債務の強制執行とは?予兆・流れ・今後の生活について

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債務の強制執行

住宅ローンやクレジットカードの借金、家賃や携帯料金の滞納など、払うべきものを払わないでいると、裁判所によって「強制執行」という手続きが始まることがあります。

「強制執行」という単語自体はご存知の方も多いと思います。
では、実際に強制執行されてしまうと、具体的にどうなるのでしょうか?その予兆や流れ、内容など、分からないことはたくさんあると思います。

本記事では、強制執行の概要や、生活への影響を記載していきます。強制執行のような事態になる前に、法律の専門家と相談して解決を図ることをおすすめします。

1.強制執行とは

債権者が督促をしても債務者が債務(借金)を弁済しない場合に、債権者が裁判所で手続きをすることで、国家権力が法的に債務者の財産を差し押さえ、支払いを実行させる手段のことを「強制執行」と言います。
差し押さえ」とは、債務者が勝手に自分の財産を処分しないようにするものです。差し押さえられた債務者の財産は裁判所が処分を行い、債権者への支払いに充当します。

【差し押さえとブラックリスト】
例えば、税金の滞納が理由で差し押さえをされても、「ブラックリスト」には載りません。
しかし、カード会社などの借金が返せなくて差し押さえをされると、その情報がブラックリストに登録されます。役所などの公的機関とは異なり、カード会社等はしっかりと個人信用情報機関と連携を取っているからです。

2.強制執行のための「差し押さえ」の具体例

差し押さえの対象は現金、有価証券、金融機関の口座、不動産、動産、債務者が持っている他人への債権など、多岐に渡ります。
動産とは要するに「不動産以外のもの」のことで、宝石などの貴金属、骨董品、自動車などがこれに相当します。

現金が差し押さえられた場合、その現金は債権者に渡って債務の支払いに充当されます。
動産や不動産が差し押さえられた場合、それらの財産は競売などの手続きで処分され、売却代金が債務の支払いに回されます。

実務上で差し押さえられる主な債権は「預金口座」です。
預金は銀行へお金を預けている状態であり、預金者は銀行から現金を払い戻してもらう権利を持っています。この権利を差し押さえることで、債権者は払い戻しを受ける権利を得られるというわけです。

さて、強制執行によって現金や預金が差し押さえられると、その日から無一文になるイメージがあります。
また、不動産を差し押さえられると、土地や住宅に入れなくなるような考えを持っている人も多いでしょう。

しかし、これらはテレビドラマなどの演出によるフィクションです。実際に上記のような状態になることはまずありません。
以下で、差し押さえの具体例を解説します。

2-1.不動産・動産の差し押さえ

家や土地を差し押さえられると、自分の判断で自己の不動産を売却したり、取り壊したりができなくなります。

これは、例えば不動産を不当に安く売却して債務の弁済に支障をきたそうとしたり、取り壊しによって売却価格を下げたりするといった債務者の悪意的な行動を防止する意図があるためです。
実際には、不動産を差し押さえられても、債務者は普段のように自宅を使うことができますし、土地に立ち入ることもできます。

住宅に付随する家財道具についても、一般家庭にあるものであればほとんどが生活用品として差し押さえを免れます。
例えば、中古家電などは差し押さえて売却してもあまり高値で売れないため、基本的には差し押さえがされません。

しかし、一般家庭にそぐわない高価なホームシアターセットなどは、換価すると一定の額になるので、差し押さえられる可能性があります。
また、骨董品や貴金属など、換価して高額になる物品は、やはり差し押さえの対象になります。

【動産の差し押さえ方法】
差し押さえの際は、執行官が債務者の自宅まで直接出向いて物品を差し押さえます。債権者が立ち会う必要はありません。
債務者が留守の場合、執行官は自分が訪れた旨を示す書類をポストに投函して帰ります。その後、差し押さえができるまで再訪を繰り返すのです。
動産執行は抜き打ちで行うので、債務者からすれば寝耳に水です。裁判所から職員がやって来ることなど、通常の生活ではそうそう起こりません。大抵の債務者は大慌てします。

2-2.現金の差し押さえ

手元に66万円以下の現金しかない場合は、現金の差し押さえができないことになっています。これは、債務者の生活を守るための措置です。

しかし、普段から家に66万円を超える現金を保管している家庭は少ないのではないでしょうか。大きな金額はほとんどが金融機関の口座にあるはずです。
従って、現金を直接差し押さえられる可能性は極めて低いといえます。

厄介なのが給料の差し押さえです。給料が差し押さえられると、借金が確実に会社にバレてしまいます。
給料は、最大で手取り金額の4分の1までが差し押さえされます(4分の3を残すのは、やはり債務者の生活を守るためです)。

また、給料の手取り金額が33万円を超える場合は、「手取り金額-33万円」と「手取り金額の4分の1」を比較して、高い金額が差し押さえの対象となります。

【例】
手取り金額が40万円なら、 40万-33万円=7万円 と 40万×4分の1=10万円 を比較して、高い金額である10万円が差し押さえられます。
手取り金額が50万円なら、50万-33万円=17万円 と 50万×4分の1=12万円 を比較して、高い金額である17万円が差し押さえられます。
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強制執行においては、預金口座を差し押さえられるのが一般的には一番痛いと言えるでしょう。
預金口座にあるお金は全額が差し押さえの対象となり、残高が一気にゼロとなることもあります。

給料の差し押さえは制限されていても、既に口座にあるお金は給料であるかどうかがわからないため、差し押さえを免れないのです。

同じ理屈で、年金の受給権は差し押さえられませんが、既にもらった年金を口座に入れていると差し押さえられてしまいます。

2-3.差し押さえされないもの

以下のものは差し押さえの対象になりません。

  • 生活上で必要な衣服(高級なブランド品などは除外される可能性)
  • 食品や燃料(1ヶ月分まで)
  • 寝具、家具
  • 家電(同種の物が2点以上あれば差し押さえされます)
  • 鍋や包丁などの調理器具および台所用品
  • 仕事の上でどうしても必要な道具
  • 仏壇、仏像、位牌など

【財産がほとんどない場合】
財産がほとんどない場合でも、銀行の口座などは差し押さえられます。こうなると、振り込まれた給料などが一定の範囲で使えなくなってしまいます。
「財産がないから大丈夫」などと軽く考えていると、後で痛い目を見ることになるのです。
また、差し押さえの前には、債務者の財産が調査されるのが普通です。財産を隠したり処分したりすることを防ぐため、債務者には秘密で行われます。よって、「財産がないふり」をするのは不可能です。
「借金を返さないと、財産がなくても強制執行を受ける」と肝に銘じておく必要があるでしょう。

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3.返済を放置後、強制執行までの流れ

借金を放置した場合、債権者は様々な方法で返済を求めてきます。

強制執行に至るまでの過程で行われる債権回収方法には、以下のようなものがあります。

3-1.郵便での督促

大抵の場合、まずは郵便物の送付で支払いの督促が行われます。
普通郵便で行われているうちは「支払いがありませんが、何かありましたでしょうか?」程度の内容です。この段階で支払いを行えば、あまり大事にはならないケースがほとんどです。

しかし、簡易書留など記録が残る形の郵便物を無視すると、後で痛い目に遭います。
特に注意すべきは内容証明郵便です。相手がかなり怒っており、「一刻も早く支払わないと法的手段に出るぞ!」という意思が表れていると考えてください。

どのような郵便物でも無視はご法度ですが、内容証明郵便には特に注意してください。

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3-2.「期限の利益喪失通知」の送付

借金の返済が滞り、郵便による督促に応じない場合、借金をした相手から「期限の利益喪失通知書」が届くことがあります。
これはその名の通り「何月何日までに対応しない場合は、あなたの期限の利益は失われますよ」とお知らせする書面です。

書面に記された期日になったら期限の利益が失われ、借金の即時一括返済を求められることになります。
それでも返済しない場合は、遅延損害金などが加算されながら、他の債権回収手続が進められていきます。必ず何らかのアクションを行ってください。

住宅ローンの場合は、通算で6回ほど滞納すると期限の利益喪失通知が届くことが多いようです。

「期限の利益」とは

債務者が有する一定の権利の代表例が「期限の利益」です。これは、返済期限が定めされていることによって債務者に発生する利益を指します。

債務者は期限になるまでの間は借金を返済する義務がなく、返済の催促もされないといった利益を受けます。こういった利益を総称して「期限の利益」と呼ぶのです。

期限の利益がなければ、債務者は常に返済を催促されることになりますし、借りたお金を即刻返済しなければならないといった不利益を受ける可能性があります。昨日借りたお金を今日返さなければならないといった事態が起こりかねないのです。
そういったことを防ぐため、期限の利益が設定されています。

そして、期限の利益を失った債務者は、即刻借金返済の催促を受け、即座に借金を返済しなければならない状態に陥ります。分割払いの契約であったとしても一括払いを行うよう請求され、支払えなければ遅延損害金が積み上がっていきます。

3-3.電話や直接訪問による督促

郵便による督促の後、または同時に行われるのが、電話や自宅訪問などによる取り立てです。
最初のうちは「お支払いただけないのは何か事情があるのでしょうか?」「いつならお支払いただけますか?」と対応してくる業者が多いのですが、だんだん本気度が上がってきます。

とは言え、恫喝行為や早朝と夜間の取り立ては禁止行為となっています。
電話や直接訪問による取り立ては、どちらかというと後述する交渉に向けたステップとなることが多いようです。

3-4.債務者本人以外(保証人など)への取り立て

借金の場合、保証人や連帯保証人または連帯債務者などが存在することがあります。
債務者本人に返済能力がない場合、債権者はこういった人達から債権の回収を図ります。

これが実行されると、連帯保証人になってくれた人に大変な迷惑がかかりますし、債務者は借金を肩代わりしてくれた人へお金を返す必要が出てきます。

【債権譲渡が行われることも】
債権の回収が割に合わないと思った債権者が、別の人や団体に債権を譲渡する場合があります。債権を売り渡すことで債権者が多少でも債権を回収するためです。
債権を買った方は、あの手この手で債務者に返済を求めます。債務者からすると返済相手が変わっただけなのですが、債権の譲渡先によってはそれまでの催告方法が激変することがあるので、より大きなトラブルに発展するおそれがあります。

3-5.法的措置

強制執行を行うためには、債権者が裁判所に対して「強制執行申立て」を行うことが必要です。これには「債務名義」という公文書の提出が必須となります。
債務名義は債権の存在を証明し、裁判所が強制執行の許可をした文書です。

強制執行を行うために、具体的には、以下のような法的手段が行われることになります。

支払督促

支払督促は、特別送達の1つで、公的機関が文書を送達するために使う郵便物であり、正当な理由なしに受け取りを拒むことはできません。

支払督促とは、簡単に言えば、債権者が裁判所に頼んで債務者に督促状を発行してもらう制度です。裁判所から督促状が届くので、債務者の精神的ダメージは非常に大きくなります。
支払督促に対して反論がある場合、異議申し立てが可能です。異議申し立てを行うと裁判になります。債権者側も面倒な裁判は省略したいため、異議申し立てが行われないような場合に支払督促を利用します。

支払督促に対して異議申し立てをしない場合、2週間経過した時点で債権者が仮執行宣言の申し立てを行います。これによって支払督促に執行力が付与され、今度は「仮執行宣言付支払督促(債務名義の一例)」が債務者と債権者の両方に送付されます。

仮執行宣言付支払督促が債務者に到着した後であれば、債権者は債務者に対して強制執行をすることが可能になります。 仮執行宣言付支払督促が届いた後であっても、債務者は異議申し立てが可能ですが、強制執行を停止するためには執行停止の手続を別途行わなければなりません。

訴訟

債権者が債務者を訴えて、裁判所から確定判決を得る手続です。確定判決文(債務名義の一例)を得た債権者は、それを使って強制執行に踏み切ることができます。

訴訟は時間がかかるため債権者にとっても好まれない方法ですが、それだけに訴訟を起こすということは債権者が本気で債権回収を図っているということに他なりません。 訴訟には弁護士が必要となるので、早めに対応をしてください。

保全処分

保全処分とは、債務者が財産を処分したり隠したりできないようにしておく手続です。

訴訟で勝ったとしても、債務者にお金がなければ債権回収ができません。これを見越した債務者が、訴訟と同時に財産を処分することも十分に考えられます。
これを防ぐため、債権者が訴訟の前に保全処分を行うことがあります。

保全処分には仮差押と仮処分がありますが、金銭債権の場合には仮差押が利用されます。

例えば、債務者の預貯金があったときに、これを仮差押することで、銀行が債務者に現金を渡さないようすることができます。
こうすることで、債権者は強制執行が可能になった後に、銀行から直接お金をもらって債権の回収ができるのです。

仮差押の可否は裁判所が判断しますが、この審理は債務者に秘密で行われます。債務者が審理の日程を知ってしまうと、結論が出るまでに債務者が財産を処分する可能性があるからです。
債務者の立場からすると、ある日突然仮差押の事実を知ることになり、それ以降銀行からお金をおろせなくなったり、予定していた売掛金の支払いを受けられなくなったりします。大きな不利益が生じるのは容易に想像できるでしょう。

5.強制執行されそうなら弁護士へ相談を

借金を返せなくなった、または強制執行の気配を感じたら、ためらわず弁護士に相談してください。
できるだけ早いタイミングで相談することで、債務整理などの手段を講じて強制執行にならないように対処ができます。

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債権者が債務名義に相当するもの(確定判決や公正証書など)を取ったら、強制執行される可能性が大きくなります。これらの書類を取られる前に弁護士へご相談ください。
債務名義の送付を受けたら、強制執行の開始は間近であるか、既に始まっています。こうなってしまうと手遅れのケースが多いため、できれば「借金苦になった」時点で弁護士に連絡を取るといいでしょう。

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