任意整理後、支払いが遅れたらどうなる?払えない時の連絡先と対処法

任意整理中に返済が滞ってしまった場合の対処法

任意整理は手続き後の支払いを前提とした債務整理方法です。手続き後には利息が軽減されるとはいえ、毎月の支払いが続きます。

「任意整理後に支払いを続けているけれど、予定外の出費が重なり、今月だけ支払えない」「お金がなくて任意整理の支払いを滞納せざるを得ない」
任意整理後の分割払い中、病気や怪我、減収などが重なると、上記のような事態が発生する可能性も0ではないでしょう。

この記事では、任意整理後に支払いが厳しくなっている人に向けて、任意整理後の支払いが遅れたらどうなってしまうのか、払えない時はどう対処すべきか(どこに連絡するべきか)、を解説していきます。

任意整理後、支払いが遅れたらどうなる?

債務整理には複数の種類がありますが、日本で最も多く行われている債務整理は「任意整理」と言われています。
つまり、借金で悩んでいる方の多くが任意整理で借金を減らした上で、その後の支払いを継続しているのです。

では、任意整理後の支払いができず滞納してしまった場合、どのようなことが起こりうるのでしょうか?
これは、「数日だけ遅れるのか?」「継続して何回も遅れることがあるのか?」で変わってきます。

数日だけ支払いが遅れた場合

返済の期日をうっかり忘れて、あるいはたまたまお金が足りずに数日だけ支払いができなかったとします。
その場合は、債権者から翌日にでも連絡があり、支払いの督促が行われることが多いです(債務者本人が返済をしている場合は本人に、弁護士事務所などが代理で支払っている場合は弁護士や司法書士事務所に宛てて連絡が来ます)。

1回目の滞納であれば「支払いを忘れていませんか?」「残高不足でしたが、入金しておくのを忘れていませんか?」程度のニュアンスが強く、すぐに支払えば通常通りの支払いとして扱ってくれるケースが多いです。
つまり、1日〜2日程度の支払い遅れであれば、それほど大きな問題にならない可能性が高いでしょう。

とは言え、黙って支払いを遅らせるのは、債権者の印象もよくありません。「うっかり払い忘れていた!」というケースでないならば、支払いが遅れそうだとわかった時点で、債権者や代理弁済をしてくれている弁護士・司法書士に連絡をとって、滞納や延滞の見込みを伝えてください。
この時、単に遅れることを伝えるのではなく、「いつまでに支払えるのか?」を明確に伝えるようにしましょう。

継続して何回も遅れた場合

任意整理後の支払いは、多くの場合1ヶ月に1回の入金となっているでしょう。
数日ではなく、1回、2回…と何ヶ月か継続して支払いが遅れてしまった場合、問題は大きくなります。

1回目(1ヶ月)の滞納:督促状の送付

1回目の滞納では、催促の連絡が入ります。
通常は上記と同じく携帯電話などに電話連絡がありますが、それを無視すると「督促状」が郵便で届きます。

督促状には、支払いが確認できていない旨と、「○月○日までに支払いをしてください」という指定がされているでしょう。
この督促状を無視してしまうと、「催告書」が届きます。催告書には、督促状よりも強い文面で「このままでは法的措置に移行します」という内容が書かれているでしょう。

2回目(2ヶ月)の滞納:一括請求

任意整理は、大抵の場合「2回(2ヶ月)支払いが遅れたら、分割払いではなく一括払いに変更する」「返済に遅れたら、年○%の損害金を追加で支払う」といった内容で合意します(※任意整理は各債権者と個別で交渉するので、合意の内容はそれぞれ異なります)。

つまり、1回目の督促状を無視して、2回目も延滞になると、今度は「一括請求書」が内容証明で送られてきます。

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一括請求も無視すると財産の差し押さえ

繰り返しの督促や一括払いの請求を放置していれな、間もなく財産の差し押さえを受けてしまうでしょう。

通常、借金の滞納などが理由で債務者の財産を差し押さえるためには、裁判所に訴えを起こすなどして「債務名義(確定した判決書など)」を獲得する必要があります。
ただし、任意整理の和解を公正証書で行った場合は、公正証書が債務名義にあたるものになるため、債権者は裁判などを起こさずともすぐに差し押さえを行うことができます

給与を差し押さえられると会社に借金のことがバレてしまいますし、預金を差し押さえされると銀行口座から滞納分が引かれるなどしてしまいます。
ここまでくると、収入や財産が減って生活に悪影響が出る可能性が非常に高いです。

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【任意整理後の滞納にも時効は成立する】
任意整理後に支払いが遅れ、そのまま長期間放置しているという方も中にはいらっしゃるかもしれません。
この場合「もう何年も前の借金だし、時効が成立していて支払う必要がないのでは?」と思うでしょう。
結論から言うと、任意整理後の滞納にも時効の援用は可能なため、返済をしなくなってから原則5年経過していると時効により支払い義務がなくなる可能性はあります。
しかし、一度任意整理をした債権者が時効の成立まで黙っている可能性は低いので、敢えて時効の成立を待つと言うのは現実的な方法ではないでしょう。

任意整理後に払えない場合の対処法・連絡先

上記のようなデメリットがあることは理解できても、任意整理が成立した後で失業や病気、怪我、離婚などの事情が発生し、支払いができなくなる可能性も0ではありません。
どうしても支払いができなくなった場合はどうすればいいのでしょうか?

債権者に連絡をして次の支払日について話し合う

「予定外の出費が重なり、今月だけ支払えない」「来月からはこれまで通りに支払える予定だ」という場合は、債権者(あるいは代理弁済をお願いしている弁護士や司法書士)に連絡をし、事情を説明した上で次の支払い予定日について話し合うことが大切です。

支払いが遅れる理由と、いつまでに支払えるのか、今後はまた計画通りに返済できることをしっかり説明すれば、債権者側もこれを了承して返済を待ってくれるでしょう

既に返済が遅れてしまっている場合、仮に「明日払えるから」と思っても、督促の無視は厳禁です。
督促には誠実に対応し、次に指定された期日までにしっかり返済するようにしましょう。

同じ会社と再交渉する

減収や病気など、何らかの事情があって任意整理のときに同意した内容通り支払えなくなった場合、債権者に事情を伝えてもう一度交渉し、再び任意整理をするという方法があります(交渉は弁護士や司法書士に依頼しましょう)。

しかし、2回目の任意整理では、当然ながら以前より厳しい条件を突きつけられる可能性が非常に高いです。
例えば、以前よりも返済期間が短く設定されるケースが多いでしょう。

再交渉の内容ではやはり支払いが難しいと感じる場合や、双方の歩み寄りができない場合は、以下で説明するような別の方法を検討した方がいいでしょう。

別の借金を任意整理する

任意整理では、整理する借金を選ぶことができます。
もし既に任意整理した借金以外の債務がある場合は、そちらの債務も任意整理して負担を減らすことを考えてください。2回目の任意整理でないならば、別の借金については好条件で減額してもらえる可能性もあります。

このようにして家計に対する借金の割合を減らせば、現状返済が厳しい借金についても解決への道が見えてくるかもしれません。

任意整理以外の債務整理で借金を減らす

任意整理はメリットが多い手続きですが、欠点もあります。代表的なものは「減額率の低さ」と「債権者との合意が必要であること」です。
だからこそ、2回目の任意整理は条件が厳しくなりやすく、合意ができなければ任意整理に失敗してしまいます。

そこで、債権者の合意が不要で、より減額率の高い債務整理ができれば、なんとか生活を立て直せるという人もいるでしょう。

そういった人には、他の債務整理である個人再生自己破産を検討してみてください。

個人再生

裁判所に申立てをして、借金を元本から5分の1〜10分の1に減額してもらう制度です。減額後の借金は原則3年かけて分割返済します。
利息では原則として将来利息のカットしかできませんので、個人再生をすれば債務総額は一気に減らすことができます。

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」があり、どちらにするかは債務者が選択することができます。

「小規模個人再生」は、債権者数の過半数・債権額で1/2以上の消極的同意がなければ手続きに失敗してしまいますが、「給与所得者等再生」をすれば債権者の反対に関わらず借金を減額できます。
しかし、給与所得者等再生は減額後の返済額が上がりやすいというデメリットもあるため、どちらを選ぶかは弁護士とよく相談して決めるようにしてください。

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自己破産

裁判所に申立てをして、認可を得た上で借金を0にしてもらう制度です。消費者金融や銀行、クレジットカードなど、あらゆる借金が0になりますので減額率においては右に出るものがない解決方法と言えます(税金など一部の借金は支払義務が残ります)。

不動産や高価な車、ブランド品、99万円を超える現金など、自分の高価な財産が一部処分されて債権者に配当されてしまうのがデメリットですが、当面の生活に困らない程度の財産は手元に残せるので、世間で思われているほど過度な不安は必要ありません。財産がない場合は何も処分されず、借金だけがゼロになります。

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任意整理後の借金を払えない場合は弁護士・司法書士へ!

このように、任意整理した後で借金を支払えなくなり、これを放置すると間もなく一括返済や財産の差し押さえを受けてしまいます。
「今月だけ払えない(来月なら払える)」「数日待てば払える」という場合でも、必ず債権者に連絡をしてください。

もし、失業・減収、家族の病気などで「今月だけじゃなく、来月からも支払うことが厳しい」などの状態になったとしても、決して逃げてはいけません。

「毎月の支払額を減額したい」という交渉ができる可能性はありますし、例え債権者の合意が得られずとも、他の借金を任意整理するか、自己破産・個人再生などをすれば解決できるでしょう。

借金で困ったことがあったら、まずは弁護士・司法書士へ相談して、何をすべきかアドバイスをもらうのが一番です。

任意整理の返済に関するよくある質問

任意整理後に借金を支払えないとどうなる?

これは、「数日だけ遅れるのか?」「継続して何回も遅れることがあるのか?」で変わってきます。

返済の期日をうっかり忘れて、あるいはたまたまお金が足りずに数日だけ支払いができなかったというような場合は、債権者から翌日にでも連絡があり、支払いの督促が行われることが多いです(債務者本人が返済をしている場合は本人に、弁護士事務所などが代理で支払っている場合は弁護士や司法書士事務所に宛てて連絡が来ます)。

1回目の滞納であれば「支払いを忘れていませんか?」「残高不足でしたが、入金しておくのを忘れていませんか?」程度のニュアンスが強く、すぐに支払えば通常通りの支払いとして扱ってくれるケースが多いです。
つまり、1日〜2日程度の支払い遅れであれば、それほど大きな問題にならない可能性が高いでしょう。

とは言え、黙って支払いを遅らせるのは、債権者の印象もよくありません。「うっかり払い忘れていた!」というケースでないならば、支払いが遅れそうだとわかった時点で、債権者や代理弁済をしてくれている弁護士・司法書士に連絡をとって、滞納や延滞の見込みを伝えてください。

一方、数日ではなく、1回、2回…と何ヶ月か継続して支払いが遅れてしまった場合、問題は大きくなります。

携帯電話などへの電話連絡を無視すると「督促状」が郵便で届きます。
この督促状まで無視してしまうと、「催告書」が届きます。催告書には、督促状よりも強い文面で「このままでは法的措置に移行します」という内容が書かれているでしょう。

そして、つまり、1回目の督促状を無視して、2回目も延滞になると、今度は「一括請求書」が内容証明で送られてきます。
繰り返しの督促や一括払いの請求を放置していれな、間もなく財産の差し押さえを受けてしまうでしょう。

任意整理後に滞納を続けると弁護士に辞任される?

任意整理の場合、手続き後に債権者への振り込み作業を代行(代理)してくれる弁護士事務所や司法書士事務所もあります。

しかし、延滞を繰り返した場合、弁護士でも対応が難しい状態に追い込まれていきます。
その結果、弁護士の方から辞任を申し出てくることも十分ありえます。

もし弁護士に辞任されてしまった場合は、その後の対応も含めて受任してくれる新しい弁護士を探さなければなりません。

参考:「債務整理で司法書士に辞任された!辞任の影響と弁護士への再依頼

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借金返済ができず、滞納・督促でお困りの方は、債務整理に強い弁護士事務所・司法書士事務所にご相談ください。

弁護士事務所・司法書士事務所に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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