親の借金を子供が払う義務はあるのか?

親の借金を子供が支払う義務はあるのか?
  • 親の借金を子供が払う義務はあるのでしょうか?

借金によるトラブルは、自分自身の借り入れによるものばかりではありません。親や親戚がした借金のせいで、自分がトラブルに巻き込まれることもありえます。

テレビやドラマ等で乱暴な取り立て業者が「親の借金は子供の借金だ!」などと迫るシーンを見たことがある人もいるのではないでしょうか。

あるいは現実に、親の借金を代わりに払っている人、亡くなった親から借金を相続して支払い中の人もいるかもしれません。

ここでは、親の借金が子供に与える影響や、親の借金に対して子供がどう対処すべきか?について解説していきます。

親の借金の子供の返済義務とは

まずは、子供が親の借金によって受ける影響を見ていきましょう。
具体的には「子供の支払い義務の有無」について述べていきます。

親の借金を肩代わりする義務はない

冒頭で出てきた「親の借金は子供の借金」という言葉は、法律的には間違いです。

そもそも借金は借りた人と貸した人の間でのみ成立する契約であり、そうでない人に支払う義務はありません。

親の借金の連帯保証人などになっている場合は支払う義務が生じますが、保証人でもない子供に「親の借金だから子供のお前が返済しろ」と迫るのは筋違いなのです。

親の借金返済を手助けすることに問題はありませんが、あくまで自由意思によって行えばいいのであって、「義務」を負う必要は全くありません。

子供に返済義務があるケース

原則的に親の借金を支払う義務はありませんが、義務が生じる場合もあります。
代表的なケースを2つご紹介します。

親の借金の保証人になっている場合

親の借金の保証人などになっている場合は、自分にも支払い義務が発生します。

特に連帯保証人には、借金をしている本人とほぼ同等の支払い義務があります。

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親が死亡して財産を相続した場合

相続財産というとプラスのものを想像しがちですが、借金などマイナスの財産も相続財産に含まれます。

親の財産を相続して、その中に借金が含まれていると、知らない借金であっても返済義務が生じてしまいます。

これは離婚した親の財産を相続する場合も同様です。

例えば親が離婚して、母親に引き取られた後、父親が死亡したとします。
子は父親の財産を相続できますが、長年別居していたような場合は、父親に借金があるのかどうかわからないことも多いはずです。

こういった場合にうっかり相続してしまうと、父親の借金を丸ごと抱え込むかもしれないため、相続前の確認が必須です。

【借金の相続に関する注意点】
親の借金と相続について、もう少し深く掘り下げていきます。
まず、相続開始を知ったときから3ヶ月を過ぎると、被相続人(故人)の財産をプラスの財産もマイナスの財産も自動的に全て相続することになります。その期間内に相続財産に借金があるかどうかを調べ、最適な対策を行わなければなりません。
また、財産の全部または一部を処分すると、法律上は「故人の財産全てを自分のものとして相続した」とみなされます。財産の処分は「負債だけを処分してプラスの財産だけを手元に残すのではないか?」という不正を疑われる行為だからです。
更に、相続した財産を隠す(財産目録に正しく記載しない)と、これらの行為は「相続した借金の支払い義務を免れようとしている」と受け取られてしまいます。
後で述べる限定承認や相続放棄をした後でも、これらの行為をしたことが判明した場合は、財産の全てを承継したとされ、場合によっては借金の支払い義務が発生します。

親の借金を返さなくて済む方法

連帯保証人契約や相続の関係で、親の借金を支払う義務が生じた、あるいは生じそうな人もいるでしょう。
そういった場合の解決方法を紹介します。

時効の成立を待つ

亡くなった人の借金であっても、時効が成立すれば消滅します。

基本的には最後に支払いをした日から5年経過すれば、時効に十分な期間となります。
そのうえで「時効が到来したので借金は支払いません」という旨の意思表示を債権者に行えば、時効が成立して借金を消滅させることができます。

この意思表示は証拠が残るように、基本的に内容証明郵便で行います。

しかし、借金の請求を受けたときに1円でも借金を支払う・支払う意思を伝えるなどすると、時効の期間がリセットされてしまいます。

このため、お金を貸す業者などは「今1000円支払ってくれたら利息を少し減らします」などと言って、時効のリセットを狙ってきます。

また、そもそも銀行や貸金業者等は、5年の間に裁判上の請求をしてくる可能性が高いです。
裁判上の請求をされても、時効はリセットされてしまいます。

時効を狙って逃げ回るのはあまり現実的な方法ではありません。
何年も音沙汰がなかった借金を請求されたときなど、限定された場面で使える方法だと思ってください。

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相続放棄をする

相続のときに有効な方法です。
故人である親の財産を一切相続しないため、借金の返済義務も相続せずに済みます。

欠点は、プラスの財産も放棄しなければならないことです。
マイナスの財産のみ放棄して、プラスの財産は相続するなどという都合の良い選択はできません。

また、一度した相続放棄は取り消すことができません。

相続放棄の前は弁護士に相談して、本当に相続放棄しても問題がないのかを確認してもらうことを強くおすすめします。

【参考】相続放棄についてもっと知りたい→
相続放棄とは~手続と費用・デメリットなどを解説!
相続弁護士cafe(債務整理弁護士cafe姉妹サイト)

相続の限定承認をする

限定承認とは、相続財産の範囲内で債務も相続する手続きです。

例えば、プラスの財産とマイナスの財産があった場合、プラスとマイナスを相殺してプラスになった部分だけを相続します。
マイナスの方が大きい場合は、プラスの財産と同額のマイナス財産を相続します。

例えば、故人に100万円の現金と500万円の借金があった場合は、100万円を相続して、それと同額である100万円の借金を相続します。
差し引きはゼロになってしまいますが、少なくともマイナスにはなりません。

また、限定承認をすれば「先買権(さきがいけん)」という権利を利用できるのもメリットです。

例えば、故人に5000万円の借金があり、相続財産は故人の自宅だったとします。
故人の自宅を手放したくない場合、自宅の評価額と同額を支払えば、借金を引き継ぐことなく自宅を取得できます。

限定承認は相続財産に含まれる借金の額がわからないときや、どうしても承継したい財産がある場合などに有効です。

しかし、相続人全員が手続きしなければならず、限定承認の申立て後に精算手続きを行う必要があるなど、複雑な部分があります。
弁護士と相談して乗り切る必要がある制度です。

【参考】限定承認についてもっと知りたい→
限定承認とは?手続き方法&期限&費用&必要書類を解説
相続弁護士cafe(債務整理弁護士cafe姉妹サイト)

債務整理をする

借金を軽減またはゼロにしてもらえるのが債務整理です。
相続に関係なく、親が存命のときでも可能な選択肢です。

債務整理には以下の3パターンがあります。

任意整理

債権者と交渉して将来の利息や遅延損害金をカットしてもらい、支払いスケジュールを見直す旨の合意を得る方法です。

借金の減額率は高くありませんが、弁護士に依頼すれば交渉が早くまとまりやすく、費用的な負担も少ないなどのメリットがあります。

自己破産

成功すれば借金がゼロになりますが、自分の持つ一定以上の財産が処分されてしまいます。特に持ち家や車は高確率で処分されます。

しかし、当面の生活に必要な財産は処分されないので、いきなり困窮するような事態になることはまずありません。

個人再生

借金を大幅に減額してもらい、減額後の借金を原則3年程度かけて毎月返済します。
自己破産をすると通常持ち家を失いますが、個人再生の場合は「住宅ローン特則」という制度があり、これを使うことで持ち家を残すことが可能です。

手続きが非常に複雑なので、弁護士に代行してもらうことが一般的です。

親の借金のよくある質問

親の借金は誰が返すのか?

親が亡くなって、遺産を相続する場合は、プラスの財産もマイナスの財産も両方引き継ぎます。遺産を相続する場合は、法定相続分に従い、親の借金は子供に相続され、子供が返済義務を持つことになります。もちろん、相続放棄すれば、その返済義務はありません。

相続放棄はいつまで行うべきですか?

相続放棄の期限は、民法第915条1項によって「相続開始を知ったときから3か月以内」と定められています。原則として、3か月を過ぎてしまうと相続放棄ができないので、相続時に、資産よりも多額な親の借金の存在を知ったら、早急に相続放棄を検討する必要があります。

親の借金で困ったら弁護士へ

親の借金を子供が支払う義務はありません。
もし親が借金で困っているのであれば、債務整理を勧めてみてはいかがでしょうか?

もし、相続や保証人になっているなどで親の借金を支払う事態になったとしても、債務整理で解決が可能です。

相続が原因で支払い義務が発生したのであれば、相続放棄や限定承認などでも解決できます。

いずれの場合でも、最適な解決方法はケースバイケースで異なるため、まずは弁護士にご相談ください。

最善の形で、手早く親の借金を解決するために、ぜひ弁護士をご利用いただければと思います。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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