約120年ぶりの民法大改正!法定金利が改正され年3%の変動制に

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企業や個人間の契約に関する基本的なルールを定めている民法の、債権関係に関する規定が、2017年5月26日の参議院本会議で可決され、成立しました。
今回の民法改正は約120年ぶりのもので、様々な社会の変化に対応するために行われ、3年以内(2020年を目処)に施行されることになっています。

改正の項目は約200項目に及びますが、我々の生活に大きく影響を及ぼす改正の一つが、法定金利の改正です。

今回は、法定金利がなぜ改正されるのか、また改正が及ぼす影響等についてご説明したいと思います。

1.法定金利改正の背景

1-1.法定金利とは

金利というと、お金の貸し借りをする際の金利を思い浮かべる方が多いと思います。

通常、金利は、利息制限法において上限が定められているものの、貸す側と借りる側の合意で決められるのが一般的です。
法定金利は、このような当事者間の合意によって利率が決められなかったときに適用される金利をいいます。

また、法定金利は、交通事故の損害賠償や、離婚時の慰謝料等のように、そもそも合意に基づいて発生するわけではない金銭債務について、その支払いが遅滞した場合の金利(遅延利息)についても適用されます。

1-2.法定金利改正の背景

現在の民法では、これまで、法定金利は年5%と定められており(民法404条)、変動することはありませんでした(商取引に適用される商事法定利率は6%とされていました(商法514条))

しかし、一般的に市場における金利は変動するのが普通です。例えば、銀行預金の金利を見てみると、バブルの頃は年5%や6%を超えることも珍しくありませんでしたが、現在は、いわゆるゼロ金利やマイナス金利などと呼ばれるように金利が低下し、銀行預金においても、ほぼゼロに近い金利となっています。
このような低金利の状況においても、法定金利が適用される場面においては、これまで年5%という金利が適用されてきました。

その結果、100万円を銀行に預けていても年1000円の利息もつかない状況であるにもかかわらず、交通事故の損害賠償額が100万円として1年支払いが遅れてしまうと年5万円の利息を取れることになり、請求を遅らせた方が請求者が有利になるような状況が生じてしまっていました。

このような状況が起こるのを防ぐために、今回法定金利に関する規定が改正されることになったのです。

2.法定金利改正の内容

2-1.法定金利の引き下げ

まず、今回の改正民法の施行に伴い、法定金利が5%から3%に引き下げられました。

また、商取引に適用された商事法定利率(6%)は廃止され、民法の法定金利に統一されることになりました。

2-2.変動制の導入

これまで、法定金利は5%のまま固定されていましたが、今後は3年に1度見直すという変動制に変更されることになりました。
なお、金利の見直しを行うに際しては、経済や政治の短期的な変化に影響を受けることを避けるために、国内銀行の貸出約定平均金利の過去60か月の平均値を用いて見直しを行うとされました。

ただ、実務上における計算等が複雑にならないよう、1%未満は切り捨てることとなっているので、今後、基準となる金利が1%以上上昇すれば4%に、逆に1%以上低下すれば2%になるというように変化することになります。

改正前 改正後
法定金利 年5% 年3%
金利変動 5%のまま固定 3年に1度見直し(変動制)

3.法定金利改正の影響

次に、今回の法定金利の改正が私たちにどのような影響を及ぼすかについて、場面ごとに見て行きたいと思います。

3-1.過払い金返還訴訟への影響

消費者金融等に対する過払い金返還請求においては、これまで、過払い金の発生時から年5%の利息が発生していました。ですから、例えば7年前に完済した借金に100万円の過払い金が発生していた場合、これを請求する際には、7年間分の利息35万円(100万円×5%×7)と合わせて135万円の請求ができました。

しかし、仮に、法定金利が3%となると、7年間分の利息は、21万円(100万円×3%×7)に減ってしまうことになります。

ただ、法定金利の改正は、過去に遡るわけではないので、既に発生している過払い金には影響がありません。

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3-2.交通事故裁判への影響

交通事故の損害賠償請求の場面においては、今回の法定金利の改正が、請求額が増える方に働く場面と、減る方向に働く場面とがあります。

損害賠償額が減少する場面

交通事故の損害賠償金については、原則として、事故の日から支払い日まで、法定金利による利息が請求できます。
ですから、今まで損害に対して年5%の利息が請求できていたのに、3%になることで、請求できる利息が減ってしまうことになります。

もちろん、今後の金利動向で法定金利に変動があれば、5%以上になることもあり得るので、その場合は、現在に比べて請求できる利息が増えることになります。

損害賠償額が増加する場面

交通事故の損害賠償において、逸失利益(事故に遭わなければ得られたであろう利益)を算定する場面において、法定金利が影響を及ぼすことがあります。

交通事故によって働くことができなくなった場合、将来得られることが予想された収入分を逸失利益として、損害賠償請求できるのですが、その際、将来もらえるはずの金員は現在価値に引き直すという作業が行われます。これを中間利息の控除といいます。

例えば、10年後に得られる予定であった100万円を、「今」、支払ってもらう場合、10年早く支払ってもらえるという利益があることから、その10年分の利息相当額(これを中間利息といいます)を控除した分しか請求できないとされているのです。

その中間利息について、これまで年5%として算定されていたのが年3%になることで、控除すべき中間利息額が減少する結果、請求できる金額が増えるということになるのです。

3-3.その他の金銭債権への影響

法定金利は、前述のとおり、利息や遅延損害金について、契約者間で定めのないときに適用される金利です。通常のお金の貸し借り(金銭消費貸借契約)においては、利息や遅延損害金の利率を定めないということは滅多にないと思います。

しかし、例えば売買代金や家賃の支払いが遅れた場合の遅延損害金等については、契約で定めていないことも少なくありません。その場合、これまでは年5%の遅延損害金を請求できましたが、今後は3%しか請求できなくなります。
ですから、遅延損害金については、契約で定めておくことがより大切になってきます。

ただ、変動制であることから、契約期間中に市場金利が上昇すると、契約上の遅延損害金よりも法定金利が上回ることもあり得ます。
従って、法定金利が変動することを視野にいれて契約条項を定めることが今後求められるといえるでしょう。

4.その他の民法改正

今回の民法改正では、120年ぶりの大改正などと呼ばれるように、他にも大きな改正があります。

その一つが、約款に関する規定が民法に初めて盛り込まれる点です。
約款とは、電力会社との電気供給契約や、運送会社との運送契約等のように、企業等が不特定多数の消費者との間で同じ内容の取引をする場合の契約の詳細項目を定めるものですが、これまで、約款に関する規定は民法に存在しませんでした。

改正後の民法では、契約者が契約前に約款の内容の開示を求めることができることや、消費者の利益を一方的に害する条項は無効となることなどが民法に定められることになりました。

また、不動産の賃貸借契約時の敷金についても、これまで民法には詳細は規定がなかったために、敷金の返還についてトラブルになることがありましたが、今回の改正で、敷金の定義が定められ、敷金は原則として借主に返還しなければならないこと等が定められました。

さらに、これは民法の債権法の部分ではないのですが、時効についても改正が加えられることになりました。

これまでは、民事債権が10年、商事債権が5年で時効により消滅するとされてきたものが、民事と商事の区別をなくし、「権利を行使できることを知ったときから5年」及び「権利を行使することができるときから10年」で消滅することになりました。
通常、権利者は「権利を行使できることを知って」いますから、ほとんどの債権は5年で時効によって消滅することとなりました。

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5.まとめ

今回の民法改正は、ここで紹介した以外にも多岐に渡っています。

その一部は、単にこれまでの実務上の取り扱いを明確化するために規定を設けただけのものもありますが、明治29年以来ほとんど改正されなかった民法の大改正ということで注目を集めており、我々の生活に密着した改正も少なくありません。

そして、この民法改正に際して我々が気を付けなければならないのは、ネット上の情報の中には、今回の民法改正前の情報に基づくものも多いということです。

ですから、何らかの法的トラブルに遭ってしまった場合は、安易にネット上の情報を信じることなく、弁護士等の専門家に確認することが今よりももっと大切になってきます。

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