奨学金を返せないとどうなる?自己破産で解決する方法を解説
この記事では、奨学金を返済できない場合、どのような対応をすれば良いのでしょうか?自己破産で解決する方法も解説します。[続きを読む]
この記事では、老後の問題として、メディアでしばしば取り上げられる『老後破産』について解説します。
日本国民の高齢化は以前より問題となっていましたが、有効な解決策がないまま、時代は「高齢『化』社会」ではなく「超高齢社会」へとステージを移してしまいました。
高齢者の数は今後も増えることが確実なため、医療費や社会保障費などの問題が、国会を中心として長きにわたり議論されています。近く行われる消費税の増税もその一環です。
超高齢社会の到来とともに、若い世代への負担増も顕在化してきています。若い世代からは「老人は優遇されている」という声もあがっており、実際日本人の富の多くは高齢者が保有していると言われています。
しかし、何も老人が皆恵まれているわけではありません。非常に貧しい生活を強いられる高齢者も多く、人生の最期を困窮の中で迎えなければならない人が年々増加しています。
老後は誰にでも訪れるものです。人生の最期を惨めに迎えないようにするために、ぜひご精読ください。
目次
老後破産とは「破産したような生活を強いられている老人」のことを指します。実際に破産したかどうかは関係なく、経済的に破綻した生活をしている人のことを言います。
「老後破産」をする人が急増しているという話を、NHKが過去に特番を放送してからは頻繁に聞くようになりました。NHKスペシャルの「長寿という悪夢」(amazonランキング上位)やフジテレビの新報道2001、書籍としては新潮社や週刊現代の特集、また数々の再放送「老人漂流社会~団塊世代の老後破産~」など、様々なメディアが老後破産をテーマにしてきました。
本来の定義では、貧しい「独居老人(おひとりさま)」のことを指す言葉なのですが、近年は年を取った高齢夫婦の世帯であっても貧乏になり困窮しているケースが増えています。
また、「老々介護」と言って、高齢者の世話をする子供が既に高齢になっていることがあり、そういった家庭でも経済的に苦しんでいる例が多く見られます。
もはや「老後破産」は独居老人に限った話ではなくなってきているのが現状であり、誰にでも起こり得るものだと認識するべきでしょう。
実際、2014年のデータでは、独居老人のうち老後破産している人は200万人ほどいたとされています。当時の独居老人の数は約600万人なので、その3分の1が困窮しているというのは衝撃的なデータでした。
なお、この200万人という数からは、生活保護受給者を差し引いてあります。当時は100万人の独居老人が生活保護を受けていたとされており、600万人のうち200万人が老後破産者、100万人が生活保護受給者ということになります。
つまり、独居老人の半数が、貧しい生活を送っているのです。
実際、生活保護受給者のうち、65歳以上の高齢者が占める割合は増加傾向にあり、2017年3月時点では、164万1532世帯のうち83万7008世帯と51%に上っています。
高齢者の数が増加するにつれて老後破産者の数も比例的に増えていくと言われており、行政の対応が課題となっています。
【動画】老人漂流社会「歳をとることは罪なのか」
団塊世代が定年退職して年金生活を送るようになってから、貧困で下流老人や難民になる事例が増加しています。
定年退職後に老後破産に陥るのは、主に以下のようなことが原因です。
破産の原因の多くは「低所得」によるものですが、高齢破産の原因の多くも同じように低所得または賃金の伸び悩みにあります。 国税庁が毎年行っている『民間給与実態統計調査結果』によると、平成28年分においては以下のような給与実態が明らかにされています。
まず、年間を通じて勤務した人の平均給与(年収)は男女合わせて422万円となっており、前年よりも0.3%上昇しています。 また、男性では521万円(前年比0.1%増)、女性は280万円(前年比1.3%増)という結果が出ており、微増という結果が出ています。
正規社員と非正規社員を分けてみてみると、正規社員は487万円(前年比0.4%増)、非正規社員は172万円(前年比0.9%増)となっており、やはり微増傾向が見られます。
しかしながら、年齢別に見てみると様相が一変します。 50代後半の男性の平均給与が649万円であるのに対し、60代前半の男性の平均給与は479万円と大幅に下落しています。
60代後半になると387万円とさらに下落しており、加齢とともに加速度的に年収が落ちている実情が伺えます。
女性の場合においても、50代後半では288万円が平均値であるのに対して、60代前半では228万円に下がり、60代後半では195万円まで下がってしまいます。
賃金が伸び悩むどころか寧ろ落ちてしまうため、生活レベルの調整が間に合わずシニア破産に至ってしまうと考えられることができます。
高齢者の雇用状況については、政府の方針が徐々に功を奏して年々改善されています。 平成28年分の厚生労働省の調査によると、99%以上の企業が高齢者の雇用確保措置を行っています。
その内訳を見ると、定年の年齢を引き上げるか定年自体を廃止した企業は全体の2割弱であり、8割近くの企業が高齢者継続雇用制度を導入しているのが実情です。
特に、従業員数301人以上の企業では、91.3%の企業が定年の仕組みを変えるのではなく、継続雇用制度の導入を選択しています。 また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は、従業員数31~300人の企業で74.8%、301人以上の企業では52.7%となっています。
このように、高齢でも働ける制度を導入している企業は増えているのですが、給与額自体は現役時の5~7割程度になってしまっているのが現実です。 労働時間自体は変わらないか若干減る程度なのにも関わらず、給与が減ってしまうため、高齢者の負担は大きいと言えます。
また、雇用契約そのものも1年単位で更新されてしまい、65歳までの契約となることも多いのが実情のようです。 高齢者の「雇用先」は増えても「雇用契約の内容」はさして良いものではないため、生活苦が発生し、高齢者の破産が起きてしまうという構造になっているとされています。
いわゆる「非正規」で働く人が増えるのも、高齢者の特徴です。
平成29年に公開された内閣府の調査によると、男性の場合、非正規で働く人(役員等を除く)の割合は55~59歳時点では12.8%に留まっていますが、60代前半で53.6%、60代後半では72.1%と、加齢とともに一気に跳ね上がります。
女性の非正規率は55~59歳時点で60.2%に留まっていますが、60代前半で76.0%、60代後半では81.5%となっています。男性ほどの上昇率ではありませんが、それでも多くが非正規として働いているのが実態です。
非正規で働く人は収入自体が少ない傾向があるため、「非正規が増える→収入が減る→生活苦になる→自己破産する…」という流れがあるものと考えられています。
高齢者になると、当然ながら病気や怪我が増えます。
平成22年に公開された内閣府の白書によると、入院していない65歳以上の高齢者においては、半数近くの人が怪我や病気による何らかの自覚症状を感じています。入院している人や自覚症状のない人もカウントすれば、半分以上の高齢者が何らかの怪我や病気を抱えているのです。
また、平成25年における同白書によると、健康寿命の平均は男性が71.19年、女性が74.21年となっていますが、平成13年の調査と比べた場合、健康寿命の伸び率は平均寿命の伸び率より小さいものとなっています。
具体的に両者を比較すると、平均寿命が男性で2.14年、女性で1.68年伸びているにも関わらず、健康寿命は男性で1.79年、女性1.56年しか伸びていません。特に男性においてこの差は顕著です。
健康寿命が短いということは、日常生活に支障のある状態で生活する期間が伸びるということであり、満足に働けない期間も同じように長いということです。
病気によって生活苦となり、収入が減ったためお金を借りて、結果的に高齢者が自己破産するという事例も多くあるとされています。
年金問題が長年話題となっていますが、無年金または低年金、もしくは実際に必要な生活費と支給される年金額の乖離によって、高齢者が自己破産するケースも見られます。
平成28年に行われた金融広報中央委員会の調査によると、現役世代が老後の生活に必要な生活費と考えている金額は、平均で月27万円とされています。
総務省統計局が平成26年に行った家計調査年報では、夫65歳以上かつ妻60歳以上の無職夫婦世帯の1ヶ月の平均支出額は、26万8,907円でした。両者の間の乖離は少ないことがわかります。
しかし、厚生労働省がモデル世帯としている「男子賃金で40年間厚生年金に加入した夫と、40年間専業主婦の夫婦世帯」においては、平成29年4月時点での世帯年金支給額(月額)は約22万1000円となっており、収入と支出の間に約5万円の乖離が見られます。
これは、毎月約5万円を貯金や借金で補うということでもあります。年間では60万円足りなくなるため、単純計算すると20年で1,200万円も不足することになってしまうのです。
さらに、モデル世帯と実際の世帯でも年金支給額に差が見られます。日本年金機構の統計によると、平成29年2月末現在の平均年金支給額は20万2,706円となっており、モデル世帯とは2万円の違いがあるのです。
政府が想定したモデル世帯、実際の支給額、実際に必要な老後の生活費の額がそれぞれ違うこともあり、老後に必要な生活費と収入を誤って見積もった結果、最終的に自己破産せざるを得なくなった人がいるという可能性も否定できません。
総務省の統計によれば、65歳以上である2人以上の世帯の貯蓄残高は、2016年で1世帯当たり、2363万円という数字があります。
この数字だけで判断すると、高齢者にはそれなりに貯蓄があるように思われます。
しかし、70歳以上の2人以上の世帯で、貯蓄が0の世帯が、28.3%という数字があるのです。
無収入の世帯に限っては、貯蓄0の世帯が57.1%となっており、持つ者と持たざる者の格差が広がっていることが分かります。(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」 2017年)
よく、子供1人あたりの教育費の総額は、1,000万円以上と言われます。
公立の学校に行けば、そこまでかからないかもしれません。しかし、昨今大学の授業料は、公立の大学でも高額になってきており、私立と公立の差は減少しているようです。
勿論、必要なのは学校の授業料だけではありません。教科書や参考書などの教材費、習い事や塾等の費用もばかにはできません。
したがって、特に年の差婚などで子の在学中に親が退職してしまうことが分かっている場合などは、しっかりした計画を立て教育費を貯めなければ、自分たちの老後資金どころではないのです。
奨学金を申請するにしても、社会に出ると同時に子どもに借金を抱えさせてしまうことになります。
親を連帯保証人にしている場合は、返済ができず、自己破産をする際に連帯保証人も巻き込まれて自己破産というケースも増えています。
住宅ローンは、長期間に渡り支払いを行います。有名なフラット35などは、その名の通り通常35年もかけて支払うのです。
高齢者となって収入がなくなるまでにローンの支払を終える予定で契約を行っても、実際にはリストラ、倒産、給与減、病気や怪我などでローンを完済できない場合もあります。
また、ローンの種類によっては年々支払額が上がるものも存在します。これは、収入の少ない若い時に支払額を抑えて、収入が増える壮年期に支払額を増やすことを念頭においているからです。
しかし、終身雇用制度や年功序列制度は既に崩壊しているため、こういったタイプのローンを組むと、高齢になって収入が減ったのに支払額が上がってしまい、支払いできずに破綻という終末を迎える可能性もあります。
仮に必死になってローンを返済しても、手元に残るのは築何十年も過ぎた古い我が家です。老後にお金に困って売りたいと思っても満足な価格で売れない可能性が高いと言えます。
このように、住宅ローンが直接の原因、または間接的な要因となって、老後に破産することもあるようです。
シニア世代に限りませんが、銀行が行っているカードローンなどでお金を借りる人が増えています。
しかし、銀行では返済能力を大幅に超えた融資(過剰融資)が行われていることが多く、それが自己破産者の増加という結果に繋がっていることが近年問題視されています。
退職した後の毎日の生活費の見積もりが甘いと、どんどん資産が減っていきます。また、たとえ正確に見積もっていたとしても、急な病気やケガなどで想定していなかった医療費が発生することがあります。
特に、高齢者は病気にかかりやすいため、医療費の見積もりはかなりの余裕を持って行わなければなりません。
健康で長生きできればそれに越したことはないのですが、経済的に苦しくなる機会が増えてしまうこともあるのです。
老後の生活のあてになるのが退職金です。
しかし、近年は退職金の規定がない会社も増えています。あったとしても、雀の涙というケースも少なくありません。長年真面目に勤めて退職しても、無一文で放り出される人が増加傾向にあるのです。
もちろん、一定額の退職金をもらえる人もいます。しかし、そういった人の何%かは、それまで手にしたことない額のお金を一気に手にしたせいか、浪費に走ったり、慣れない事業に手を伸ばしたり、投資を始めて失敗したりします。
退職金で豊かな老後を送るのは想像以上に厳しいのが実情なのです。
なお、退職金を狙った詐欺なども横行しており、退職金を取り巻く環境は年々悪化の一途を辿っています。
高齢者と現役世代が一緒に住まず、別々に居宅を持つ一人暮らし(おひとりさま)のケースが増えています。
1人で住んでいる高齢者は、そうでない人に比べて生活費が多くなりがちです。子供の家族と住んでいれば不要であった費用が独居した際には発生するので当然ではあるのですが、そういった費用がどんどん高齢者の資産を圧迫していきます。
長期間独居を続けた結果、老後破産状態になってしまう例が少なからず見受けられます。
また、おひとりさまとは逆に、リストラや親の介護をきっかけに子が親と同居した後、子の失業や親の病気などをきっかけで親子が共に困窮してしまうケースが散見されます。
これを「親子共倒れ」と言い、こちらも現在大きな問題になっています。
高齢者になって収入が減っても、生活レベルを現役時代と同じようにしている高齢者もいます。収入が少ないのに支出が変わらず、無駄遣いもしてしまえば、当然ながら貯蓄がどんどん減っていきます。
「生活レベルを落とせばいいじゃないか」と思う人が多いと思いますが、そういった高齢者は20年も30年も同じ生活レベルのまま暮らしてきたせいか、生活レベルの変え方がわからない事が多いのです。
老後破産は誰の身にでも降りかかる可能性があり、決して他人事ではありません。
老後破産に陥らないための対策として、代表的なものを以下にご紹介していきます。できるものから取り組んでみてください。
まずは老後の生活費を確保する方法を考えることが大切です。 支給される年金だけでは充分ではないことが既にわかっているので、保険商品などをうまく活用するといいでしょう。
具体的には、個人年金保険や各種共済に加入して老後の資金を確保するのがオススメです。
また、保険の種類によっては、病気や怪我で一時的に収入がなくなっても、減った収入に対する保障を受けられることもあります。
持ち家がある人であれば、「リバースモーゲージローン」という選択肢もあります。これは、自宅を担保にして銀行から融資枠の範囲でお金を借りることができるローンです。
ローンの利用者は自宅に住み続けて老後を過ごします。利用者が亡くなったときに、銀行は担保である債務者の自宅を売り払ってお金に換え、返済に充てるのです。
死後に自宅を失うので相続人の同意が必要ですが、死後誰も使う見込みのない家を処分できるのであれば、遺族に空き家処分の負担を負わせる必要もありません。興味がある人は検討してみてください。
「老後は収入が少なくなる」という前提で、老後の生活レベルを考える必要があります。
夫婦2人で「ゆとりのある」老後生活を続けるには、毎月35万円以上のお金が必要という声もあります。しかし、これまで見てきたように、50代と60代の収入の差は大きいので、50代の生活レベルを60代以降も維持し続けるのは非常に難しいといえます。
どのレベルに生活水準を合わせるかを考えないと、生活レベルを守るために借金をしなければならない可能性が出てきて、最悪自己破産という結果が待っているかもしれません。
自分が将来もらえる年金額や、老後に得られそうな収入額を考えたうえで、老後の生活をイメージしてください。 場合によってはファイナンシャルプランナーなどに相談してもいいでしょう。
借金をしなければ破産は免れるのですが、時と場合によっては借金しなければならないこともあります。
そういった場合、高い金利の借金をしてしまうと却って泥沼に足を踏み入れることになるので、できるだけ金利の低いところからお金を借りるべきです。
ここでオススメとなるのが「生活福祉資金貸付制度」です。「生活福祉資金貸付制度」は、社会福祉協議会が運用している、困窮している世帯がお金が足りなくても自立できるようにサポートする支援制度です。
連帯保証人がいれば無利子、いなくても年率1.5%で借り入れることができます。ただし、生活福祉資金貸付制度でお金を借りることができるのは以下のケースのいずれかに限られます。
低所得者の定義が明確ではありませんが、おおよその目安は「市町村民税が課税されているかどうか」だと考えてください。 なお、以下の人は本制度を利用できません。
自治体によっては生活保護などを受けていても本制度を利用できることがあります。 生活福祉資金貸付制度の窓口は自治体の福祉課や社会福祉協議会なので、必要な人は相談に行きましょう。
また、住宅がない人の場合は「生活困窮者自立支援制度」を活用して住居確保給付金を受けられる可能性があります。 これは生活困窮者が住宅を確保するための資金を給付してくれるもので、都道府県又は市区町村の福祉担当部署で受け付けてもらえます。
老後破産に陥るのは自業自得、自己責任だという声があります。
確かに、そういった側面もあるかもしれません。しかし、現役世代の時にケガや病気、または家庭の事情などで満足に働けなかったために老後に困窮する人も多く、100%が自己責任とは言い切れない部分もあります。
仮に困窮状態に陥っても、行政や法律等をうまく活用すれば解決できることもあります。独りで悩まず、まずは弁護士・司法書士など、法律の専門家にご相談ください。