生活福祉資金貸付(緊急小口資金・総合支援資金)の自己破産の条件・やり方・費用

生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金・総合支援資金)は、都道府県が一定の条件を満たす人向けにお金を貸し付けてくれる制度です。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、生活福祉資金貸付制度を利用できる対象者の条件が緩和されました。

通常の金融機関でお金を借りる場合に比べて大幅に有利な貸付条件となっていますので、活用している方も多いでしょう。
全国社協によると、制度利用額は1兆3700億円に迫るそうです(2022年4月時点)。

しかし、生活福祉資金貸付制度はあくまでも「貸付」の制度ですので、将来的な返済義務があります。特に、2023年から、返済が開始され、多くの方が返済に困っています。

元々生活に困窮していて生活福祉資金を借りた人が、支払えなくなったら、どのように解決すれば良いのでしょうか?

この記事では、生活福祉資金貸付(緊急小口資金・総合支援資金)の自己破産の条件・やり方・費用について解説します。

生活福祉資金は返済義務がある

先述の通り、生活福祉資金貸付制度はあくまでも「貸付」の制度です。生活保護や失業保険のような「支給制度」ではありません。

貸し付けの制度である以上、返済ができる見込みが全くない場合には、申し込みをしても結果として審査落ちとなってしまう可能性が極めて高くなります。
また、返済が滞った場合には、督促(取り立て)を受けることになるでしょう。

なお、貸し付けを受ける場合の貸付利率は、連帯保証人を設定できる場合には無利息、連帯保証人を設定できない場合には年利率1.5%となります(返済期間は各貸付制度で異なります)(2022年4月現在)。

低所得などで日々の生活が厳しい場合、その場しのぎとして生活福祉資金貸付を受けることはできますが、借金をしなければならない生活を根本から改善することが何よりも重要です。
場合によっては生活福祉資金貸付制度ではなく、債務整理によって現在の借金を整理したほうが解決方法として最適である場合も多いでしょう。

なお、債務整理中(破産手続中又は個人再生手続中)の場合、生活福祉資金貸付制度を使うことができません(手続き後は申請可能です)。

生活福祉資金が返せない時は、自己破産・個人再生が可能

では、貸付を受けた生活福祉資金を返せなくなった場合、どうすれば良いのでしょうか。
一般的な金融機関の負債もあわせて抱えている方もいらっしゃるかもしれません。

生活福祉資金の自己破産・個人再生が可能です!

生活福祉資金貸付には、緊急・一時的に生活費が必要な場合の「緊急小口資金」と、生活再建までの間の生活が必要な場合の「総合支援資金」があります。
これらの特例貸付で借りたお金は、一定の条件を満たせば返済が免除になります。

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しかし、どうしても返済免除の対象にはならない場合、緊急小口資金や総合支援資金で借りたお金を「自己破産」「個人再生」などで債務整理で解決するのがお勧めです。

「国の制度である生活福祉資金を債務整理できるの?」と疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、これについては問題なく行うことができます。
(※任意整理については、一貫して交渉に応じてくれないと思われます。ただし、一般の金融機関などからの他の借入を整理することは可能でしょう。)

自己破産

自己破産は、税金などの一部を除いた借金の支払義務を全額免除できる手続きです。生活福祉資金についても全額免除してもらえますが、手持ちの資産を一部処分しなければならないなど、一定のデメリットが存在します。

「クレジットカードを使いすぎてしまい、気がついたら自分の給料では返せない金額になっていた」 「勤務先から解雇されてし…[続きを読む]

個人再生

個人再生は、借金を元本から大幅に減額して、残った分につき原則3年かけて分割返済していくリスケジュールを組む手続きです。手続き後も返済は必要ですが、借金額が減るだけでなく返済期間も延びますので、その後の支払いがかなり楽になります。

この記事では、「個人再生の手続きの流れ」について、わかりやすく解説いたします。 個人再生は裁判所を通じて行う債務整理…[続きを読む]

生活福祉資金を返せなくなった場合や、その他の借金の返済で首が回らなくなっている場合は、自己破産・個人再生などを弁護士に依頼することをお勧めします。

なお、生活福祉資金に連帯保証人をつけている場合は要注意です。資金を貸付けた本人が自己破産や個人再生をした場合、その保証人へと全額の請求がいってしまいます。

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個人再生をすると保証人に対しては大きな迷惑がかかってしまうため、どのような影響が出るのかを知った上で個人再生手続きの…[続きを読む]

自己破産できないケース【動画で解説】

緊急小口資金・総合支援資金の自己破産のやり方と費用

最後に、緊急小口資金・総合支援資金の自己破産について、簡単に説明します。

自己破産の申し立て方法

緊急小口資金・総合支援資金で借りたお金を自己破産で返済免除にしてもらう手順・流れは、簡単に説明すると次の通りです。

  1. 弁護士・司法書士を探す
  2. 自己破産の依頼をする
  3. 書類を収集・作成する(専門家によるサポートが可能)
  4. 書類を裁判所に提出し、自己破産の申立てをする
  5. 裁判所で面接等を受ける
  6. 一部手持ちの資産の換価・配当などが行われる
  7. 問題なしと判断されれば免責(借金の返済免除)が確定する

弁護士や司法書士に正式に依頼をすると、弁護士・司法書士から債権者(緊急小口資金や総合支援資金のケースでは「社会福祉協議会」)に「受任通知」という書面が送付されます。
受任通知が送付されるとど、借金の督促や返済が一旦ストップします。また、その後は専門家が債権者との間に入ってくれるようになり、直接のやり取りをしなくて済むようになります。

もちろん、緊急小口資金や総合支援資金以外にも借金がある場合、全ての債権者に受任通知が送られます。つまり、全ての借金の支払い・全ての借金の督促が一旦ストップするということです。
これだけでも弁護士・司法書士に依頼する大きなメリットだと言えます。

裁判所に提出するため書類の収集・作成についても、弁護士・司法書士がサポートしてくれます。

その後、実際に緊急小口資金・総合支援資金で借りたお金が返済免除になるまでの流れは、財産の有無や借入の理由などによって変わってきます。更に詳しく知りたい方は下記の動画をご覧ください。

自己破産にかかる費用

自己破産をするには、「弁護士・司法書士に支払うお金」と「裁判所に支払うお金」が必要になります。

弁護士費用の金額設定に統一の基準はありませんが、大まかな相場としては、同時廃止であれば30万円程度、管財事件であれば40万円程度かかると見込んでおくと良いでしょう。
司法書士費用については、概ね同額程度か、これよりも若干安くなる傾向があります。

裁判所に支払う費用は概ね次の通りです。管財事件になると破産管財人の報酬によって大きく費用が跳ね上がります。

同時廃止

費目 金額
申立手数料 1,500円
郵便切手代 2,000円~10,000円程度
官報公告費用 11,000円程度

管財事件

費目 金額
申立手数料 1,500円
郵便切手代 4,000円~15,000円程度
官報公告費用 13,000円程度
破産管財人の報酬(予納金) 200,000円~
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自己破産の費用が払えない時

「緊急小口資金や総合支援資金で借りたお金が返せないから自己破産したい。でも自己破産の費用が思ったよりも高くて払えない」という場合は、次のような手段があります。

  • 後払い・分割払いができる事務所を選ぶ
    後払いや分割払いに対応している事務所に依頼をすれば、依頼時にまとまったお金がなくても自己破産の依頼が可能です。その後、受任通知の送付後に費用を積み立てることができます。
  • 予納金を分割払いする
    管財事件における破産管財人への報酬は高額です。ですが、裁判所によっては分割払いができるところがあるので、確認してみましょう。
  • 法テラスを利用する
    収入が一定以下の場合、法テラスが自己破産の弁護士費用を立て替えてくれます。法テラスへの返済も月5,000円~と少額での返済が可能です。この制度を「民事法律扶助」といいます。
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お金に困っている方は債務整理を

生活福祉資金貸付制度は、低金利で利用できる公的機関の制度です。
しかし、返済が滞った場合は自己破産・個人再生などで解決を図ることができます。

自己破産・個人再生・任意整理などの自己破産は、弁護士・司法書士といった法律の専門家に相談することによって手続きをスムーズに行うことができます。

お金に困っていて生活福祉資金貸付制度の利用を考えている方や、生活福祉資金を返せずに困っているという方は、弁護士などの専門家に相談することも検討してみてください。

生活福祉資金貸付に関するQ&A

緊急小口資金・総合支援資金は自己破産できる?

自己破産して、返済免除できます。

厚労省が都道府県社協に通達した書類には、

自己破産の手続きが完了した場合や個人再生の手続きをして返済が完了した場合については、都道府県社協会長の職権によって、緊急小口資金・総合支援資金で借りたお金を返済免除にできる

という旨が記載してあります。

緊急小口資金、総合支援資金の返済免除条件は?

お金を借りた人(=借入の申請をした人)と世帯主の両方が、令和3年度「又は」令和4年度の「どちらか一方でも」住民税非課税であれば、返済免除の対象となります。
令和3年度の住民税が課税だった方も、令和4年の住民税が非課税になっていれば返済免除の対象となります。

しかし、お金を借りた人と世帯主が、それぞれ別々の年に住民税非課税という場合は、返済免除の対象外となってしまいます。

債務整理を弁護士・司法書士に依頼するメリットは?

依頼後すぐに消費者金融などの債権者からの督促や取り立てがストップするのが最大のメリットです。
債務整理を開始すると、消費者金融などの債権者に受任通知が送られます。これにより、債権者は、電話や手紙、訪問などによる督促や取り立てを直接行えなくなります。

緊急小口資金特例貸付は、債務整理中に申請できるか?

債務整理中の方(自己破産手続き中、任意整理中)の方は、申請ができません。債務整理を委任している代理人(弁護士等)やお住まいの福祉事務所などにご相談ください。
なお、債務整理(免責決定、和解成立)後は申請することができます。

債務整理に強い弁護士・司法書士に無料相談

借金返済ができず、滞納・督促でお困りの方は、債務整理に強い弁護士事務所・司法書士事務所にご相談ください。

弁護士事務所・司法書士事務所に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

  1. 毎月の借金の返済が苦しい/借金が一向に減らない
  2. 債務整理したいが自宅だけは手放したくない
  3. 連日の督促・取り立てで精神的につらい

債務整理の実績豊富な弁護士事務所・司法書士事務所に相談・依頼することで、厳しい督促が止まり、難しい手続きもサポートしてもらえます。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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