任意整理ができない5つのケースとは?失敗への対処法
借金が原因で生活苦に陥ったら、債務整理が必要です。 債務整理の中でも、現在最も多く行われている方法は「任意整理」です…[続きを読む]
任意整理とは、自己破産や個人再生とは違い、裁判所を通さずに行なう債務整理の手法です。
簡単に言うと、借入をしている金融機関、クレジットカード会社、消費者金融などと「裁判外で交渉」し、既に存在している借金の一部免除や分割払いなどを合意することで、新たな返済計画で和解する手続きのことをいいます。
つまり、「今のままではどうしても返済を継続することができませんので、なんとか借金を減額・減らしてもらえないでしょうか」と債権者にお願いすることが任意整理なのです。
そんなことができるの?と思われる方も多いと思いますが、実際に利用している人は意外と多いです。
今回は、任意整理の基本を紹介していきます。
目次
そもそも、借金を減らしたり、分割払いを認めたりしても、債権者側には何のメリットもないように感じます。
金融機関は、なぜこのような交渉に応じてくれるのでしょうか。
借金の理由は人それぞれです。浪費やギャンブルが原因の方ももちろんいらっしゃるでしょうが、事業の失敗、突然の病気やケガ、リストラ、親の看病などにより、生活のために借金をせざるを得なくなってしまった人もたくさんいます。
「日々の生活がままならないのに、このままなんとかして借金を返す」ことは不可能ですし、借金の免除や分割払いを債権者から断られると、債務者は長期滞納に陥り、最悪の場合「自己破産」となります。そうなれば、借金を全く返してもらえないこととなり、金融機関にとってもマイナスのはずです。
それならば、ちょっとした減額で完済できそうな状況のうちに、任意整理に応じておいた方が良い、という考えになるのです。
このような理由から、実際、任意整理は比較的多くの金融機関や貸金業者が応じてくれます。
丁寧にしっかり準備をして、任意整理の条件がそろった場合は、「任意整理が不可能」などということは意外と生じません。
ただし、任意整理はあくまで「任意整理に応じてくれないと返済継続が不可能な程厳しい状況の人」が対象となります。ちょっと節約すれば十分返済していける、というレベルの人は対象外ですので、注意しましょう。
任意整理は、借金をゼロにする自己破産とは違い、「借金の減額」「利息のカット」「分割払い」などによって、どうにか残りの債務の完済を目指す手続きです。
そのため、任意整理をするには一定の「安定した収入」があることが条件となります。これは正社員だけに限らず、アルバイトなどでも安定して収入が確保できる状態であれば応じてくれる場合があります。
また、任意整理中に別の金融機関から新たな借入・融資・キャッシングを起こすと、任意整理ができなくなる恐れがあるので、新たな借入は絶対にやめましょう。
条件が揃っていても、任意整理に応じてくれるかどうかは債権者次第です。任意整理は法的に強制できるものではないため、あくまで債権者側の理解が必要となります。
大手の金融機関や消費者金融であれば比較的応じてくれますが、会社によっては応じてくれなかったり、応じたとしてもさほど緩和できない可能性もあります。任意整理の成功率を上げるためにも、債権者との交渉はプロである弁護士・司法書士にお任せしましょう。
【全国対応】お客様の借金の状況を細かくお伺いした上で、最適な債務整理方法をご提案いたします。
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任意整理をすると、主に以下の点について債権者側と合意することができます。
要するに、今現状の毎月の返済額を減らして、長期間にわたって返済していくようなイメージです。
任意整理後の返済期間は概ね3年、厳しい場合は5年程度が目安となります。
任意整理をするにあたっては、まず過払い金が生じていないかを確認するために「引き直し計算」をします。
万が一過払い金がある場合については、それを借金に充当しますので、借金が大幅に縮小したり、場合によっては過払い金が上回ってそのまま解決することもあります。
自己破産や個人再生はすべての債権者が対象となりますが、任意整理の場合は一部の債権者との問題を任意に話し合うスタイルのため、返済が厳しいものだけを選んで交渉することが可能です。
これにより、住宅ローンや車のローンを除外することで、マイホームやマイカーを失わずにすみます。
また、家族に知られたくない・迷惑をかけたくないという場合、家族が保証人となっている債務を除外することで、任意整理を内密に進めたり、周囲に迷惑をかけずにすんだりします。
任意整理をしたという事実は、皆さんが「ブラックリスト」と呼んでいる個人信用情報機関に契約終了から5年間残り続けます。
掲載の期間中については、以下のような借入ができなくなります。
新たに借入をする際には、金融機関に個人信用情報を照会されるため、基本的には新規借入が難しいと考えましょう。
任意整理手続きにおいて、お持ちのクレジットカード会社を整理の対象から外した場合、現在所持しているクレジットカードはそのまま使うことができます。
しかし、クレジットカード会社が途上与信(与信審査)をしたり、更新時に信用情報を参照した場合には、事故情報が認識され、クレジットカードが利用停止になってしまう可能性が高いです。
利用停止にするかどうかは各会社の裁量によりますが、通常、債務整理全般に関してクレジットカードを使い続けることは難しいと考えておくべきでしょう。
任意整理は、しっかりと計算した上で無理のない金額を設定するため、その後の滞納や遅延は起きないように思います。
しかし、突然予想外の事件が起きる可能性があります。いきなり会社を解雇されたり、交通事故で車が大破したり、家族が病気になって医療費が嵩んだりする可能性はゼロとは言えません。
任意整理後の支払いが2ヶ月以上遅れた場合には、給料の差し押さえの他、警告・裁判の通知が来ることが多いとされています。
支払いが遅れそうな場合は、必ず債権者に事前に電話をしておきましょう。また、弁護士にしっかりと相談し、支払いの猶予や更なる分割払いを交渉するのが得策です。
再和解できない場合は、個人再生・自己破産を選択することになる可能性が高いです。
任意整理は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼しなくても、自分自身ですること自体は可能です。
ただし、現実問題としては、債務者本人から任意整理の交渉を持ちかけても、まともに応じてくれる金融機関はほとんどないでしょう。専門家が介在しない任意整理では、金融機関側も納得しないのです。
そのため、事実上任意整理については、弁護士または司法書士に依頼する事になります。
気になる費用(弁護士費用)についても、任意整理の場合は「借金を減額した金額の○割」という料金体系を設定しているケースも多いため、任意整理をすることで債務者がマイナスになることはありません。
費用的な面では司法書士費用の方が若干安くなりますが、司法書士の場合、扱える金額が「借金と過払い金を含め総額140万円以下」に制限されるため、万が一これを上回ることが発覚すると、結局そこから弁護士に依頼し直す事になります。
弁護士・司法書士のどちらに依頼するべきかは、各事務所の無料相談などを利用して、しっかり見極めましょう。