1つの車両しか利用できないという難点もあります。
発行してもらうための手続きも複雑です。

ETCコーポレートカードの作成には、以下の費用が必要になります(税込価格・2024年3月現在)。

  • 初期費用…出資金1万円
  • カード発行・取扱い手数料…629円(1枚/年)
  • 保守サービス料…500円(1枚)

このほか、以下のいずれかが必要になります。

  • 支払見込月額4ヶ月分(最低10万円)の保証金
  • 機関保証の獲得
  • 事業協同組合への加入

こう見ると、保証金は高額ですし、金融機関等から機関保証を得るには厳しい審査があります。これは、債務整理した人にとってハードルが高いかもしれません。

【オススメは事業協同組合への加入】
債務整理をした事業主の方にとってハードルが一番低いのは事業協同組合への加入でしょう。
事業協同組合の組合員になれば、協同組合が保証を行ってくれます。加入時に出資金1万円が必要ですが、脱退時に返金してもらえます。
組合によっては他に保証金が必要になりますが、最低10万円の保証金や機関保証を得るよりずっと楽なので、事業協同組合への加入をおすすめします。
事業協同組合への加入方法は、加入を希望する団体へ問い合わせてください。

まとめ|ETCカードが利用できなくても任意整理を

現在使っているクレジットカード機能付きのETCカードは、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)をすると使えなくなってしまいます。

しかし、保証金の高さにさえ目をつぶれば簡単に作れるETCパーソナルカードがありますし、事業者向けに法人ETCカードやETCコーポレートカードといった選択肢もあります。
また、当然ながら一般利用をすることで高速道路は利用可能です。

債務整理の際には「高速道路をよく使うからETCカードを使えなくなるのは困る……」と、過度な不安を感じなくても問題ありません。
それよりも、借金を継続して放置し続ける方が、法的措置・差し押さえなどのリスクが高くなります。

ブラックリストを過度に不安に思うことなく、借金問題にお困りならば安心して専門家に債務整理・任意整理をご相談ください。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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