借金のブラックリストとは?掲載デメリットと掲載期間を解説
債務整理をすると「ブラックリスト」に掲載されてしまいますが、その影響を正しく理解すれば決して怖いものではありません。…[続きを読む]
自己破産を検討されている方には、自己破産後の生活に色々と制限がかかるのではないか?と不安をかかる人がいます。
借金を返しきれなくなった場合、「自己破産」という手続きによって借金を解決することができます。
実際に、自己破産後、クレジットカードが一定期間持てなかったり、車や持ち家を手放さなければいけなくなったりするデメリットはあります。
しかし、「海外に行けなくなる」「選挙権がなくなる」など、根も葉もない自己破産の間違った噂が世間に出回っているのも事実です。
この記事では、自己破産後の生活はどうなるのか?自己破産のデメリットの内容について解説していきます。
目次
自己破産は、借金を返済しきれなくなってしまった人に対する救済制度です。債務を帳消しにしてもらうことで、債務者のその後の生活の安定に繋げることを目的としています。
しかし、自己破産後の生活には以下のような影響が及びます。
まず、自己破産手続きをすることによって、車のローンや住宅ローン、新規のクレジットカードの審査に通らなくなります。
自己破産をすると、信用情報機関に「金融事故を起こした」という情報が一定期間登録されてしまいます。
銀行や消費者金融、クレジットカードなどの貸金業者は、貸付やカード発行する審査の際に、信用情報機関の情報を参照します。
その時に事故情報が登録されていると、過去に自己破産をしたことがある「信用がない人」であると判断されて、審査に通らなくなるのです。
このように、信用情報機関に事故情報が登録されてローンやクレジットカードの審査に通らなくなった状態のことを、俗に「ブラックリスト状態」などと呼びます。
ブラックリストに載っている時間には期間があります。
登録されている信用情報機関にもよりますが、自己破産後は5年~7年程度の掲載になります。
その期間が過ぎれば、新たにクレジットカードなどを作ることができるようになるでしょう(しかし、住宅ローンなどの重いローンは、掲載終了後もすぐは審査に通らない可能性があります)。
【ブラックリストの情報は家族には影響がない】
なお、ブラックリスト期間中でも、自分以外の家族名義ならローンやクレジットカードを利用できます。ブラックリストに掲載されるのは自己破産をした本人のみなのです
たとえば、専業主婦がブラックリスト状態になったとしても、夫名義で住宅ローンの申し込みをして利用する、夫名義の家族カードを利用することは可能ということです。
自己破産では、税金などを除くほとんど全ての債務を免除してもらえる代わりに、手持ちの価値ある財産を処分・換価して、債権者に平等に配当しなければなりません。
例外として、99万円以下の現金や、総額20万円以下の預貯金、家具家財などの生活必需品、生活保護費などの差し押さえ禁止財産、手続き開始後の給料などの新得財産は手元に残すことができます。
処分される可能性が高く、生活に影響が生じ得る財産としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。
自己破産すると、持ち家は必ず売却(処分)されると考えていいでしょう。
不動産は非常に高価な財産なので、これを手元に残しておくことはほとんど不可能です。
自己破産後には、原則として賃貸物件に住むことになると考えるべきです。
自己破産をした場合、自家用車(マイカー)を処分しなければならないことがあります。
車のローンを現在支払い中の場合は、自己破産によりローン会社が車を引き上げてしまいます。
また、ローンを支払い終わっていても、自動車に20万円(査定額)を超える価値があると、自動車が引き上げられてしまいます(※裁判所により細かな規定は異なります)。
自己破産しても、自動車の価値が20万円以下であったり、初年度登録後7年の時期が経過していたりする場合には、そのまま所有できる可能性が高いでしょう。
生命保険の場合、解約した際の「解約返戻金」が問題になります。
裁判所にもよりますが、生命保険の解約返戻金の合計が20万円を超える場合は、全て処分(解約)する必要があります。
解約返戻金の合計が20万円以下の場合や、そもそも解約返戻金が発生しない掛け捨て型の生命保険である場合、処分(解約)する必要はありません。
また、仮に生命保険を解約することになってしまっても、自己破産後に新しく生命保険に加入することは可能ですし、制約もありません。
自己破産しても、今後の公的年金への影響は一切ありません。将来的に受け取る年金にも影響はありません。
自己破産手続きが完了すれば、一切制限がなくなります。
自己破産をしても、住民票や戸籍謄本に一切記載されません。戸籍・住民票・運転免許証・パスポートなど、公的な書類には自己破産の事実は一切記載されません。
一部の職業(弁護士や司法書士などの士業・警備員等)は、自己破産手続中に職業制限を受けます。
しかし、普通のサラリーマンや公務員などには基本的に影響はありません。
選挙権は民主主義の基本的な権利です。自己破産したからといって選挙権・被選挙権はなくなったりしません。今後とも変わらず選挙に行くことができます。
上記のQAを踏まえて、詳細を解説します。
「自己破産をすると年金を受け取れなくなる」「年金を差し押さえられる」などの噂がありますが、これは真実ではありません。
自己破産しても、今後の公的年金への影響は一切ありません。将来的に受け取る年金にも影響はありません。
ただし、既に受け取った年金は「預金」もしくは「現金」となります。預金や現金が年金としてのものか否かは区別がつけられません。
年金を含めた現金が99万円を超えたり、預貯金が20万円を超えたりする場合は、債権者の配当に回されてしまうでしょう。
また、破産後は借入のある口座が凍結されてしまいます。年金の受け取り口座を自己破産の対象とする銀行口座と分けておかないと、振り込まれた年金が取り出せなくなってしまいます。
なお、民間の生命保険会社で「個人年金」を利用している場合は要注意です。民間の生命保険会社の個人年金の「解約返戻金が20万円」を超えるなら、自己破産するとその個人年金は解約されて債権者に配当されてしまうでしょう。
自己破産をする際、手続きが終了するまで、債務者の転居や長期の旅行が制限されることもあります(管財事件の場合)。
これは、債務者の居所が分からなくなり、手続きに支障を来すのを防ぐためです。
ただし、海外出張等ならば、裁判所にきちんと必要性を説明すれば手続き中でも問題なく認めてもらえます。
また、自己破産手続きが終わればこのような制限はなくなります。
自己破産によって引っ越しができなくなるということも、パスポートに何か記載されて海外旅行・海外移住の制限を受けるということもありません。
自己破産をしても、住民票や戸籍謄本に一切記載されません。
戸籍・住民票・運転免許証・パスポートなど、公的な書類には自己破産の事実は一切記載されません。
なお、国の機関紙である官報には氏名や住所が載ってしまいますが、官報を日常的に目にする人はほとんどいません。
官報から知り合いや家族に自己破産したことがバレるケースはほぼないと考えていいでしょう。
一部の職業(弁護士や司法書士などの士業・警備員等)は、自己破産手続中に職業制限を受けます。
しかし、普通のサラリーマンや公務員などには基本的に影響はありません。
仮に制限を受ける職業についていたとしても、自己破産手続きが完了してしまえば、問題なく仕事をすることができるようになります。
また、就職・転職活動中に自己破産をしたことを知られることは基本的にありませんし、自己破産の事実を職場に自ら申告する必要もありません。
しかし、銀行系の就職面接では、金融事故を起こしていないか確認される場合があるようです。また、銀行は、銀行員に信用不安があってはならないと考えております。
そのため、多くの銀行では、自己破産したことは「解雇事由」となる旨が就業規則で定められていることがあるため、銀行員は自己破産により解雇される恐れがあります。銀行員の場合、就業規則を確認する必要があります。
選挙権は民主主義の基本的な権利です。
自己破産したからといって選挙権・被選挙権はなくなったりしません。今後とも変わらず選挙に行くことができます。
自己破産をすると、確かにデメリットがあります。しかし、自己破産後の生活への影響は、世間で思われているよりも少ないと感じた方も多いのではないでしょうか?
もし借金に悩んでしまっているのであれば、デメリットを恐れず、早めに弁護士に相談して解決してしまうのがいいでしょう。
弁護士は法律のプロですので、ご相談者様の状況や希望を加味した上で、適切な対応を取ってくれます。
借金を周囲に知られたくない、家や車を手元に残したいという場合も、まずは弁護士に相談すべきです。
一人で悩んでいても借金は解決しません。借金でお悩みの方は、一度弁護士にご相談ください。