自己破産の条件を解説|法律事務所に依頼すれば失敗しない!
借金が支払い不能になった時、裁判所の許可を得ることで原則として全ての支払いを義務を免除(免責)してもらえるのが「自己…[続きを読む]
「株式投資」による資金運用は、成功すれば莫大な利益を得ることができますが、その反面、運用を失敗して多額の借金を背負う人が後を絶ちません。
「株で自己破産した」という話をインターネットなどで目にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
自力では支払えないほどの借金を抱えてしまった場合、自己破産が認可確定されれば、ほとんど全ての借金は支払義務が免除になります。
しかし、自己破産は申し立てれば誰でも無条件で利用が認めてもらえるわけではありません。
もし株に失敗してしまった場合、自己破産による解決はできるのでしょうか?
この記事では、株式投資の失敗で多大な借金を抱えた場合の自己破産する方法について解説していきます。
目次
株取引が2020年の低金利政策の影響もあり、多くの株式投資ブームが起きました。2021年は、米国株を中心に、多くの株式が上場来高値を更新し、多くの方が多額の利益を手にすることができました。特に、株式投資において、信用取引を利用し、少ない元手で大きな金額を動かすレバレッジをかけた取引が可能です
一方、2022年に入り、インフレが社会問題となり、日本を除く、米国を欧州が金利を上げる政策をとるようになり、株や為替が急激に変動するようになりました。信用取引で、株の値動きに損失(含み損)が出た場合、委託保証金が不足し、追加で担保を入れる必要があります。
この場合、「追加保証金(追証・おいしょう)」を求められます。
追証が払えない場合、追証が解消するまで金融機関からの請求は終わらず、督促がずっと続きます。取引業者によっては、遅延損害金を請求されます。年率10%(例:楽天証券 年利14.6%)も超える遅延損害金を請求されます。
それでも、追証の支払いを無視すると、最終的には裁判所から一括請求があり、財産の差し押さえ(強制執行)もありえます。
最終的には自己破産することで、解決することになります。
関連記事:信用取引・FXの追証が払えない!借金の対処方法は?
自己破産は、裁判所に免責許可を得ることにより、借金が全額免除になる制度です(※税金や国民健康保険料などの公租公課を除く)。
裁判所から免責(=借金が0になること)を受けるには、「支払不能状態である」「自己破産の費用が支払える」など、一定の要件を満たす必要があります。
実は、自己破産の条件としては「免責不許可事由」というものがあり、これに抵触をしている場合は免責が認められない可能性があります。
免責不許可事由は多岐に渡ります。該当する主なケースは以下の通りです。
自己破産の免責の判断に際しては、財産隠しや虚偽申告など、不誠実な行為・態度が特に問題視されます。
株式投資の失敗は、わざとしているわけではありませんが、「射幸行為(偶然に得られる成功や利益を当てにする行為)」による借金に当たるため、条文上は免責不許可事由とされています。
すなわち、株の失敗による借金の場合、免責不許可事由に該当するという理由で自己破産が認められないケースがあるのです。
しかし、実は借金の原因が株式投資だったとしても自己破産できるケースが多いです。
確かに株式投資は「射幸行為」に該当し、それだけ見れば免責不許可事由に該当します。
しかし、仮に免責不許可事由だったとしても、実際には裁判所の「裁量免責」によって免責を受けられるケースがほとんどです。
特に1回目の自己破産については、きちんと反省したという態度を見せ、株式投資から手を引けば、裁量免責を受けられる可能性は高いでしょう。
よって「株式投資による借金は自己破産できないのでは?」と思い悩むのではなく、諦めずに一度弁護士に相談すべきです。
自己破産手続に精通した弁護士は裁量免責の実態についても熟知しているので、どのように対応したら免責を受けられるかをアドバイスしてくれます。
「株による借金でも自己破産できるなら、早速申し立てを行おう」と思う方もいらっしゃるかと思います。
しかし、自己破産は借金を0にできるという大きなメリットがある反面、注意すべき点も多々あります。
自己破産をする上での注意点をご確認ください。
自己破産をすると、今後の生活に必要な一部の財産を除き、高価な資産は処分する必要があります。
財産は処分・換価された後に、債権者に平等に配当されます。
通常、自己破産をする方が多額の資産を持っているケースは少ないのですが、株式投資をしている方の場合、マンションなど資産価値の高い財産を持っている方もいます。
自己破産をすると、このような財産は失うことになるという点にご注意ください。
より具体的には、「99万円以下の現金」「新得財産(破産申立後に得た財産)」「差し押さえ禁止財産(家財道具などの生活必需品、年金受給権など)」は手元に残せますが、それ以外の財産は処分対象となるので注意が必要です。
(※各裁判所の運用で、資産価値20万円以下の財産も残せることがあります。)
どうしても財産処分をしたくない場合は、自己破産以外の債務整理方法(個人再生など)を検討しなければなりません。
個人再生は、手続き後も債務の支払義務が残りますが、自己破産のような免責不許可事由はありません。
弁護士に相談すると、あなたにとって最適な手続方法についても助言をもらえるでしょう。
自己破産をすると主債務者の借金は免除になりますが、保証人(連帯保証人)がいる場合はそちらに請求がいきます。
通常、借金をする際には保証人を立てる必要があり、主債務者がその借金を返済できなくなった場合、保証人はその債務を肩代わりしなければなりません。
多額の借金を返済できず自己破産した場合、保証人にも弁済のあてがなければ、保証人も一緒に自己破産しなければならないでしょう。
どうしても自己破産をしなければならない場合は、保証人には現状を包み隠さずに伝えて、誠意を持って対応すべきです。
自己破産に限らず、債務整理をすると、通称「ブラックリスト」に載ってしまいます。
自己破産などの債務整理をしたという情報は、債権者から信用情報機関という機関に共有されます。
信用情報機関は、あなたが債務整理をしたという事実を金融事故情報として登録します。
貸金業者や銀行、クレジットカード会社は、新規の申し込みや途上与信の際に信用情報を照会して審査を行うため、「過去に借金を返せず債務整理をした」という事故情報があるうちは、この審査に落ちてしまいます。
よって、新たな借り入れやクレジットカード・キャッシングの利用ができません。
このような状況を、俗に「ブラックリスト入りした」と言います。
自己破産をすると信用情報機関に5~7年間掲載されます。
その間にどうしても借り入れをしなければならないような事情ができたら、親族などから援助を受ける必要があるでしょう。
結論から言えば、自己破産後に株取引を再開させることは可能です(自己破産をした人は株取引ができない、というような法律はありません)。
しかし、実際問題、証券口座の作成には一定の資産があることが条件となりますので、すぐに新しい口座を作って株取引を始めるのは現実的ではありません。
また、せっかく自己破産して借金をなくしてもらったのに、再び株取引に手を出して失敗すると、元の生活に逆戻りしてしまします。最悪、また自己破産をせざるを得ない状況になってしまう恐れもあります。
自己破産は、初回は免責不許可事由があっても大抵は裁量免責を受けられますが、2度目の場合は裁判所の判断は厳しくなります。
「1度自己破産してから7年経過していない」ことも免責不許可事由の一つなので、自己破産が認められない可能性は高いです。
よって、自己破産後に株取引を行うこと自体は可能ですが、決しておすすめはできません。
株式取引には、現物取引と信用取引があります。現物取引の場合、自己資産以上の損失はできませんが、信用取引の場合、レバレッジをかけた取引が可能なため、損失が生じると、委託保証金が不足し、追証が必要となります。追証が払えないと、現物株や現金が強制決済され、回収されます。それでも足りない場合は、借金として残ります。
などのデメリットが生じます。
株式投資が理由の借金を自己破産で解決しようとすると、免責不許可事由に該当します。しかし、裁量免責によって自己破産できる可能性はあります。
よって、最初から諦めるのではなく、自分が自己破産できそうかどうか、まずは弁護士に相談してみてください。
弁護士は法律のプロであり、あなたにとって適切な解決方法・債務整理方法をアドバイスしてくれます。
借金問題は早めに対処するほど解決の選択肢が増えます。株・ギャンブル・資金運用などが理由の借金に困っている、返しきれない程の借金を抱えてしまった、という場合、一刻も早く弁護士にご相談ください。