弁護士を介さず債務整理できる!特定調停のメリットとデメリット

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特定調停について〜任意整理との違い、メリット・デメリット

債務整理の方法の1つに『特定調停』があります。

特定調停は、弁護士を介さなくても可能な債務整理の手段ですが、意外と知らない人も多いようです。
ここでは、特定調停の利点や欠点、必要書類や大まかな流れを解説します。

1.特定調停とは?

特定調停は、簡易裁判所を使って借金の額を減らすことができる制度です。
簡易裁判所が選任した調停委員が債権者と債務者の間に立って話し合いを行い、債権者に返済条件の緩和を呼びかけることで負債を減らします。その合意内容は確定判決を同じ効力を持ちます。

裁判所が債権者と債務者の間に入ってくれるため、お互いに直接顔を見ることなく話が進みます。
費用も低額なので、債務者が利用しやすい債務の整理手段です。

1-1.利用数

特定調停がスタートしたのは平成12年2月です。

借金に苦しむ債務者の味方として期待されたこの制度は、日本全国でトータル38万件を突破する利用数を誇りました。
しかし、年々利用数が激減していき、2010年代からは3万件程度の利用数にまで落ち込んでしまっています。

これは、債権者と債務者の交渉が不成立に終わることが多いことが原因だと言われています。合意が成立する確率は3%程度というデータもあるくらいです。

1-2.借金の減額率

いくら減額されるかは債務者毎に大きく異なりますが、一般的に特定調停の減額率はあまり高くありません。
減額される額が多ければ多いほど債権者側の合意が得られず、交渉が流れてしまうからです。

調停が合意に至っても、あまりに借金額が多ければ、多少の減額では「焼け石に水」となってしまうことが多く、他の債務整理方法を選択した方が合理的だった…ということになりかねません。
合意の成立率が低いことに加えて、減額率の低さも利用数激減の原因とされています。

2.特定調停を利用できる条件

特定調停を利用するには、一定の条件がなければなりません。

2-1.債務の支払いができないこと

特定調停は「債務の支払が不能となる可能性がある」という段階で利用できます。

毎月の支払いと収入のバランスが不釣合いで、近々債務を返済できなくなるといったときに申し立てするといいでしょう。「借金で生活が苦しい」といったレベルであっても、申し立てを行って大丈夫です。

また、個人事業主や法人の場合は「借金を支払うと事業の継続に支障が出る」といった段階でも特定調停を利用できます。
「機械を売り払えば借金は返せるけど、そうすると事業を続けられなくなる」などの事情があれば、裁判所が特定調停の利用を認める可能性は高いです。

逆に、「収入や貯金があるのに借金を支払わない」と言った事例は対象外になります。

2-2.一定のお金を支払えること

特定調停は借金の「減額」を目指すもので、借金の棒引きをするものではありません。
特定調停成立後も負債を抱えて返済が続くことになるので、それに耐えられる収入や貯金が必要となります。

無職の人でも申し立て自体は可能ですが、債権者が合意する返済計画を立てるには収入や貯金がなければ厳しいでしょう。

2-3.債務の額が一定以内であること

特定調停では概ね3年以内に弁済できるような範囲に債務を減額します。そのため、返済に10年かかるような額の負債に対しては特定調停を利用できなくなります。

返済期間の長い住宅ローンや車のローンを特定調停にかけるときは、残債の額が重要です。

2-4.平日の昼間に裁判所に出頭できること

特定調停は自分で手続きし、裁判所の仲介を受けながら自分で交渉を行います。これをするには裁判所への出頭が必要です。
裁判所は平日の昼間しか開いていないため、仕事の関係や、病気など身体的な理由で裁判所へ足を運べない人は利用が制限されます。

特定調停を弁護士に依頼することも可能ですが、特定調停を選択する人は弁護士費用が工面できないなど、手続きを自分で行わなければいけない事情があることが一般的なので、自分で対応せざるをえないのが通常です。

3.特定調停の流れ

特定調停の流れとスケジュールは以下のようになります。

①特定調停の申し立て(起算日)
申し立て用の書類を管轄の簡易裁判所に提出します。

②裁判所から呼出状が届く(半月~1ヶ月程度)
裁判所に出頭する日を指定した書状が届きます。指定日にどうしても都合が悪い場合は、すぐに裁判所まで連絡してください。

③第一回特定調停(2~3ヶ月程度)
第一回の特定調停では債権者が出席しません。債務者のみ出席し、借金の理由や返済の意思などを調停委員に説明します。
調停委員が債務者から返済の意思を感じない場合や、借金の額が多くて返済が不可能だと思った場合は、自己破産など別の債務整理を薦められることがあります。

④第二回特定調停(4~5ヶ月程度)
第二回特定調停には債権者と債務者の両方が出席します。
それぞれ別室で待機し、個別に呼び出されて調停委員と話します。債権者と債務者が同席することはありません。
債権者と債務者の意見を聞いて、調停委員が様々な調整を行います。

⑤調停調書の郵送(6ヶ月程度)
調停の内容に債権者の合意が得られていれば調停調書が郵送されてきます。
不調の場合、紛争の解決案が送られてきます。異議がなければこの案が決定事項となり、確定判決と同じ効力があります。

2週間以内に異議申し立てがあれば決定内容は全て無効となり、調停の不調が確定します。

4.必要書類

特定調停では以下の書類が必要です。裁判所で教えてもらえるので、わからないことがあれば聞きに行きましょう。

①特定調停申立書
裁判所に特定調停を申し立てる書類です。債権者1社(者)につき正副1部ずつ合計2部提出します。
借金や残債の額もこの書類に記載します。

②財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料
長い名前の書類ですが、要は債務者資産状況を書く書類です。保有資産、負債、職業、手取り収入などを記載して提出します。
毎月いくら返済したいのかもこの書類に記載しますが、あくまで「希望額」なので希望が通るかどうかはわかりません。

③権利関係者一覧表
債権者の一覧です。債権者の氏名や法人の名称、借入額と残債額などを記載します。
保証人や担保(抵当権など)についても記載してください。

④資格証明書
債権者に関する「現在事項全部証明書」か「代表者事項証明書」を法務局で取得して添付します。
この証明書の名称や住所と他の書類の債権者に関する名称や住所が違うと裁判所から訂正を求められることがあります。

5.費用

特定調停は、非常に低額で申し立てができます。

  1. 申立手数料…債権者1社(者)ごとに500円
  2. 切手代…債権者1社(者)ごとに420円

申立手数料は収入印紙で支払います。
切手代については、余った分が後日返還されます。逆に、切手代が足りなくなったら追加を求められます。

裁判所によって費用が違うことがあるので、必ず事前に問い合わせてください。

6.特定調停のメリットとデメリット

6-1.メリット

①利用が簡単

特定調停は、書類さえ揃えれば誰でも申し立てられます。
費用も安いので、個人で利用するケースが多く見られます。

②借金の原因を問わない

自己破産の場合、ギャンブルによる浪費などは免責事由となりません。
一方、特定調停は借金の原因に関係なく利用できます。

③裁判所が交渉

特定調停では、裁判所を通じて債権者と交渉を行えます。
債権者と直接会わずに済むので、心理的な負担が大きく減ります。

④官報に載らない

自己破産をすると官報に記載されますが、特定調停は合意が成立しても官報に載りません。

6-2.デメリット

①ブラックリストに載る

特定調停をすると、いわゆる「ブラックリスト」に載ってしまいます。
約5年の間はクレジットカードの審査に落ちてしまいますし、銀行に行っても新しく住宅ローンや車のローンを組めなくなります。

しかし、これは他の債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)でも同じことですので、特定調停特有のデメリットというわけではありません。

【参考】はじめてのブラックリスト

②合意内容に背くと強制執行

調停で合意した内容は裁判の判決と同じ効果があり、債権者はもちろん債務者もこれに従わなくてはなりません。
このため、例えば返済計画に合意した債務者が期日までに支払いを怠ると、債権者は訴訟を行わず即刻強制執行に踏み切ることができます。

【参考】債務の強制執行とは?予兆・流れ・今後の生活について。

③遅延損害金が発生する可能性がある

特定調停をして合意に至らないと、支払いが遅れたことによる遅延損害金を債権者から受けることがあります。
借金を減らすつもりが、逆に傷口を広げてしまうということです。

④過払い金は別扱い

たとえ過払い金があっても、特定調停では過払い金の返還を求めることができません。
別途訴訟を提起して返還を求める必要があります。

⑤時効が延長される

あまり現実的ではありませんが、借金には時効があり、一定期間経過するとチャラになります。
貸金業者との契約による借金の時効は5年です。

しかし、特定調停で合意した場合、借金の時効は5年ではなく10年に延長されてしまいます。
時効が成立する可能性は非常に低いのですが、念のため覚えておきましょう。

⑥保証人に請求が行くことも

特定調停を申し立てると、債権者が債務者本人ではなく保証人に債務の弁済を請求することがあります。

大抵は一括払いで請求が行われるため、保証人にとっては寝耳に水です。
予め保証人を整理対象から外すなどの対策をしておかないと、保証人に大変な迷惑をかけることになります。

⑦借金の減額効果が少ない

繰り返しになりますが、特定調停を行っても大きな減額は期待できません。

また、調停の成立自体が稀で、ほとんどは不調に終わります。調停が流れたら当然借金はそのままです。

7.任意整理との違い

最後に、特定調停と任意整理の違いについて解説します。

7-1.公的か私的か

特定調停は裁判所が債権者と債務者の仲裁を行う公的な制度です。前述のように、合意が成立すると確定判決同様の効力を生じます。

これに対し、任意整理は弁護士が債務者の代理人として債権者と交渉を行います。しかし、双方が合意して書面を交わしても、裁判の判決のような効果はありません。あくまで私的な書類として扱われます。

特定調停と任意整理では合意の重みが明確に違うのです。

7-2.督促の停止にかかる時間

任意整理では、弁護士に依頼するとすぐに債権者からの督促がストップします。依頼者は迅速に静かな日常を取り戻せるのです。

特定調停の場合は、債務者が裁判所に申し立てをした後、裁判所が債権者に受付票を送付し、債権者がそれを受け取ってようやく督促が止みます。タイムラグがあるのがマイナスポイントです。

7-3.申し立ての手間

任意整理は、債務者が弁護士に任意整理を依頼すれば手続きが完了します。

それに比べて特定調停は、裁判所に申し込むまでに必要な書類が多いのが難点です。一定の書式に従って特定調停申立書を作り、後述の書類を揃えて裁判所に提出しなければいけません。

8.まとめ

このように、特定調停は費用が少なくて済みますが、借金の減額効果には若干疑問がある債務整理手続きです。
調停が不調に終われば、調停に要した時間や手間が全て無駄になってしまいます。

特定調停にするべきか、任意整理にするべきか、それともまた別の債務整理方法にするべきかは、弁護士・司法書士にご相談ください。このような専門家は、個別の案件に最適な債務整理手続きを教えてくれます。

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