自己破産は何回まで?2回目はできる?条件と注意点を解説

自己破産は何回まで?2回目はできる?条件と注意点を解説

自己破産」は、個人が裁判所の許可を得て借金を全て免除してもらう手続きです。
税金や国民健康保険料などの公租公課は残りますが、消費者金融や各種ローン、クレジットカード料金などを全て0にできるので、これにより新たな人生をスタートすることができます。

しかし、生活費のための借り入れをはじめ、ギャンブル・株・FXによる浪費、連帯保証人になってしまったことによる請求、仕事を解雇されて収入がなくなった、家族が病気になってしまったなど、借金の原因には様々なパターンがあるでしょう。
結果として、自己破産を1回した後、再び借金をして支払い不能になってしまう方は少なくありません。

「もう二度と同じ轍は踏まないと誓ったはずなのに…」「2回目の自己破産なんて認めてもらえるの?」
今回は、このようなお悩みを抱えている方に向けて、自己破産は何回まで認められるのか、制限はあるのかについて解説いたします。

自己破産は何回までできるのか?

結論から言えば、過去に自己破産をした人でも、2回目の自己破産を申し立てることは可能です。
借金の額や回数については、破産法により制限されていないのです。

しかし、2回目以降の自己破産では、裁判所の審査が厳しくなり、免責を受けるためのハードルが高くなることは間違いないでしょう。

さらに、自己破産の回数に制限はありませんので、3回を超える自己破産も法律上は可能です。
破産法では、「自己破産は1回しかできない」「2回までできる」などとは書かれておらず、よって、回数制限なく何回でも行うことができるということになります。

自己破産は、収入がなくなるなどの理由で借金の返済が不能になった人を救済するための制度であり、条件を満たせば回数は関係なく何回でも申請できるのです。

ただし、やはり回数を増すごとに裁判所の審査は厳しくなります。何回でも申請が可能とは言え、裁判所に免責許可が認められて借金がすべて0になるかどうかは、また別の話なのです。

2回目以降の自己破産は管財事件になる

裁判所に自己破産を申し立てをすると、「同時廃止事件」「管財事件」のどちらで進めるかが決定され、それにより費用や終了までの期間が異なってきます。

売却して債権者に分配出来そうな財産が破産者にある場合や、免責不許可事由がある場合には、借金の理由の調査や免責の妥当性の検討のために破産管財人が選任されて「管財事件」となります。

反対に、債権者に分配出来そうな財産がなく、免責不許可事由もないような場合には「同時廃止」となり、財産の処分・換価・配当手続(=破産手続)は行われません。
破産手続は開始と同時に終了(廃止)するため、「同時廃止」と言われているのです。

自己破産は、ほとんどの場合で同時廃止が採用されます。
1回目の自己破産は同時廃止だったという方も多いのではないでしょうか。

しかし、2回目以降の自己破産については、原則として管財事件として扱われると考えましょう。
この理由は、「なぜ一度面責を受けたのに、また自己破産をすることになってしまったのか?」「再び自己破産を認めても、3回目があるのではないか?」と裁判所が危惧し、借金の理由・原因を調査するために破産管財人を選任することになるからです。

管財事件になると、自己破産の目的である免責の許可を受けるまで時間がかかってしまうだけでなく、裁判所の費用(予納金)が同時廃止よりも20万円以上上乗せされるというデメリットがあります。破産管財人との面談という心理的な不安も生まれるでしょう。

何とかして同時廃止で手続きをしたいと思うのは当然ですが、どちらの事件として行うかは裁判所が判断しますので、破産申立人の希望では決められないことを覚えておきましょう。

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2回目以降の自己破産をする場合の注意点

2回目以降の自己破産の条件

まず、自己破産には「免責不許可事由」があります。
免責不許可事由とは、自己破産を申し立てても、債務者の行為に不適切なものがあり、借金を免除するべきではないとされる事柄を言います。「免責」とは「借金を0にすること」です。

免責不許可事由には以下のようなものがあります(破産法252条1項の第1~11号)。

  • 借金の理由がギャンブル・浪費等
  • 財産の不当な処分が行ったり、財産を隠蔽したりした
  • 債権者を欺いて借金をした
  • 一部の債権者にのみ返済を行った(偏頗弁済)
  • 破産手続きに協力しない
  • 以前自己破産をしてから7年経っていない
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上記のような免責不許可事由があっても、裁判所の裁量で免責が認められるケースはあります(裁量免責)。
しかし、複数の不許可事由に当てはまっているならば、裁判官に裁量免責を認めてもらえないケースがあるでしょう。

例えば、1回目の自己破産で免責を受けてから7年が経過していない上、パチンコや競馬などのギャンブル、キャバクラで遊んだり、海外旅行で使った遊興費のために借金をしたことが理由である場合には、裁量免責を得るのは難しいと言えます。
節約のための努力をしていない場合でも、2回目、3回目の自己破産ならば裁判所は厳しい判断をする傾向にあります。

特に、1回目の自己破産をした後すぐに2回目の自己破産を申請することは、道義的あるいは社会的に許されない行為であると判断されます。

逆に、7年以上経過していれば免責不許可事由には該当しないため、2回目の自己破産が認められる可能性は高くなるでしょう。

とはいえ、何回も同じことを繰り返すのは、「反省しておらず更正の意思がない」と判断されてしまう可能性があります。
そのようなケースでは、裁判所は免責を認めない傾向にあります。

そもそも、自己破産をすると、何ら過失のない債権者が債権(借金の回収をする権利)を喪失してしまいます。貸していたお金が返ってこなくなるのですから、貸主としては大きな不利益を被ります。
従って、自己破産を申請した人が深く反省して更正できると裁判所が判断しなければ、免責許可が下りることはないのです。

裁判所の免責許可が下りなければ、破産申請まではできても、借金がゼロになることはありません。

つまり、2回目の自己破産の申請・申立はすることはできても、問題は免責が認められるのかどうか、ということです。
1回目に免責が認められたからといって、2回目も簡単に免責が認められるわけではないことに気を付けましょう。

借金の理由は特に詳しく調査される

2回目の自己破産では、返済不能に陥った理由や事情、その妥当性が特に重要とされます。
1回目よりは免責許可のハードルは高いので、同じような理由での借金では免責許可は難しいと考えて良いでしょう。

前回とは異なる理由があれば、免責を得られる可能性は高くなるでしょう。
例えば、1回目はリストラで会社を解雇されて収入がなくなり生活苦に陥った場合、2回目は知人の連帯保証で借金を肩代わりした場合などです。

逆に、いくら借金せざるを得ない状況に追い込まれていたとしても、返済の意思もなく計画的に借金をしたと判断されたり、何回も同じような理由で借金をしており悪質であると認定されたりすると、免責は否認されてしまいます。

ただし、同じような理由で借金をしてしまったケースでも、主張の方向性や厳密な理由の相違によっては、2回目の免責許可を受けられる可能性もあります。

これは、債務整理に強い弁護士に依頼して解決してもらうことがポイントとなります。
自己破産に慣れた弁護士ならば、借金をするに至った理由や経緯について分析した上で、裁判所に対してどのように主張すれば免責を許可してくれるかポイントを熟知しているのです。

自己破産ができない場合はどうする?

何回目かの自己破産に成功する見込みが低い場合は、自己破産以外の債務整理を検討するべきです。

例えば、個人再生をすれば、借金を元本から大幅に圧縮することができます。
また、任意整理であれば、裁判所を通さず債権者と交渉し、合意をすることで将来利息のカットや返済期間のリスケジュールが可能です。

また、仮にあなたが「自己破産しかない!」と考えている状況でも、専門家から見たら別の債務整理方法で借金を解決できるかもしれません。

あなたにとってどういった方法が一番向いているのかは、弁護士・司法書士と相談してから判断しましょう。

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2回目の自己破産は弁護士に相談を

アメリカでは、トランプ元大統領が4回の破産申請をしていたことは有名です。
そして、日本であっても、2回目以降の債務整理(自己破産)は可能です。

ただし、2回目以降の自己破産で免責許可が認められるには、1回目よりもかなりハードルが高くなります。
何回目かの自己破産をお考えであれば、早い段階で専門家である弁護士にお気軽に相談されることをおすすめします。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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