学生・生活難で年金支払い未納が続くと差し押さえ・強制徴収される?

★ お気に入りに追加

「いま年金を納めても、少子高齢化が進む日本では将来的に年金制度はうまくいかなくなるのは目に見えているから、年金保険料なんて納めても無駄…」と、年金保険料を支払わない方は一定数いらっしゃるようです。

しかし、将来の年金制度については現状とは異なった形で支給が行われる可能性はあるものの、支払った保険料が返ってこなくなるということは考えにくいです。 年金制度は基本的に国が将来的に支払いを保証しているものですから、老後に年金が支払われないということは日本政府が財政破綻するということにほかなりません。
デマにまどわされることなく、老後の生活のために年金保険料はきちんと納めておくことが望ましいといえます。

今回は、年金保険料の納付をしていない人に対して行われる強制徴収のルールや、経済的な理由で納付がどうしてもできない場合の免除・猶予の措置について、わかりやすく解説します。

1.年金を納めている人の割合

「年金の納付をきちんとする人が少なくなっている」という話はよく聞きますが、実際にはここ数年の保険料の納付率(保険料を納付している人の割合)は上昇傾向にあることをご存知でしょうか。

厚生労働省が平成29年6月(最新のデータは毎年6月に発表されます)に公表したデータによると、国民年金保険料の納付率の推移は以下の通りです。

納付率
平成24年 59.00%
平成25年 60.90%
平成26年 63.10%
平成27年 63.40%
平成28年 65.00%

平成24年から5年連続で納付率は改善しており、平成28年は前年度からおよそ1.7ポイント上昇しています。
ただし、上の数字には保険料を免除・猶予されている人の数は含まれていないので注意しておきましょう。

免除や猶予を受けている人の割合は37.5%(平成28年度)ですから、免除・猶予者を含めた場合の実質的な納付率はおよそ40.6%ということになります。本来納付義務がある人の6割近くが、何らかの理由によって納付をしていないということです。

【年金保険料の納付率が上昇傾向にあることの背景】
年金保険料の納付率が上昇傾向にあることの背景には、政府が保険料の納付を行わない人に対して行う強制徴収のルールが厳しくなったことが影響していると考えられます。
具体的には、厚生労働省と日本年金機構は、2018年から国民年金の保険料が未納となっている人で、年間で所得が300万円以上ある世帯に対する強制徴収の基準を、13カ月以上の未納から7カ月以上の未納に変更しました。
これによって年金保険料を強制徴収される可能性のある対象者は、現在の約27万人から36万人程度にまで増加する見込みです。

2.年金保険料が強制徴収されるまでの流れ

上でも解説した通り、政府は年金保険料が未納となっている世帯に対しての強制徴収を積極的に行っていく方針を打ち出しています。
次に、実際に年金保険料が強制徴収されるまでにどのような手順が踏まれるのかについて確認しておきましょう。

  1. 文書・電話・個別訪問などで支払いを要請される
  2. 要請に応じないと、特別催告状が送付される
  3. 最終催告状が送付される
  4. 督促状が届く
  5. 所得や財産などが精査される
  6. 差押予告が送付される
  7. 強制執行によって財産の差し押さえが行われる

2-1.文書・電話・個別訪問などで要請される

滞納が続いている人に対しては、まず文書や電話、個別訪問などによって支払いを要請することから始められます。
これらは、年金機構から外部委託された民間業者などが行う場合もあります。

現状、個別訪問までが行われるケースはまれですが、今後は増加していく可能性があるでしょう。

2-2.要請に応じないと特別催告状が送付される

上記の文書や電話、個別訪問などによっても支払いに応じない人に対しては、「特別催告状」が送られます。

特別催告状の文面は、「保険料の支払いをしないと将来的に強制徴収もあり得ますので注意してください」というように、まだマイルドなものとなっています。この時点で催告状記載の納付期限までに支払いを行えば、延滞金などが発生することもありません。

ただし、特別催告状の封筒の色は「青色→黄色」のように、重要度が高まるにつれて変化していきます(お住まいの地域によって異なる可能性はあります) 。
黄色の特別催告状が届いた時点で、次の最終催告状の送付手続きに移行する可能性が極めて高い状態ですので、注意しましょう。

2-3.最終催告状が送付される

特別催告状からしばらくすると、今後は最終催告状という赤い封筒に入った書類が自宅に届きます。

この最終催告状は、特別催告状とは性質がかなり異なり、「強制徴収の対象となる人の確定手続き」という側面があります。ごく簡単にいえば「差し押さえのターゲットとして狙われている」ということです。

2-4.督促状が届く

上記の「催告状」よりも重要度が高いのが「督促状」です。 督促状には、時効を中断するという目的の他に、「この後には財産調査を行い、差し押さえの具体的な手続きに移りますよ」という予告の目的があります。

財産調査が行われると、年金事務所側にあなたの財産の状況が具体的に把握されてしまいますから、分割納付などを申し出たとしても「あなたにはこれだけの財産があることがわかっていますから、分割納付には応じられません」というように拒否されてしまう可能性があります。

督促状の支払期限を無視すると延滞金が加算される

督促状には納付の期限が記載されており、この期間までに納付を行わない場合には、保険料に延滞金を上乗せで支払う必要があります。
年金保険料に対して課せられる延滞金は、納付期限の翌日~3か月間の部分については年利率2.6%、それ以降の部分については年利率8.9%で計算されます。

例えば、10万円の保険料が未納となっている場合で、納付期限の8ヶ月後に支払ったとすると、負担すべき延滞金は以下のように4,300円ということになります(実際には日数で計算されます)。

  • 3か月以内の分:10万円 × 2.6% ÷ 12ヶ月 × 3か月 = 650
  • 3か月以降の分:10万円 × 8.9% ÷ 12ヶ月 × 5か月 = 3,708円
  • 延滞金の合計額:650円 + 3,708円 ≒ 4,300円(百円未満は切り捨て)

2-5.所得や財産などが精査される

督促状が送付された後も未納の状態が続くと、以下の所得・財産などの状況について精査が行われます。

  • 銀行口座
  • 有価証券
  • 自動車
  • 勤務会社への直接問合せなど

この時点で、強制徴収が近々行われる可能性が高いので、できるだけ早く対処を行うのが適切です。

サラリーマンの方であっても、過去に国民年金を支払っていた期間中の未納分がある場合には、勤務会社への直接問い合わせなどが行われる可能性があります。
保険料の未納が勤務先に知られる、とあなたの信用を傷つけることになりますので注意しましょう。

2-6.差押予告が送付される

この段階まで来ると、差押予告が行われます。

差押予告の文面では「滞納処分(差し押さえ、公売)に着手することになりました」という記載がされており、すでに強制徴収の手続きが具体的に進行していることが予告されます。

2-7.財産の差し押さえ等が行われる(強制執行)

さらに時間が経過すると、強制徴収の手続きが行われます。
自動車などをタイヤロックされたり、勤務先から支払われている給与の一部を差し押さえられたりして、生活に大きな影響が出ることが予測されます。

ここまでくると、何らかの形で未納保険料の支払いを行わない限りは、現状から逃れることが難しくなります。
分割返済に応じてもらえる場合もありますが、年金事務所側はあなたの財産の状況について詳しく把握している可能性が高いので、換金できる財産や現預金があると判断されると分割支払いにも応じてもらえない可能性があります。

強制執行の具体的な内容については、以下の記事をご覧ください。

関連記事
債務の強制執行
債務の強制執行とは?予兆・流れ・今後の生活について
住宅ローンやクレジットカードの借金、家賃や携帯料金の滞納など、払うべきものを払わないでいると、裁判所によって「強制執…

配偶者や世帯主からも強制徴収される可能性

国民年金保険料は世帯に国民健康保険料(世帯合算で徴収)と違い、個々人に対して保険料支払い義務があります。
しかし、国民年金の負担についてのルールを定めている国民年金法88条によると、保険料については「世帯主」あるいは「配偶者」も「連帯して納付する義務」があるものとされています。

上で説明させていただいた強制徴収の手続きが本人に対して行われた後(あるいは同時進行で)、納付義務のある保険料が徴収できない場合には、世帯主や配偶者に対して強制徴収が行われる可能性がありますので、注意が必要です。

健康保険証を取り上げられてしまう可能性

個人事業主やフリーター、学生の方の場合、年金については国民年金、医療保険については国民健康保険に加入しています(満20歳以上の人の場合)。
国民年金と国民健康保険は別の制度といえますが、保険料の徴収については両者が連携して行う方針が示されています(平成19年に「国民年金事業等運営改善法」という法律が制定されました)。

国民健康保険については、保険料を支払っている人には健康保険証が市区町村から支給されています。
病院などにかかったときには、この健康保険証を窓口で提示することで保険料負担を3割としてもらうことができるわけですが、国民健康保険料の未納が続くと、市区町村はこの健康保険証を停止したうえで、「短期被保険者証(短期証)」に切り替えることが可能になります。

短期証は、一定期間が過ぎると市区町村の窓口に取りに行く必要があります。これにより、被保険者に窓口に定期的に来るよう促す目的があります。
この短期証への切り替えについて、上記の「国民年金事業等運営改善法」によって、国民健康保険料の未納だけではなく、国民年期の保険料の未納についても適用される可能性があります。

結論的に、国民年金の保険料納付を怠っていると、国民健康保険の保険証を取り上げられてしまう(定期的に市役所に取りに行かなくてはならない短期証に切り替えられてしまう)という可能性があることになります。

ちなみに、年金制度の仕組みをよくわかっていなかったことが原因で年金保険料の支払いを怠ってしまったという人も少なくありません。 特に、サラリーマンとして働いていた人が独立して個人事業主となったような場合、加入している年金制度を厚生年金から国民年金に切り替える手続きを自分で行わなくてはなりません。
一昔前に政治家の国民年金未納が大きな問題となりましたが、制度の仕組みや手続きの仕方がよくわからないままに未納のままとなっているというケースは依然として多いようです。

3.経済的に納付が難しいときの免除・猶予

このように、年金保険料の未納が続くと、予想以上の大ごとになってしまいます。
では、保険料の納付がどうしても難しい場合には、どのような対策を取ることが考えられるでしょうか。

保険料の納付が難しい場合は、年金機構の事務所に相談することで利用できる「保険料免除・保険料納付猶予」の制度が利用できます。

3-1.免除を受けられる人の条件と手続き

本人や世帯主、配偶者の前年の所得が一定の金額を下回る場合や、一時的に失業の状況にある人の場合は、本人が年金事務所で申請を行うことによって保険料を免除してもらえる可能性があります。
ただし、認められる場合でも一律に全額が免除されるわけではなく、免除される額は、所得の状況によって「全額」、「4分の3」、「半額」、「4分の1」の4パターンです。

保険料の免除が認められると、その期間中の保険料を支払っていなくても強制徴収が行われないだけではなく、将来の年金支給の金額計算においても一定額が納付済みの扱いをしてもらえるというメリットがあります。
具体的には、 保険料を免除された期間中については、老後年金を受け取るときには、本来の保険料の2分の1が納付済みとして計算した金額を受け取ることが可能になります。

3-2.猶予を受けられる人の条件と手続き

20歳~50歳未満の方の場合、本人や配偶者の前年の所得が一定額を下回るときに、年金保険料の猶予を受けることができます(※平成28年6月までは30歳未満が対象でしたが、平成28年7月以降は50歳未満が納付猶予制度の対象となりました)
猶予というのは、簡単に言うと「待ってもらうことができる」という意味で、免除とは異なり納付義務そのものはなくなりませんし、将来の年金額への反映はありませんので注意しておきましょう。

保険料の猶予は、本人が年金事務所で申請し、申請後に承認されることで認められます。

【障害年金・遺族年金】
意外に見落としたがちなポイントですが、国民年金保険は、老後年金だけではなく、怪我や病気になった場合の障害年金や、万が一があった場合に遺族が受け取れる遺族年金もあります。
年金保険料が未納となっていると、大きな怪我をしたり亡くなった時に、これらの年金の支給を受けることができません。
一方で、免除や猶予の手続きを行っておけば、免除・猶予を受けた期間中に上記のような事態になった場合、障害年金や遺族年金を受け取ることができます。

4.借金などにより年金を納める余裕がない場合

国民年金の支払いは、あなたの老後やあなたの家族の生活を保障するために行うものですから、きちんと済ませておくことが望ましいです。
すでに年金の催告状などが届いている場合には、納付免除や猶予の制度を活用するなどして必要な手続きを行うようにしましょう。

「保険料が高く、経済的に納めるのが困難だ」、「借金やカードローンの利用が増えてしまったので、国民年金の保険料支払いにまで手が回らない」という状況の方は、借金の負担を減らすことができる債務整理も選択肢に入れることをおすすめします。

債務整理とは、合法的に借金の負担を免除してもらうことができる制度のことで、弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談することで利用できます。

債務整理に強い弁護士が無料相談いたします

借金返済ができず、滞納・督促でお困りの方は、債務整理に強い弁護士にご相談ください。自己破産、個人再生、任意整理、過払い金請求、法人破産などで、借金問題を解決できる可能性があります。

弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

  1. 毎月の借金の返済が苦しい/借金が一向に減らない
  2. 債務整理したいが自宅だけは手放したくない
  3. 連日の督促・取り立てで精神的につらい
  4. 会社が倒産したので破産処理をしたい

債務整理に強い弁護士に相談・依頼することで、厳しい督促が止まり、難しい手続きもサポートしてもらえます。

1人で悩まず、今すぐ債務整理に強い弁護士にご相談ください。

都道府県から債務整理に強い弁護士を探す

Cafeおすすめ! 【全国対応】債務整理に強い弁護士
弁護士法人イストワール法律事務所
弁護士法人イストワール法律事務所
弁護士法人イストワール法律事務所 弁護士法人イストワール法律事務所
 現在営業中(本日9:00~21:00) ]
 現在営業中(本日9:00~21:00) ]

お客様の借金の状況を細かくお伺いした上で、最適な債務整理方法をご提案いたします。

お客様の借金の状況を細かくお伺いした上で、最適な債務整理方法をご提案いたします。

借金に関する悩み事は、家族にすら話しにくくて一人で抱え込んでおられる方もいるかと思います。そんな方の借金問題を最適な方法で解決して、人生を再出発できるようしっかりとサポートいたします。
お電話でのお問い合わせはこちら
050-5267-6263
[電話受付]毎日 9:00~21:00
電話で相談する 弁護士詳細情報はこちら 弁護士詳細情報はこちら
この記事が役に立ったらシェアしてください!