会社(法人)が倒産したら。破産手続きの流れと弁護士依頼

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会社の「倒産」という言葉は、ニュースなどでよく耳にします。しかし、皆さんは会社の「破産」と「倒産」の違いをご存知でしょうか?

今回は、資金繰りでお悩みで「今後どうしたらいいか分からない」「会社を畳むにはどうすれば良いのか」とお考えの経営者の方向けに、会社の「破産」と「倒産」について解説していきます。
会社破産(法人破産)とはどのような状況をいい、また、どのような流れで進行するのか、会社の債務整理についての基礎的な知識をお伝えしますので、ぜひご覧ください。

1.会社の「破産」と「倒産」の違い

一般には、会社の「倒産」と「破産」は同じ意味として使われることがあります。しかし、厳密には、「倒産」と「破産」は異なります。

会社の「倒産」とは、会社が期限の到来している債務(借金)の弁済が困難となり、営業を継続することが難しくなることをいいます。
そして、このような倒産状態に陥った会社のとることのできる選択の1つとして、裁判所を介しての清算手続である「破産」があるのです。

破産」は、倒産状態に陥った会社について、会社の総財産を換価して、債権者に対して公平に配当を行うことを目的とした清算の手続であり、その完了により、会社が消滅するものをいいます。
倒産状態に陥った会社の対応としては、会社を「清算」し消滅させる破産以外に、会社の「再建」を目的とする他の選択肢もあります。

つまり、倒産は破産より広い意味の言葉なのです。

会社の破産手続を開始するための要件

会社が破産手続を開始するための要件は、①支払不能または②債務超過です。

支払不能とは、会社が弁済期の到来した債務を一般的、かつ、継続的に弁済することができないと判断される客観的状況を意味します。
債務超過とは、会社の債務額の合計が資産額の合計を超える状態を意味します。

たとえば、ある会社が総額1,000万円の債務を抱えており、総額500万円の資産を保有している場合には、債務超過となります。
もっとも、その会社が金融機関から多額の融資を受けることのできる信用があり、借入により返済資金を調達することができるのであれば、支払不能ではありません。

逆に、その会社が総額1,500万円の資産を保有している場合には債務超過ではありませんが、保有している資産を現実に換価することが困難であるような場合には、支払不能となります。

支払不能と債務超過は、それぞれ破産手続を開始するための別個の要件として存在しており、支払不能あるいは債務超過のどちらかの状態にあれば、破産手続は開始することができます。
しかし、現実に破産する会社は、支払不能の状態かつ債務超過の状態であるようなケースが多いようです。

【会社破産における「社長」の責任】
ここで気になるのは、会社の「社長」は、債権者に配当を行なった上でも残った借金を返済しなくて良いのか、という問題でしょう。
結論から言うと、基本的には会社が破産しても、社長がその借金を肩代わりする必要はありません。そもそも個人と法人は別人格ですから、会社が破産したからといって、当然に個人である社長が借金を肩代わりする必要はありません。
しかし、社長は銀行や取引先と個別に「連帯保証契約」を締結していることが多く、契約書上で会社の連帯保証人になっているため、会社が破産した場合はその債務が社長に回ってくる事になります。
そのため、実務上は、会社の破産と社長の破産は同時に手続をする事が多くなります。

2.会社の債務整理方法の種類

2-1.法的整理と私的整理

法的整理

法的整理とは、裁判所の関与する、法令に基づく債務の整理です。
典型は、破産、特別清算、民事再生、会社更生です。

私的整理

私的整理とは、裁判所の関与しない債務の整理です。その方法等につき法令による定まったルールはなく、原則として、利害関係人の協議と合意により進められる手続です。
任意整理と言われることもあります。

法的整理と私的整理の長所・短所

法的整理 私的整理
長所 ・手続の平等・公平・適正を強制的に実現していくことができる ・柔軟な処理を図ることができる
・法的整理より迅速に行うことができる
短所 ・利害関係人の協議等による柔軟な処理が難しい
・私的整理より手続期間が長期になる
・私的整理より高い費用を必要とする
・協議に時間がかかる
・利害関係人の合意の得られない場合には手続は進められない
・手続の平等・公平・適正を害する危険がある

法的整理の長所は、裁判所の関与する法令に基づく手続であるため、手続の平等・公平・適正を強制的に実現していくことができる点です。
その反面、利害関係人の協議等による柔軟な処理は難しく、また、一般的には、私的整理より手続期間は長期となり、私的整理より高い費用を必要とする短所があります。

私的整理は、基本的に利害関係人の協議と合意により、会社の債務整理を進めることができるので、柔軟な処理を図ることができ、法的整理より迅速に行うことができることが長所とされます。
私的整理の短所としては、利害関係人の合意を基本とするため、協議に時間がかかる点や合意の得られない場合には手続は進められない事態が生じうる点、また、裁判所が関与することがないため、手続の平等・公平・適正を害する危険(たとえば、特定の債権者だけに有利となるような整理を強引に進めてしまうなど)が挙げられます。

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2-2.清算型と再建型

清算型

清算型とは、倒産状態の会社の資産を換価処分して、これを債権者に配分すると同時に会社自体を消滅させる手続のことです。
この清算型の法的整理としては、「破産」と「特別清算」があります。

破産と特別清算との主たる違いは、以下の通りです。

破産 特別清算
適用対象 個人・法人一般 主として株式会社
清算方法 破産管財人のような第三者による財産管理を通じた清算 取締役などの特別清算人により清算業務が遂行
債権者に対する配当 債権者の同意は不要 債権者の特別多数決と裁判所の認可に基づいて行われる
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再建型

再建型とは、倒産状態の会社の資産は維持したまま、その資産を基礎とした事業の継続による収益を債権者に配分していく手続のことです。
この再建型の法的整理としては、「民事再生」と「会社更生」があります。

民事再生と会社更生の大きな違いは、以下の通りです。

民事再生 会社更生
適用対象 個人・法人一般に広く適用 株式会社に限定
手続き後の経営 従来の経営者による手続遂行が可能 更生管財人による財産管理と経営が必須(従来の経営陣は退陣)
担保権 抵当権などの担保権は手続外での行使が可能 担保権を有する全ての債権者は手続参加を強制される
(会社の再建のため必要に応じて担保権を制限されることもある)
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3.会社の破産手続きの流れ 

では、会社の破産手続きは、どのような流れで進むのでしょうか?

事業に失敗するなどして会社が「倒産」すると、弁護士に依頼して「破産」の手続きをすることになります。
借入金や買掛金の超過により資金繰りが苦しくなり経営を続けることが困難になった場合、事業を一旦ストップさせて会社の清算を行う必要が出てくるわけです。

では、実際に法人破産を弁護士に依頼するとどのような流れになるのか、具体的にシミュレーションしてみたいと思います。

まず始めに、法人の破産手続きのイメージとしては、以下が大まかな流れとなります。

①弁護士に依頼する
②弁護士が受任したことを関係先に通知する(すべてのやり取りで弁護士を通すことになる)
③財産の保全
④債権債務状況を調査する
⑤破産の申立てを行う
⑥会社の資産を換価し、債権者に配当する
⑦破産手続き終了

会社の破産手続きは、弁護士に依頼して行っても数ヶ月間という長期の時間がかかります。

ステップ1:弁護士に破産申立てを依頼

会社の破産を考えたら、それについて弁護士に相談して、どのように手続きが進められていくのかを相談します。そして、破産手続きを行うことに了承したら、弁護士へ委任します。

会社の経営が立ち行かなくなった場合は、今以上に取引先や債権者などに迷惑がかからないよう、できる限り早めに動く事が経営者としての務めです。

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ステップ2:弁護士による受任通知の送付

破産申立て手続きの第一歩目は、破産申立てを弁護士に依頼して着手したことを、関係各所に知らせる事です。
そのため、破産手続きの依頼を受けた弁護士は、その会社の取引先や債権者などに、弁護士が代理人となって破産手続きを行う旨の「受任通知」という書面を送付します。通常、この書面を送付すると、そこで初めて関係先は「その会社が破産する」ということを知ります。

債権者に受任通知が発送されると、債権者からの支払請求や会社への連絡は止まります
今後の債権の取り立てや請求などはすべてその代理人弁護士を通さなければならなくなり、会社に対して直接請求する事ができなくなるのです。

ステップ3:財産の保全措置を講じる

破産の申立てをした後に、勝手に会社の財産を処分されたり、社員に財産を持ち逃げされたりすると、破産手続きを適切に行なえなくなってしまいます。
そこで、破産申立ての依頼を受けた弁護士は、本来会社が管理している重要書類や財産を保全のために預かります。

具体的には、会社が保有している「不動産の権利証や有価証券、手形、小切手、預金通帳、銀行印」などがこれに該当します。

手続き開始前の会社の残務処理(従業員の解雇)

会社の破産手続きを開始する前に、会社内の残務処理をする必要があります。

会社の破産手続きを行うと、最終的には会社は消滅してしまいます。つまり、会社をたたむわけですが、いきなり会社の営業をやめるわけにはいきません。
会社をたたむための手続きや残務整理、会社の従業員の解雇などをする必要があります。

従業員を解雇するために、まずは、会社の代表者から従業員に対して、会社をたたむに至った経緯について説明します。ここで、会社が破産することが従業員にも知れ渡ります。
この際、すでに賃金の未払いがあるような場合は、しっかりと従業員に説明をしなければなりません。

こういった従業員に対する解雇説明についても、会社破産に強い弁護士がしっかりとサポートしてくれます。

尚、解雇されてしまった従業員の方で、賃金の未払いにお悩みの方は、以下の記事をご覧ください。

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ステップ4:会社の債務状況の調査(資料の収集)

破産の申立て書類を作成するにあたって、まずは会社の現在の状況を確認しなければなりません。

そこで、担当弁護士は経営者と協力して「確定申告書や試算表、元帳、出納帳、売掛帳、買掛帳、給与台帳、その他会社の捺印がある一切の契約書類」を確認します。

ステップ5:破産申立て

破産申立てのための必要書類を準備します。
自分で用意・作成できる書類もありますが、弁護士の指示を仰いで漏れやミスがないようにします。また、自分で作成できない書類は弁護士に作成してもらいます。

事情の精査ができたら、いよいよ破産申立てを行ないます。
申立書の提出は代理人である弁護士が行ないますので、経営者自ら裁判所に行く必要はありません

なお、証拠書類として付随する書類関係も提出します。この時の準備次第で、破産手続開始決定がされるかどうかが決まります。認められれば、裁判所が破産手続開始決定をします。
このタイミングで官報にその会社の破産開始決定が掲載されることになり、破産することが世間に公表・告知されます。

依頼した弁護士が裁判所に破産の申立を行う時には、手続きにかかる費用である予納金を納付します。

ステップ6:破産管財人の選任

破産手続開始決定がされると、裁判所はそれと同時に「破産管財人」を選任します。
破産管財人は裁判所が選任した弁護士ですが、会社の代理人弁護士とは別人になります。第三者である弁護士が選任されます。

なお、これ以降は、会社の一切の財産は「破産財団」という扱いになり、会社が勝手に処分することができなくなり、変わって破産管財人が全面的に管理する権限を持つ事となります。
会社の財産はすべて破産管財人の管理下へ置かれることになるわけです。

以前は経営者が会社の財産を処分したり管理できましたが、この時点から何もできなくなります。
また、会社の債権者は、会社財産の差し押さえや強制執行をすることが不可能になります。

裁判所は債権者に対して、破産手続きが開始された通知を郵送します。通知を受け取った債権者は、所有する債権について債権届出書に記載してから裁判所へ提出します。

ステップ7:会社の財産を清算する

ここから、破産管財人による管財業務がスタートします。

まずは、会社の代表者と代理人弁護士、破産管財人の三者で打ち合わせを行います。
代理人弁護士は、会社の資産と負債を中心とした財務状況について破産管財人に説明し、破産管財人は会社の資産を把握して、順番に金銭に換価していきます。

一般的には、この手続だけでも数ヶ月はかかる事となります。
また、債権者が多数いる場合には、破産管財人は各債権者へ手続きについての説明の通知を送付し、電話やインターネットによる債権者からの問い合わせに対応できる体制を整えていきます。

破産者は、これらの破産管財人による管財業務には協力することが法的に義務付けられています。

なお、破産管財人は代理人弁護士とは違い、破産手続に対して公平中立な客観的立場をとっています。そのため、債権者のようになぜ破産に至ったのかの理由を厳しく追及するようなことはありません。

債権者集会の開催

破産手続き開始の決定がされた日から3ヵ月ほど経過してから、裁判所で債権者集会が開催されます。債権者集会には、会社代表者と破産管財人、代理人弁護士の三者が参加します。

最初に、破産管財人は会社が破産に至るまでの経緯、会社の資産および財務状況などについて報告します。また、破産管財人は、債権者から届出のあったとおりの債権が存在するかどうかについても報告します。

配当可能な財産がほとんどないような場合は、債権者集会は1回のみで終わり、裁判所が必要な決定をします
反対に、財産が多くすぐに見通しが立たない場合は、管財業務の中間報告として債権者集会を開く事もあります。

基本的に、債権者集会は、会社にある財産の処分と換価の目処がたった段階で開催します。

ステップ8:債権者へ配当し、手続き終了

破産管財人は会社の資産をすべて換金して、税金や未払いの給料などの支払いに充当します。その上で、金銭が残っていれば、一般債権者への配当に充当されます。
もし、資産と呼べるものが何も残らなければ、一般債権者への配当が行われることはありません。

未払いの給料については、税金などと同じように法律で優先的に支払うことが定められています。破産手続開始前3カ月間の給料は、配当手続きを経ないで優先的に支払いを受けられることになっています。
ただし、まったく資産が残っていなければ、当然支払うことは不可能です。

会社の財産を売り払って手元に残った金銭は、各債権者に平等に分配します。これを「債権者平等の原則」と言います。

債権者への配当を以て、会社の破産手続は終了します。そして、残りの債務の支払い義務は消滅します。

 

以上が、法人破産手続の一連の流れとなります。

最初から最後まで概ね半年から1年程度の期間がかかります。
なお、弁護士に支払う報酬は、会社の規模によってもかなり違ってきますが、中小企業の場合でも最低100万円程度はかかると考えましょう。その他にも、負債総額に応じた予納金や印紙代等が実費で必要となります。

4.会社破産の長所・短所

4-1.会社破産の長所

会社破産の第1の長所は、会社の代表者が債権者からの取立に悩む毎日から解放されるという点です。
会社破産を決意して弁護士等に事件を依頼すれば、弁護士等から各債権者に受任通知が発送され、これにより債権者は直接債務者に取立行為を行うことができなくなります。これにより、それまで債権者からの取立のプレッシャーに悩んでいた日々から代表者は解放されます。

ただし、大規模経営の会社の破産の場合には現場の混乱を回避するため、直ちに受任通知を発送しないことがあるため、弁護士等に依頼をしてもすぐ取立が止まらないこともあるので注意しましょう。

会社破産の第2の長所は、代表者の再出発の契機となるという点です。破産により会社は経営者の手を離れ、破産管財人による清算業務が行われ、最終的には会社は消滅します。これにより、経営者は会社の諸問題から解放され、新たな生活のスタートを図ることができるのです。

4-2.会社破産の短所

会社破産の第1の短所は、会社が消滅するということです。
つまり、代表者としては、破産する会社の事業の継続は不可能となり、会社の財産、ノウハウ、社員の全てが消えてしまいます。

会社破産の第2の短所は、代表者の信用の失墜です。どのような事情があるにせよ、会社破産となれば、代表者の経営判断等の能力について取引先等の債権者などの信用を低下させることになるでしょう。
それだけでなく、代表者が会社の債務の連帯保証人となっているような場合には、会社破産と同時に、代表者個人の破産を進めていかなければならず、信用情報として破産の事実が10年間登録されるため、代表者個人の信用取引に大きな影響を与えることになります。

5.まとめ

いかがでしょうか。今回は、会社の破産手続きについて解説させていただきました。

「会社の破産」というと、暗い気持ちになってしまうかもしれません。しかし、すべての手続きが完了すれば、新たなスタートを切ることができます。
「破産をしたらもう二度と会社を作れない」などということもありません。破産は人生の再スタートを切るための有効な手段なのです。

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会社破産は、専門化である弁護士に依頼して、早期に手続きを終了されることをおすすめします。

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