熊本県の世帯数ランキングとその内訳
熊本県の世帯数は、全国第24位と、人口の多さのランキングとほとんど変わらない順位であり、人口と世帯数が比例している都道府県であると言えます。
しかし、持ち家率ランキングは全国第33位と下位の方であり、なおかつ世帯数の多さの順位を下回っているため、熊本県はマイホームを手に入れるのが難しい都道府県であるとデータから読み取ることが出来るでしょう。
その理由の一つとして考えられるのが、熊本県の1世帯あたりの年間収入ランキングが全国第35位と、低い水準であるということです。 年間収入が多くなければ、マイホーム資金に回す余裕がないことは明らかです。
また、2016年の熊本地震の影響も大きいでしょう。 震災によって持ち家を失ってしまった方も多くいらっしゃいますし、震災前と震災後では、熊本県民の持ち家に対する考え方にだいぶ変化があったと思われます。 地震などの避けられない天災により、お金をかけて建設した持ち家を失うこともあるのだから、何かあった時のことを考えると賃貸の方がリスクが低いのではないか、という考えの人が増えているのが現状です。
このような要因が、熊本県の持ち家率の低さに関係していると推測できるでしょう。
熊本県の1世帯あたりの負債現在高
次に、熊本県の1世帯あたりの負債現在高、つまり借金がどのくらいあるのかについて見ていきましょう。
熊本県の1世帯あたりの負債現在高は、全国第22位と、平均より僅かとはいえ上位のランキングであり、負債が多い方の都道府県であると言えるかもしれません。 1世帯あたりの住宅・土地のための負債は全国第19位と、持ち家率の割には高順位という結果になってしまっています。
考えられるのは、熊本地震の復興需要で、一部の土地において、避難してきた地域にマイホームを立て直すという被災者が増加していることにより、地価が高騰しているためです。 また、震災で家を失うとはいかないまでも、大きな損害をうけ、その修繕費の負担が大きいという家庭も多いのではないでしょうか。
一方、1世帯あたりの住宅・土地以外の負債は、全国第39位と下位の順位です。 住宅・土地以外の負債としては、マイカーローンやカードローン、キャッシングによるものなどが考えられますが、熊本県は車社会であるため、自家用車のための支出がその大部分を占めていると考えてよいでしょう。
だからといって安心してはいけません。 熊本県では、パチンコやスロットにハマってしまい、借金をしてしまう人が年々増加し、問題となっているからです。 パチンコやパチスロでの支出も、住宅・土地以外の負債の一部なのではないでしょうか。
東日本大震災の時もそうでしたが、震災後、街が復興の兆しをみせると、パチンコ店が賑わいます。 なぜなら、震災によって空虚になった気持ちを紛らわしたいなど、心が疲れてしまった人にとってパチンコは需要があるからです。 熊本県も例外ではありません。
最近は、レートの低い台も多く、パチンコやパチスロはこのように役に立つ一面もありますが、やはりギャンブルなのです。 気がついたら多額のお金をつぎ込み、消費者金融会社から借金をしてしまう人も少なくありません。 そうはならないよう、パチンコ店では節度を持って楽しむようにしましょう。
1世帯あたりの月払い・年払いの負債ですが、全国第9位と非常に高い順位となっています。 月払い・年払いの負債としては、自動車保険、新聞の購読料、習い事の月謝などが考えられますが、車社会である熊本県では自動車保険への加入は必要不可欠であるため、この項目の出費に繋がっていると考えられます。
また、地域に根ざした生活を大事にしている熊本県民は、全国ニュースよりも地元熊本の情報を得たい人が多く、地方紙を購読している世帯が多いのも月払い・年払いの出費が多い一因であると推測出来るでしょう。
熊本県の1世帯あたりの貯蓄残高について
続いて熊本県の1世帯あたりの貯蓄残高について見ていきましょう。
熊本県の現在残高は、全国第37位と下位の方であり、データだけ見ると、残念ながら貯蓄が得意な都道府県とは言えません。
では、貯蓄内容の内訳はどうなっているのでしょうか。 自由に出し入れ出来る預金である通貨性預貯金の額は全国第30位、毎月決まった額のお金を積み立てていく定額制預貯金の額は全国第39位と、いずれも低い順位です。 有価証券の保有率も全国第31位と、投資にも消極的です。
しかし、熊本地震による被害があったことを考慮する必要があるでしょう。 今はまだ貯蓄にまで回す余裕がなかっただけで、これから伸びていく可能性が十分にあります。 そして、そのような中でも、年金型貯蓄に関しては全国第23位と、比較的高い順位であり、老後を見据えての対策をしっかりと行っている堅実性が見て取れます。
このように、地震の影響を考えると、データだけを見て、熊本県民は貯蓄が苦手である、と決めつけるわけにはいかないのではないかと思われます。